2024.01.28NTTリーグワン2023-24 D1 第6節レポート(トヨタV 12-28 BL東京)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第6節
2024年1月27日(土)14:30 豊田スタジアム (愛知県)
トヨタヴェルブリッツ 12-28 東芝ブレイブルーパス東京

「トップ4に入る実力がある」という指揮官の
言葉にそぐわない現状。トヨタVの課題は集中力

「試合をとおしてスイッチを切らずに、常に堅いディフェンスができるチームになっていくこと」だ大事だと、トヨタヴェルブリッツのピーターステフ・デュトイ選手

プレーオフトーナメント進出のためにも、上位の東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)から白星を挙げたいトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)だったが、規律の乱れと細かなミスから主導権を明け渡してしまい、勝点1を得ることもできずに敗戦。順位を8位に落とした。

序盤はトヨタVペースだった。BL東京に対し激しいコンタクトプレーを挑み続ける。前半8分にはタップキックでのクイックリスタートでスキを突いた福田健太がビッグゲインを見せ、キックパス。これを受けた高橋汰地がトライを奪って先制した。ベン・へリング ヘッドコーチも「トヨタVとしてはパッションを見せることはできた」と、立ち上がりは満足いくプレーをすることができていた。

しかし、流れは徐々に上位チームに傾いていく。その原因は「イージーなペナルティを犯してしまったこと」だとキャプテンの姫野和樹。特に接点で我慢し切れずに数多くのペナルティをしてしまい、後半はイエローカードも2枚受けた。そしてうまくいかないことでイージーなミスも頻出してしまう。

ラグビーワールドカップ2023フランス大会決勝でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたピーターステフ・デュトイも同調する。「このレベルの高い試合で、これだけの数のペナルティを犯し、集中力が切れたら相手にそのスキを突かれてしまう。そこは直さないといけない」と、喫緊の課題だと口にし「一貫性が一番大事なこと。試合をとおしてスイッチを切らずに、常に堅いディフェンスができるチームになっていくことがトップ4に入るためには絶対に必要だ」と力を込めた。

第6節を終え、先頭集団に3チーム、セカンドグループは5チームと徐々に色が分かれてきた。その中でベン・ヘリング ヘッドコーチは「われわれにはトップ4に入る実力がある」と力説し、周囲もそう評価する者は多い。

事実、前々節の首位・埼玉パナソニックワイルドナイツ戦も、前半はトヨタVらしい試合で圧倒できたし、今節も同様に2位のBL東京を追い詰めていた。

だが、実際はセカンドグループの下位にいる。本来いるべきはずのポジションに上がるためには、前半だけでも、60分間でも、70分間でもダメ。80分間のトータルで自分たちの持つすべての力を発揮し、ときには我慢をしながら、ゲームと自分をコントロールすることが必要になる。

(斎藤孝一)

トヨタヴェルブリッツ

トヨタヴェルブリッツのベン・へリング ヘッドコーチ(右)、姫野和樹キャプテン

トヨタヴェルブリッツ
ベン・ヘリング ヘッドコーチ

「ホストゲームで負けというのは、非常に残念な結果です。トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)のハートを見せることはできたと思いますが、最終的に東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)さんがいい試合運びをして勝ち切った。われわれとしてはキック、そして陣取りのところで勝つことができませんでした。

とはいえ、トヨタVとしてはパッションを見せ、激しくプレーすることができました。ただ、ディシプリンやコントロールが試合の痛手となりました」

──勝ち点を見るとトップグループとセカンドグループに分かれてきました。その中で上位に行くために必要なことは何でしょうか?

「もちろん自分たちもトップグループに入りたいという気持ちはありますし、その実力はあると考えています。やはり試合の中で、埼玉パナソニックワイルドナイツ戦でも見られたように、一貫性を持つことが必要だと感じています。現在も伸びてきている部分はあるので、これから試合をしていく中で、それをこのまま伸ばしていきたいと思っています」

──先発した福田健太選手について評価をお願いします。また後半開始からアーロン・スミス選手を出場させた理由は何でしょうか?

「彼は素晴らしい選手ですし、将来有望な選手です。最初のトライで見られたように、彼はXファクター(特別な才能)を持っています。次の日本代表のスクラムハーフとしてプレーする、そういった才能を持っている選手だと思います。またアーロン・スミスの力を借りて、次のレベルに達しようとしています。人間的にも素晴らしく、成長への意欲もありますので、将来が明るい選手だと思っています。試合の前からアーロン・スミスはハーフタイム付近で投入しようと考えていました」

トヨタヴェルブリッツ
姫野和樹キャプテン

「エリアを獲得することができずにディフェンスに回る場面が多かったですし、自分たちでコントロールできるような簡単なペナルティを犯してしまって、イエローカードを受けて、流れをうまく自分たちに持ってこられずにやられてしまった。いいエナジーを見せて、自分たちのやりたいことをやろうという気持ちはありましたが、そこにスマートさをもう少し身に付けないといけないと思います」

──後半は密集付近でのペナルティが増えたが要因は何だったのでしょうか?

