2025.03.02NTTリーグワン2024-25 D1 第10節レポート(相模原DB 7-22 BR東京)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第10節(交流戦)
2025年3月1日(土)12:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
三菱重工相模原ダイナボアーズ 7-22 リコーブラックラムズ東京

“成長痛”を乗り越えるために。問われるのは“エクスキューション”

手痛い3連敗を喫した三菱重工相模原ダイナボアーズ。次はバイウィークをはさみ、3月16日に東京サントリーサンゴリアスと対戦する

三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)にとって“痛い敗戦”になった。

リーグ戦折り返し直後の一戦。ここから巻き返しを図りたい両チームにとって、喉から手が出るほど勝利が欲しかった。そんな思いが交錯する一戦でボーナスポイントも加える快勝を手にしたのはリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)。試合後のロッカールームからは歓喜の雄叫びが響いた。

その様相とは対象的に、会見場では相模原DBの岩村昂太キャプテンが「コミュニケーションの部分(での課題)が大きかった」と敗因を語り、肩を落とした。

相模原DBは、いいテンポでボールをつなぐ一瞬のきらめきを見せていたが、それにときおりズレが生じる。前半36分には、トライゾーンまであとわずかに迫ったところでパスが乱れ、中楠一期に80mカウンタートライを決められてしまう。

相模原DBはセットピースが安定せずに苦戦。ブレイクダウンでも過去の対戦と比べて後手に回るシーンが多く見られた。

司令塔のジェームス・グレイソンは「いろいろな場面で一歩早く反応したり、セービングしたりと勝負に勝つという気持ちは相手のほうがちょっと強かった」とBR東京を称え、苦戦の理由をこう振り返る。

「自分たちのアタックが機能するためには、ブレイクダウンで精度高くボールを出して、“ビッグボールキャリアー”にいいタイミングでボールを渡すことがカギとなります。そこですぐにボールを出せないと苦しくなってしまいます。それでも明確なコールがあったときにはいいプレーができたと思いますので、そこは大きな学びです」

相模原DBは今季初の3連敗と、最も苦しい時期を迎えている。

「やりたいことをやれば結果が付いてくることは分かっているのですが、トヨタヴェルブリッツ戦後の3戦はできていないので、残り8試合はエクスキューション(遂行力)に重きを置いてやっていきたい」と岩村。

チームがレベルアップするためには“成長痛”を乗り越えることが必要になるのだろう。この悔しさをバネにして2週間後、チーム一丸となって再びファイティングポーズを構えなければならない。“ダイナインパクト”の真価が問われるのはこれからだ。

(宮本隆介)

三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズのグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(右)、岩村昂太キャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ

「リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)さんおめでとうございます。素晴らしいスタートを切って10対0のときにわれわれがアタックして、(BR東京に)インターセプトされたところは、そこが10対7になるか17対0になるかの大きな一瞬だったと思います。後半から自分たちも粘り強さを見せていいプレーもありましたけど、何回かチャンスがあっても(得点を)取り切れなかったところが一番残念なところでした」

──エクスキューション(遂行)のところは、特に前半でフラストレーションが溜まったと思いますが、ハーフタイムに何を話したのでしょうか。

「トライを取り切れるところで最後にミスをしたのは、自分たちのコミュニケーションに問題があったと思うので、ハーフタイムに基礎に戻すことを話して、『名前をコールすることと、どういう行動を起こしてほしいかを明確にしよう』と話して、後半は少し改善できたと思います」

──アーリーエントリーのジョアペ・ナコ選手、ハニテリ・ヴァイレア選手の起用意図と、何を期待していたのかを教えてください。

「二人ともリーグワンでプレーする能力があると思うので、年齢関係なく選ぶのが自分の考え方です。(ほかの選手の)けががあってチャンスをもらいましたけれど、二人ともチャンスをつかんでいると思います。今後長くダイナボアーズで活躍できると期待しています」

三菱重工相模原ダイナボアーズ
岩村昂太キャプテン

「アタックでチャンスを作り出していましたが、ゴール前に行ったところで(得点を)取り切れなかったところや、最後の(人数が)3対2のところでミスコミュニケーションがあり、うまくいかなかったところで、自分たちは自滅してしまった部分がありました」

──ハンドリングエラーでもったいないシーンがありましたが、プレッシャーを受けたからなのか、それとも自分たちのつながりが悪かったからなのか、どう感じていますか。

「特に前半は外側からのコールがなくて、ジミー(ジェームス・グレイソン)の判断(だけ)になってしまってうまくいかないところがありました。スキルよりはコミュニケーションの部分が大きかったと思います」

