2024.02.05NTTリーグワン2023-24 D2 第5節レポート(浦安DR 45-15 RH大阪)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第5節
2024年2月3日(土)13:00 駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場 (東京都)
浦安D-Rocks 45-15 レッドハリケーンズ大阪

初のNTTダービーの殊勲者は、両チームをよく知る男

浦安D-Rocksのヴィンピー・ファンデルヴァルト選手。力強いボールキャリーでプレーヤー・オブ・ザ・マッチに

2月3日(土)、ディビジョン2の第5節で、浦安D-Rocks(以下、浦安DR)とレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)がジャパンラグビー リーグワンの公式戦で初めて相まみえた。駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で、6,039人の観客がその熱戦を見守った。前半33分までは浦安DRが5対15でRH大阪にリードを許したが、前半終了間際に逆転して試合を折り返し、後半にはリードを広げて45対15で試合を終えた。

前半終了間際、スクラムからの流れで15対15に並ぶトライを決めたのは、スーパーラグビーや日本代表としての経験もあるヴィンピー・ファンデルヴァルト。浦安DR側に流れを引き寄せる、重みのあるトライだった。

ちょうどこの日は、ヴィンピー・ファンデルヴァルトにとって、ジャパンラグビー トップリーグ時代を含めたリーグ戦通算50キャップ目の節目の試合だった。現在は浦安DRでプレーするが2013年から2022年までRH大阪に在籍した選手でもある。試合後に行われた50キャップを祝うセレモニーでは、浦安DRのチームメートと旧知の仲であるRH大阪の選手たちから祝福を受けた。

しかもファンデルヴァルト選手、この日は両チーム通算で50試合目の出場となった

セレモニーのあと、「最初からフィジカルで厳しい戦いを強いられて、ブレイクダウンでは相手からプレッシャーをかなり受けた試合だった」と振り返ったヴィンピー・ファンデルヴァルト。試合の前半、相手にリードを許す展開となっていたが、「そのブレイクダウンのところでは、自分の頑張りを見せることができたかな、と思っている。また、ボールがないところでの働きは、必ずしも目に留まらないところかもしれないけれど、そういった部分でハードワークするようにした」。その貢献もあり、この日のプレーヤー・オブ・ザ・マッチも獲得。節目となった試合日と、日本で在籍した2チームの対戦であることが記されたキャップを手に入れた。

リーグ戦は、ちょうど半分を終えた。「5試合を終えて、4試合で勝利できている。チームとして積み上げてこられているものもあるので、シーズン終盤の入替戦に向け、また積み上げていきたい」と、目先のことではなく、昨季逃したディビジョン1昇格を見据えた目標を語ったヴィンピー・ファンデルヴァルト。その力強いキャリーは、目標に向かうチームにこれからも勢いをもたらす。

(前田カオリ)

浦安D-Rocks

浦安D-Rocksのヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ(左)、飯沼蓮キャプテン

浦安D-Rocks
ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ

「みなさん、こんにちは。今日はご来場いただき、ありがとうございます。
まずは勝利できたことに満足しています。厳しい試合展開でしたが、特に後半は落ち着きを取り戻して良いプレーができたと思います。前半(の途中)に5対15で負けている状況から、最終的に45対15に逆転することができたのは、選手たちが落ち着いてプレーしてくれたからだと思います。

前半は、かなりスローな展開で、ブレイクダウンについてはうまく反応できていないところがあり、そこでレッドハリケーンズ大阪さんがトライを重ね、私たちにプレッシャーを掛ける形になりました。後半では、セットピースのところ、特にスクラムで圧倒することにより、ブレイクダウンやコンタクトエリアでの激しさというのも徐々に上げることができて、逆転することができました。完璧な試合展開ではなかったですが、落ち着いて対処し、勝ち切ったというところには満足しています」

──「完璧な試合展開ではなかった」ことを受け、次節に向けて改善したいことは何でしょうか?

「前半のエナジーのところ、もう少しエナジーを出していくことと、ブレイクダウンの精度を高めるという点が主なところになってくると思います。ペナルティやセットピースでも小さなミスを重ねてしまっていましたが、ブレイクダウンに関しては緊急性を持って入る、というところに引き続きフォーカスを当てていきたいと思います。立ち上がり自体はそこまで悪くなかったとは思いますが、最初にトライを取られてからミスが続いてしまったことが問題だったと思います」

浦安D-Rocks
飯沼蓮キャプテン

「今日はありがとうございました。ヨハン(・アッカーマン ヘッドコーチ)も言ったとおり、前半は少し風下で、エリアのところでうまく攻められなかったり、自分たちのアタックのところでブレイクダウンやターンオーバーのリアクションスピードが良くなかったりして、自分たちの流れにうまくもっていけませんでした。後半はそれらをしっかり修正したことで、テンポが出てきて、流れをつかめたことは良かったです。けれど、それを前半からできていれば良かった、とも思います。うまくいかなかったとき、静かになってしまったり、みんな少し頭が真っ白になってしまったりする傾向があります。キャプテンとしても、チームとしても、そこに気づき、ミスはもう終わってしまったことなので、次に何をすべきかを明確にしなければいけません。みんなでコネクトしてプレーできれば、チームとしてもっと良くなると思いますし、ゲーム展開ももっと簡単になっていくと思ったので、そこはしっかり修正していきます」