「そこは自分たちでコントロールできる部分だと思います。本当にいらないペナルティがありました。レフリーのコールを聞かなかったり、手をはたいたりとか。それは自分でコントロールできることです。そのペナルティに関しては、自分たちが責任を持って、今後向き合っていかないといけないところだと思います」

──リーチ マイケル選手と日本代表新旧キャプテン対決になりましたが、感想を教えてください。

「僕も彼に負けたくないという気持ちが強いです。今回はBL東京さんが勝ちましたし、(今季のレギュラーシーズンでは)次(の対戦)がないのはちょっと残念ですけど、そうやってお互いに切磋琢磨しながら、自分たちも年になってきたので、下から追い上げられないように、自分たちでしっかりとライバルとして、パートナーとして、やっていきたいと思います。試合自体は楽しかったです。昔から似たようなスタイルでやってきましたし、こういうフィジカルバトルでBL東京さんと戦うのは楽しいです」

東芝ブレイブルーパス東京

東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチ(右)、リーチ マイケル キャプテン

東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ

「これ以上望むことはありません。特に前半はものすごくプレッシャーが掛かった中で、うまくいかないところもありましたが、ハーフタイムで、スコア上勝って折り返せたことは、心理的にも勝てるだろうと感じさせました。自分たちを信じているという気持ちはとても強かったし、チームからも感じることができました。
後半に入ってからは、自分たちがギアを上げることで、陣地を獲得して、大事な局面は勝っていたと思います。プレッシャーの掛け合いのところでも優位に立てました。トヨタVさんもウチもいい準備をして臨んだ中で、最後は落ち着いて勝利できたことは、ものすごくうれしく思っています」

──ハーフタイムでの指示はどういったものでしたか?

「前半は遂行力がかなり乏しかったと感じていました。特にルーズボールのところや、無理にオフロードでつなごうとしたりしたところで課題があったので、そういうところは一旦なしにして、後半はキックゲームで相手にプレッシャーを掛けていこう、と。キックゲームの遂行力という意味ではものすごくしっかりやってくれたと思います。規律に関しては、今日の試合ももちろん良かったと思いますが、今日だけではなくてここまでの5試合もかなり高い水準を保てています。それは自分たちのシステムを選手たちが信じてやれているからなのだと考えています」

──(「クロスボーダーラグビー2024」による)ブレイク期間のチーム作りはどう考えていますか?

「リーチ マイケルも含めて、ここまでたくさんの試合に出ている選手には、長めのオフを与えようかなと思っています。チームとしては2月10日にリコーブラックラムズ東京さんと練習試合が入っているので、ここまでコンタクトがあまりできていない選手や、試合時間をあまり獲得できていない選手を使いながら、チームとして、全体として、ブレイク明けの横浜キヤノンイーグルス戦に準備をしていくつもりでいます」

東芝ブレイブルーパス東京
リーチ マイケル キャプテン

「たくさんのファンの前で、リーグワンの試合ができて本当に良かったです。毎試合多くのファンが見に来てくれて本当にうれしいです。試合はなかなかリズムがつかめずに、両チームともに連続してポジティブなプレーができませんでした。良いプレーをしたらミス、トヨタVも良いプレーをしてもミスの繰り返しで、その中でもBL東京が自分たちをコントロールして、規律を守って、80分間できたことはとても良かったと思います。この勝利は自分たちにとって、自信にしていいと思います。これからブレイクに入りますが、しっかりリフレッシュして、修正するところは修正して、次の5連戦に向けて、いい準備をしていきたいと思います」

──これで6連勝になりました。

「本当にタイトな試合ばかりで、それを勝ち切ったことで自信になると思います。チームの1週間のプロセスをしっかりと勝利につなげています。ただ、このままじゃ優勝できないと思います。まだまだ仕上げないといけないところがありますし、まだまだ成長しないといけない。足りないところは、試合中に見てしまうことですね。特に後半、点数的に勝っているとき、キッキングゲームのときに見てしまったりすることがある。規律はいいし、課題は帰ってから自分たちに何が足りないか、(試合映像を)見たいと思います」

──リッチー・モウンガ選手が何度もラインブレイクをしたが、なぜそれができると思いますか?

「加速ですね。ちょっとした隙間があればそこを突いていく。直さないといけないところは、頼り過ぎてはいけないというところ。どうやってバランスよく戦うのかが課題だと思います」

──姫野和樹選手と日本代表の新旧キャプテン対決だったが感想を教えてください。

「負けたくないという気持ちでした。(姫野は)すごく強いし、チームのパッションリーダーです。彼がボールを持ったら絶対に止めたいし、(自分が)ボールを持ったらゲインしたかった」

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