2023.02.13NTTリーグワン2022-23 D3 第7節レポート(RH大阪 59-14 中国RR)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン3 第7節
2023年2月12日(日)14:30 ヨドコウ桜スタジアム (大阪府)
NTTドコモレッドハリケーンズ大阪 59-14 中国電力レッドレグリオンズ

今季初先発で見せた“キラキラした輝き”は前節の敗戦を払しょくする大きな力に

NTTドコモレッドハリケーンズ大阪の山内俊央選手。「先発メンバーに選んでもらい、とてもうれしかった」

1カ月ぶりのホストゲームを行ったNTTドコモレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)。試合を迎える前、キャプテンの杉下暢が「前回の試合内容がRH大阪の実力だと思わせたくはない。次の試合は、イメージを払しょくするための大事な試合」と話していたとおり、前回のイメージを完全に払しょくする内容と59対14のスコアで中国電力レッドレグリオンズを圧倒し、勝利した。

この日、RH大阪がチームで奪ったトライは合計9本。そのうち2本は、今シーズン初めて先発起用されたスクラムハーフ・山内俊央のトライだった。

山内俊央は、今季これまでの4試合はリザーブメンバーとして試合に臨んでいるが、開幕戦は出場がなく、その後の3試合はそれぞれ10分程の出場しかなかった。それがこの日は、後半27分までの67分間をプレーしている。

マット・コベイン ヘッドコーチは、「 (これまでの4試合で先発出場した)浜野達也は、試合をコントロールし、オーガナイズする能力に長けた選手。今回スタートから起用した山内俊央は、エナジーがあり、少しでもスペースを見つけたらそこに走り込む能力を持った選手」だと評している。この日の山内俊央については、力を買っているからこそ「もっとできただろうと思うけれど」と前置きした上で、「良いプレーをしてくれた」と語っていた。

関西学院大学でプレーしていたころも、クローザーとしての役割でリザーブ出場が多かっただけに、「先発メンバーに選んでもらい、とてもうれしかった。チームが掲げている『アイズアップ・アップテンポ』という部分に貢献できるよう、最初からエンジン全開で」試合に臨んだという山内俊央。ひさしく機会がなかったスタートからの長時間プレーを終えた試合後には、「ピッチでは、ラグビーをできる喜びと、とても楽しいという気持ちがほとんどだった」と振り返っていた。

その気持ちを察してだろうか。山内俊央がピッチを出たあと、ウイングから位置を変えてスクラムハーフを担っていたベテランの鶴田諒は、山内俊央を見てこう感じたという。「負けん気も強くて、若さもある。いいですよね、キラキラしている」。

もちろん、山内俊央本人はこれで満足したわけではない。ピッチで喜びを噛み締めた一方、「プレーの精度は悪かった。日々のトレーニングで一つひとつのことにもっとこだわって取り組まなければいけない」と省みていた。小さなところを突き詰め、より一層チームに貢献できる選手へと成長していくつもりだ。 “キラキラしている”輝きは、今後さらに増していくだろう。

(前田カオリ)

NTTドコモレッドハリケーンズ大阪

NTTドコモレッドハリケーンズ大阪のマット・コベイン ヘッドコーチ(右)、杉下暢キャプテン

NTTドコモレッドハリケーンズ大阪
マット・コベイン ヘッドコーチ

「中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)に感謝申し上げます。中国RRには、後半にやはりチャンスを作られました。私たちは前節の敗戦より学び、一貫性を持ってプレーしないといけないので、トレーニングから意識して基本的な部分を忠実にやってきました。トレーニングからしっかり取り組むことができ、試合でもそれをプレーすることができたと感じています」

──前回の試合から何か変化はありましたか。

「変化というよりも、もともと持っていたフォーカスポイントに集中してきました。今回は、基本的なことを忠実にやる、ということでトレーニングに取り組んできています。一貫性を持つべきところを意識して取り組み、徐々に良くなってきています。今日の相手の中国RRさんもしっかり戦っていましたが、それにも対応できていたので、良かったと感じています」

──大事にしている一貫性のポイントはどういった部分でしょうか。

「ディフェンスに関しては、システムを信じてやり切ること。アタックに関しては、自分たちの走るラインを信じて遂行すること。そうすれば、必ず良い結果を得られると思っています。また、どのような相手でも、相手よりもエナジーを持ってプレーしていきたいと考えています。私たちは新しいチームとして始動しているので、毎週、毎週、お互いのことを知って学び合い、その中で得ていくものは大きいと思います」

