NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第6節(交流戦)
2025年2月1日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ 53-26 浦安D-Rocks
D1唯一の6連勝。進化を遂げる25歳が、快進撃の立役者の一人
埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)が第6節のホストゲーム・浦安D-Rocks(以下、浦安DR)戦に53対26で勝利した。勝ち点4に加えてボーナスポイント1を獲得。後半に浦安DRの反撃を受けたものの、前半のリードを生かして勝ち切った。
バイウィーク明けの埼玉WKは、ディラン・ライリーが欠場した上に坂手淳史がリザーブに回るなど主力数人を入れ替えながら臨んだ試合。その状況の中、エセイ・ハアンガナは開幕から6試合連続で先発出場し、セカンドローとして攻守にハードワークを見せるなど、チームは力強い戦いを実践した。
「メンバーが変わってもワイルドナイツの戦いは変わらない。それぞれが役割を果たすだけ。前半の立ち上がりに勢いが生まれたことが勝利につながった」
オーストラリア出身の25歳。2022-23シーズンは7試合に出場したが、荒削りな面もありメンバーに定着できなかった。2023-24シーズンはプレシーズンで結果を残して信頼を得ると、けがの影響もありフル稼働こそできなかったものの、シーズン序盤にはゲームキャプテンに抜擢されるなど新境地を開いて出場数を増やした。来日5年目の今季は飛躍のシーズンだ。
「自分自身のコンディションも上がっているが、チームが良い状態なので、それを自分のパフォーマンスに反映できている。的確な守備とフィジカルを生かしたボールキャリーの部分で、自分の役割を遂行するだけだと思っている」
今季は、堀江翔太が引退し、松田力也が移籍するなど戦力に変化があった。さらに今節は前節から6人の先発メンバーが入れ替わっていた。それでも埼玉WKは強さを維持している。
「コーチが入念に戦略を練り、トレーニングに落とし込んでくれている。これまでの関係性がチームをさらに強くしている。浦安DR戦もタフなゲームになり、フェーズを重ねられないシーンもあり、点差以上に難しいと感じた。課題のないゲームはないので、次へつなげていくだけ」
今節は守備のタスクを果たした上で、堅実なボールキャリーを遂行。後半27分には勝利を決定づけるトライを決めるなど攻守の貢献が評価されて今季初のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出された。
「ゲームを通じてハードワークに徹して自分の役割をやり切った先にプレーヤー・オブ・ザ・マッチがあった。まだシーズンは6試合が終わっただけなので、ここから個人としてもチームとしても成長していきたい」
埼玉WKはリーグ唯一の開幕6戦全勝で首位を独走する。急激な進化を遂げるハアンガナが、快進撃の立役者だ。
(伊藤寿学)
埼玉パナソニックワイルドナイツ

埼玉パナソニックワイルドナイツ
ロビー・ディーンズ監督
「私たちにとって良い1日になりました。いろいろな選手たちにとって記念すべきゲームになりました。ヴァル アサエリ愛選手が(公式戦通算)100キャップ目、大西(樹)選手のゲームキャプテンデビューと50キャップ。ラクラン・ボーシェー選手も同様に50試合目でした。トム・パートン選手と川崎(清純)選手は本日が初キャップでした。バイウィーク明けの試合でしたが、新しいコンビネーションはとても良かったと感じています。浦安D-Rocksさんのような良い相手に、ボーナスポイントを得られて勝てたことをうれしく思います。前の試合でハードに戦っていたので、その意味でもうれしく感じています」
──川崎選手を起用した決め手になった部分はどこですか?
「川崎選手の起用は今週に決めましたが、ハードワークしてくれていて成長を感じていました。日頃の練習や練習試合でも成長が感じられました。このような試合を経験することによって戦術理解度がより深まっていくと思います。試合でしか感じられないものがあります。川崎選手自身、このレベルでやっていく力は備えているので、この経験を生かしてさらにハードワークしてほしいと思います」
──大西選手をゲームキャプテンに選出した理由はどこにありますか?
