NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第8節(交流戦)
2025年2月15日(土)14:30 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 25-20 コベルコ神戸スティーラーズ
“えどりく”20連勝が与えた気づき。さらなる高みへ向け、進化は続く
たとえ同じ出来事であっても、捉え方次第で受け取る印象が変わってくることがある。今季のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)は「ボムスコッド」の投入などで後半戦の強さが際立ち、この試合でもコベルコ神戸スティーラーズに劇的な逆転勝ち。ホストスタジアム「えどりく」がオレンジの歓喜に包まれた。
前半は相手に主導権を握られ、3対20と大量のリードを許して不敗神話に黄信号が灯ったものの、後半、一気に巻き返して同会場での連勝記録を「20」に。いつもの“後半に強いS東京ベイ”がそこにいた。鮮やかな同点トライを決めてプレーヤー・オブ・ザ・マッチにも選出された立川理道が、戦いを振り返った。
「今日のゲームの立ち上がり、前半の40分は良くなかったと思います。ここ数試合、前半の立ち上がりが良くなく、反省する必要があると思っています」
今回の一戦で連続スタメン出場30試合を達成し、劇的な逆転劇を80分間フル出場で支えた末永健雄は言う。
「前半に耐えたからこそ後半に良いプレーができると思います。ただ、前半はいつもあまり良くなく、そこは課題だと思っています。前半からしっかりやっていこうという話はしているのですが、なかなかうまくいっていません」
前節の横浜キヤノンイーグルス戦でも11点のビハインドを跳ね返しての勝利。2試合続いての逆転勝ちを「後半に強い」と捉えるか、「前半に課題がある」と捉えるか。順風満帆に見えるときこそ、リスクを再評価すべきなのかもしれない。
「基本的にはしっかりと先行してゲームをうまく支配するほうが勝率は高くなると思います。先を見据えているわけではないですが、プレーオフトーナメントになると追う側が絶対に厳しくなってくると思うので、前半の入りの部分はしっかりと修正していかなくてはいけないと感じています」(立川)
不敗神話の中で浮き彫りになった新たな課題。敗戦は最大の教師だと言うけれど、勝ち続けている中でいかにして改善点を明確にし、攻略していくか。そこに、進化の伸びシロがある。だから、さらなる高みを目指していける。ラグビーはいつも僕らに気づきを与えてくれる。
(藤本かずまさ)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ
「当然のことですが、常に勝利し続けることは素晴らしく、非常に重要なことです。前半はミスが多く、ペナルティによってプレッシャーを受けました。逆にコベルコ神戸スティーラーズさんは完璧なスタートを切りました。しかし、後半に巻き返して勝てたというところは大きいです。
その後半では、タスクに集中し続け、しっかりと遂行できました。精度も前半から後半にかけて大きく変化し、プレッシャーを掛け続け、それをポイントに変えることができました。私たちがやりたいラグビーが機能し始め、そしてフィールド上でのリーダーが良い決断を下し、推進し続けることを可能にした結果だと思います」
──後半開始早々に2トライを奪いました。
「今季、同じような状況が何度かありました。後半良かった点は、前半できなかったプレッシャーを掛け続け、点数に変えることができた点です。それは、お互いを信頼し、やるべきことをプロセスどおりにきっちりこなせたからです。選手たちを称賛すべきです。特に、精度とターゲットを絞った中で精度が高まったことが、勢いにつながったのだと思います」
──これで、えどりくフィールド20連勝になりました。
「ここは私たちのホームグラウンドであり、ファンのみなさんが作り出す雰囲気は最高です。しかし、最も重要なのは、自分たちのプランを実行することです。前半は精度が足りませんでしたが、そこから学びました。成功するためには、良いプレーをしなければなりません。一貫して良いプレーをすることで、結果は付いてくるはずです」
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
ファウルア・マキシ キャプテン
「今日は自分たちにとって大事な試合で、タフなチームに対してのいいチャレンジだったと思います。これは今週ずっと言い続けてきたことですが、週の頭からしっかりと準備を大切にして、チームでしっかりいい準備ができたからこそ、最後に勝ち切ることができたと思います。これは自分たちにとっていいことだと思います」
──前半終了時点で17点のビハインドを背負っていましたが、後半に向けてチームでどういう声掛けをしましたか?
「『前半のことは忘れて、スコアボードは関係なく、ゼロからしっかりスタートして、最初の後半の入りに集中してやっていこう』というメッセージを伝えました。『目の前のことにフォーカスしていこう』と。それがうまくできたのかなと思います」
コベルコ神戸スティーラーズ

コベルコ神戸スティーラーズ
デイブ・レニー ヘッドコーチ
「前半は本当に素晴らしいラグビーができました。ディフェンスも良かったですし、タックルも良かったです。チャンスもたくさん作ることができました。後半はフラストレーションが溜まる展開でしたが、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)さんも素晴らしいチームです。早い時間で2トライを取られてしまいました。
後半、選手たちのことを考えると、レフリングについても難しいところがありました。試合終盤に関しても、状況を見直しても、神戸がペナルティをもらうべき(相手のペナルティ)ではないかという瞬間もありました。そこは選手たちにとっては本当にきつかったと思います。
残念ですが、ここは簡単に勝てる場所ではありません。しっかりといいパフォーマンスを出しましたが、後半に関してはコンテストキックへの対応をもっとうまくできたのではないかと思います。結果には非常に残念ですが、勝つべき、勝ち切れるような努力はできたと思います。ただ、勝ち切ることができなくて本当に残念です」
──今回メンバーをかなり変更しましたが、うまくいった点、うまくいかなかった点はどこですか?
「前半は素晴らしい出来だったと思います。後半に関しては、自分たちがボールを持っている時間が少なかったです。ペナルティカウントも17対7で苦戦しました。S東京ベイさんは本当に素晴らしいチームなので、ペナルティやボールキープで優位に立たれると、止めることが難しいです。自分たちのできることを高いレベルでやり続ける必要があります。
コンテストキックに関しても、キッカーにもっとプレッシャーを掛ける必要があったと思います。そうすれば、キッカーに良い位置にボールを落とす時間を与えずに済んだはずです。リーグワンの中でもS東京ベイは一番キックを使ってくるチームだということは分かっていたので、対応力を上げなければいけません」
コベルコ神戸スティーラーズ
李承信 共同キャプテン
「試合前に『一人ひとり、個人のバトルでしっかりと勝っていこう』というテーマがありました。前半は特に、グラウンドに立っていたメンバーはしっかり体現できていたと思いますし、しっかりといいラグビーができたと思います。
後半は、満足することなく、自分たちのタンクをさらに満タンにしていこうという話がありました。コンテストキックのレシーブや、ディフェンスのところでの相手のインパクトプレーヤーに対してなど、どんどん後手になっていきました。
80分間をとおして、一人ひとりがしっかりバトルに勝って役割を果たして、チームとして勝ち切るというマインドセットのところを変えていかないと、毎試合同じことの反省をしているだけでは成長はないと思っています。80分とおしてのバトルに勝てるようにしていきたいと思いました」
──後半、S東京ベイが強いインパクトプレーヤーを投入してくることは予想していたと思いますが、想定していた中でうまくいかなかったことがあったのでしょうか?
「相手のリザーブプレーヤーへの対策という意識は、そこまでチームとしては持っていませんでした。自分たちもいいリザーブメンバーがいますし、チームとして層は厚いと思っています。前半と後半で何かプランを変えて戦うということはなかったです。前半は本当にいいラグビーをしていたので、このまま後半の5分、10分でもしっかりと自分たちから先制パンチを打てるようにという話をしていました」