NTTドコモレッドハリケーンズ大阪
杉下暢キャプテン

「アタックもディフェンスも自分たちのシステムの原点に立ち返ろうとチームで話し、臨みました。フォワードパックでしっかりとセットピースで圧力をかけた上で展開していこうというプランだったので、そのプランをしっかりと遂行することができたと感じています。しかし、チャンスを得たところで少しミスがあったので、そこを修正できればもう少しトライを重ねることができていたと思います。次の試合に向けて修正し、アタックの精度を高めたいと考えています」

──前回の試合では黒星がつきましたが、チームにどのような話をして今節に臨みましたか。

「『システムに関しては問題ない、あとは遂行力。ブレずにやり切ろう』と伝えました。今回の試合ではあまり難しいことはせず、シンプルに相手をドミネートしようというゲームプランで臨みました。それがこのような良い結果につながったので、今後さらに力を積み上げていきたいと思います」

──今回の試合は、自信にもつながったのではないでしょうか。

「ただ勝つだけではなく、試合内容がとても大事になってくる、という話はチームでしていました。今日の試合では、私たちが掲げている『アイズアップ・アップテンポ』というアタックスタイルを表現することができたので、ほかのチームとの対戦でもこのアタックでプレッシャーを掛けていきたいです」

中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズの岩戸博和ヘッドコーチ(右)、西川太郎 共同キャプテン

中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和ヘッドコーチ

「NTTドコモレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)の関係者の皆さま、本日はありがとうございました。
フィジカルの強いRH大阪の選手に対し、われわれはチャレンジャーとして泥臭いプレーをたくさんする必要があったと思います。そこを徹底できなかったことが今回の結果につながってしまいました。私たちは、『GROW UP』、成長していこうとスローガンに掲げ、これまで試合を重ねてきましたが、今日はこれまでで最も良くない内容の試合だったと個人として感じています。今回の試合でRH大阪のみなさんに気づかせてもらったことをしっかり修正します」

──「最も良くない試合だった」と感じているのは、どのような部分が原因でしょうか。

「うちのチームは、ディフェンスから流れを作るのが大前提です。しかし、今日のゲームでは粘り強さもなく、簡単に突破されるようなシーンが多くありました。それぞれが自分のやるべき仕事をもっとちゃんとできたのではないか、と選手たちに問いかけなければなりません。試合後のミーティングでも、選手たちに『自分自身で気づき、修正していかなければいけないね』と話をしました」

──3週間後の次戦に向け、意気込みを聞かせてください。

「次は、ホストゲームなので広島で試合を行えます。見に来てくださる皆さまにしっかりディフェンスをするわれわれのラグビーをお見せしたいですし、何か感じ取ってもらえるような熱いゲームができるよう、3週間でしっかり準備をします」

中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎キャプテン

「本日はありがとうございました。RH大阪さんの強いキープレーヤーに対して、タックルが甘くなってしまいました。また、前節に続き今節もスクラムでプレッシャーを受け、前半から試合運びがとても苦しい試合になってしまいました。スクラムから相手にアドバンテージが出たまま相手のやりたいようにプレーされて、流れも苦しい試合になっていました。次の試合まで3週間あるので、個人個人が自分のプレーをもう一度見つめ直す時間があります。まず個々が自分のプレーを修正し、そこからチーム全体の修正をしっかりして、次戦は勝利をつかみます」

──個人個人が成長し、チーム全体を修正するためには、どのような意識が必要でしょうか。

「私たちのチームには、大きい外国人選手もいないですし、本当に泥臭くディフェンスからペースを握っていくしかありませんので、もう一度その意識を高めなければなりません。直近の数試合ではファーストタックルの精度が悪く、ゲインを取られています。ファーストタックルの精度を見つめ直し、一人目だけで終わらずに、二人目の仕事もしっかりやっていく必要があります。また、スクラムに関しては、8人全員でやる意識を高め、修正します」

──次の試合への意気込みをお願いします。

「今日は本当に残念なゲームになってしまいましたが、次のホストゲームに来てくださる方々には『良いチームだな』と思ってもらえるようなラグビーをお見せしたい。勝利を目指し、がんばっていきます」

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