「大西選手は長い時間、一緒に戦ってきましたし、シンプルな選択でした。今シーズンはリーダーシップグループに入っていて、選手たちからもリスペクトされていて、毎日100%でプレーしてくれています。自分たちが望むプレーを理解してくれているので、彼を選びました」
埼玉パナソニックワイルドナイツ
大西樹ゲームキャプテン
「みんなの記念すべき試合で自分としても初めてのゲームキャプテンを任せてもらって良い経験ができました。チームとしては週の初めからテクニックにこだわってやっていこうと。すべての局面でアタックもディフェンスもテクニックを見せていこうとしましたが、それが出せたかなと思います。改善点もありますが、バイウィーク明けで良い試合ができたと思います」
──50キャップの試合でゲームキャプテンとしてピッチに立った心境を教えてください。
「50キャップを迎えるまでに、いろいろな経験をしました。けがだったり、メンバーに入れなかったり、そういう経験をした中で、ワイルドナイツというチームがすごく好きですし、そこで50キャップが取れたことはとてもうれしかったです。ゲームキャプテンについてはびっくりしましたが、チームに貢献するという僕のやることは変わらなくて、いつもどおりに試合へ臨みました。周りにすごい選手がいっぱいいるので、助けてくれますし、僕は自分の仕事をするだけでした。ただ、最後はイエローカードをもらって迷惑をかけてしまって、申し訳なかったです」
浦安D-Rocks

浦安D-Rocks
グレイグ・レイドロー ヘッドコーチ
「前半に良いスタートが切れず、消極的な入りをしてしまい、フラストレーションが溜まってしまいました。ワイルドナイツさんのような良いチームにはもっと積極的なプレーをしなければなりません。後半は素晴らしいラグビーができたので一貫性を持ってラグビーをやり続けることが大切だと思います」
──後半、良くなった点はどこですか?
「後半にトライを3つ取れて、後半のスコアは21対21の同点で終えることができました。自分たちのアタック力を見せることができたので、そこは重要な戦略になっていくと思います。シンプルな部分をどれだけ突き詰められるかに尽きると思います。後半は本当に良かったと思います」
──前半に足りなかった点はどこですか?
「ワイルドナイツという良いチーム相手に、リスペクトは必要ですが、リスペクトし過ぎて待ちの状態になってしまいました。自分たちをもっとリスペクトしなければなりません。消極的ではなく積極的にプレーして攻めていかなければいけなかったと思います。ボールを大切にするなどの部分が大事です。後半はそういう部分を修正して良いプレーができたと思います」
浦安D-Rocks
飯沼蓮キャプテン
「寒い中、ありがとうございました。前半からチャレンジャーとして戦うべきでしたが、ああいう形で終えてしまって、後半にスイッチが入る展開でした。前半から自分たちの戦いができていれば、結果は分からなかったと思うので、しっかりと修正して次へ向かっていきたいと思います」
──この試合へ向けてどんな意識で臨みましたか?
「チームに伝えたのは、自分の役割を明確にして80分間をやり抜くことです。勝っていようが、負けていようが、目の前の仕事に集中すればおのずと結果がついてくると話していました。ただ、前半の入りが悪くてトライを取られ続けてエナジーを奪われてしまいました。ハーフタイムにグレイグ・レイドロー ヘッドコーチから活をもらいました。その時点で甘いのですが、後半は自分たちのプレーができて、それができれば戦えることが分かったので、これを持ち帰って、自分の仕事をするという部分をもう1回、やっていきたいと思います。1週間、良い準備ができていたのですが試合前のウォーミングアップで静かになってしまいました。それは選手に伝えましたが、全員の責任です。アップからエナジーを持って、それを伝染させて、コネクトして試合に臨まなければいけませんでした。そこが大切になると思います」