──苦しい展開だった前半、感情に少し落ち着きがないような選手がいるようにも見受けられたが、最終的には落ちついて逆転勝利している。試合中にどのような話をしたか。

「ハドルをするシーンでは、少し前までは、みんなで話をし過ぎて次に何をするのか決まらないまま再開してしまっていました。それを改善しようということで、ハドルではリーダーが話をするということに決めました。それによって次にやるべきことにフォーカスできていたことは良かったですが、前半はレフリーに対して熱く訴えるなど、焦りが出ていたと思うので、後半は田村熙さんや僕から『しっかり落ち着いて自分の役割を果たそう』という話はしました」

──前半の最後、スクラムを選択した理由について。

「僕たちはモールが強みでしたが、前半はラインアウトのスローがうまくいっていませんでした。確実に得点したい場面でしたし、フッカーのケロ(サミソニ・アサエリ)にも確認しましたが、その表情や雰囲気などを見たところ、スクラムからボールを出して継続すればトライを確実に取れるだろうと思ったので、スクラムを選択しました」

レッドハリケーンズ大阪

レッドハリケーンズ大阪のマット・コベイン ヘッドコーチ(左)、杉下暢キャプテン

レッドハリケーンズ大阪
マット・コベイン ヘッドコーチ

「試合の入り方は、自分たちが求めていたことができたと感じています。特に最初の20分に関しては、正しい位置でボールを動かすことができ、結果を出すことができていました。ただし、前半の終盤に相手が勢いづき、自分たちにとって良い状態で終わらせることができませんでした。ハーフタイムにチームに話したのは、相手はサイズがある選手も多いので、一つ目のタックルで相手の下に入り、相手の勢いを確実に消さなければいけないということでした。前半のうちに選手たちがしっかりと出してくれた成果については、誇りに感じています。けれど、パスなどのプレー精度もそうですし、相手がフリーの状態を見逃してしまってもいたので、まだ細部を向上させていく必要はあります。引き続き、私たちは学び、成長していきます」

──直近2試合で課題になっていた部分は大きく改善できていた。改善できた要因は何でしょうか?

「いろいろな要因はあると思いますが、選手たちが学習できていることが大きいと思っています。開幕からの2試合で対戦した相手ももちろん良いチームですが、フィジカルのサイズに関しては、第3節以降に対戦したチームのほうが大きいチームでした。第3節、第4節でフィジカルゲームを経験し、選手たちはその経験を通じて、対処の仕方を学んでくれています。ゲームプランに関しても、自分たちに本当に合うのは何か、フィジカルの強いチームにどう対応していくのかなど、選手たちの理解も深まってきたのだろうと思います。課題になっていた『完全に遂行すること』に関しても、徐々にできるようになってきています。

私たちはディビジョン3からディビジョン2に昇格したチームですが、直近2試合で、レベルとしてはディビジョン1のようなフィジカルの試合の中で学んできました。そして、今回の試合に向けて、フィジカルの準備だけでなく、精神的な準備もしっかりできました。フィジカルゲームの中では、必然的に痛みは伴います。それが起こり得るということを理解した上で、精神的な準備もできていました」

レッドハリケーンズ大阪
杉下暢キャプテン

「浦安D-Rocks(以下、浦安DR)さんとの試合に向け、選手全員が良いエナジーで練習に取り組むことができていました。そのエナジーをしっかり出すことができ、前半のほとんどの部分に関しては、自分たちが思い描いていたとおりの展開にすることができました。前半の最後に守り切れなかったところと、後半のはじめにラインアウトで2本ミスしてしまったところから、徐々にモメンタム(勢い)を失ってしまい、このような結果になってしまったと感じています。やはり浦安DRさんのような強い相手に対して勝利するためには、しっかり守り切る、チャンスを確実にスコアに結び付ける、そうした当たり前のことをやっていかなければ勝てません。ここからはリーグ戦の後半戦が始まりますので、チームとしてさらにレベルアップし、戦っていきます」

──直近2試合では、実力を出し切れていない印象だったが、今日の試合では本来持っている力を出すことができていた。どういうことが改善につながったのでしょうか?

「コリジョンでしっかり戦えているからだと思います。われわれは、フィジカルが大きく強い選手が多いわけではないですが、ラグビーはマインドセット一つで変わる部分が大きくあると思っています。『激しく行くことはできるよ』という話は、私のほうからもチームにしっかりと伝えています。相手がフラストレーションを抱えるぐらいに激しく行くことで、自分たちのほうに流れを引き寄せることができるので、80分繰り返していこうという話を最近はよくしています」

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