──TJ・ペレナラ選手とのマッチアップはどうでしたか。

「ブラックラムズさんはTJ・ペレナラ選手を中心としたチームで、ペレナラ選手は自分でなんとかできる力を持っていると思いました。当たり前にハードワークをするところも見習うところです。ただ今日はそういうところにプレッシャーを掛けていきたいと思いながらプレーをしていました」

──ここまでの戦いを振り返ってどう感じていますか。また、今後どのあたりを修正していきたいですか。

「直近4試合の話をすると、トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)戦はすごくいい入りができて、後半追い付かれそうになりましたがしっかりと逃げ切りました。その次は逆に三重ホンダヒート戦で逆転負けをし、その次に難しい埼玉パナソニックワイルドナイツ戦があって、今回また自分たちがやろうとしていたことを遂行できなかった。うまくいっていない試合が3戦続いています。トヨタV戦の最初はやりたいことができて勝ち切ることができました。やりたいことをやれば結果が付いてくることは分かっているのですが、この3戦できていないので、残り8試合はエクスキューションに重きを置いてやっていきたいと思います」

リコーブラックラムズ東京

リコーブラックラムズ東京のタンバイ・マットソン ヘッドコーチ(左)、TJ・ペレナラ ゲームキャプテン

リコーブラックラムズ東京
タンバイ・マットソン ヘッドコーチ

「自分たちのパフォーマンスと先週から続くコンシステンシー(一貫性)を誇りに思います。このリーグで、自分たちにとってボーナスポイントは大切なものだと思います。精度は高くなかったですが、コンプリートし切れないプレーもたくさんあって、それでも戦い続けて、いいディフェンスで相手を止めることができたので必要な結果だったと思います」

──スクラムや接点での激しさという意味でのコンシステンシーが先週から続いている要因を教えて下さい。

「大山(祥平)がすごく調子が良くて、パディー(ライアン)が出ても彼がスクラムにコンシステンシーをもたらしてくれます。タイトヘッドの二人がいいパフォーマンスを続けているとスクラムに自信が付きます。三菱重工相模原ダイナボアーズさんはベストプロップ二人をけがで欠いているので、今日みたいな日はアタックするチャンスでした」

──44対45で敗れた前節の東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)戦からのフィードバックはどんなものでしたか。

「BL東京戦のパフォーマンスを今日にしっかり続けることにフォーカスしていました。いいパフォーマンスをした次の週は悪くなる傾向があったので、今週は同じくらいのレベルでプレーすること。ラグビーはベースにフィジカルがあるので、(BL東京戦で)44点を取ったとはいえ、ディフェンスが酷く、インディビジュアルのタックルミス、システムも悪いところがありました。そのため、テクニカルなところではそういうところにフォーカスしました」

リコーブラックラムズ東京
TJ・ペレナラ ゲームキャプテン

「今までに比べたらアタックの部分は精度が低かったと思います。その中で、ディフェンスで相手を7点にしっかりと抑えました。それができると勝ちやすいです。先週は44点取っても負けたので、今日はディフェンスを誇りに思います。でもまだまだやらなければいけないことがあるのは理解していますし、自分たちとしては毎週いいコンシステンシーでプレーしたいと思います。でも今日の勝利と勝ち点5はしっかりと楽しみたいと思います。(バイウィークで)1週間空くので、家族との時間や体を整えて次の試合に向けて準備していきたいと思います」

──ゲームキャプテンをやる上で注意していることは何ですか。

「私のプレー自体は変わりません。ディシジョンメイキング(決断すること)は各エリアのリーダーと話し合っています。例えば今日は60m地点でペナルティがあって、パディー(ライアン)から『スクラムでいける』ということを聞いて、それを信じて、またペナルティをもらって時間を使いました。ディシジョンメイキングは重要なのかなと思います。レフリーとの関係性も大事で、もっと頑張って日本語を勉強したいと思います。レフリーとカジュアルな感じで話すことができるようになればもっといい関係性が築けると思います」

──前半の終わりごろ、相手ボールのスクラムでスクラムハーフの選手が出てきたところを止めたシーンを振り返ってください。

「相手9番のいいディシジョンだったと思います。左側がアップして6番が影響を受けていました。僕はウイングをマークしていましたが、スクランブルディフェンスで止めなければいけないシーンでした」

──スクラムや接点での激しさという意味でのコンシステンシーが先週から続いている要因を教えて下さい。

「トレーニングウィークでハードにやっているので、コンシステンシーはあるかなと思います。自分たちの中での期待値も高いので、接戦で落としたゲームの悔しさが存在するのも重要だと思います」

──日本ラグビーのTMO(テレビジョンマッチオフィシャル)の数についてどう思いますか。

「正しいコールに使われるのであればアグリーです」


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