2025.05.12NTTリーグワン2024-25 D2 第14節レポート(S愛知 7-38 花園L)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第14節
2025年5月10日(土)12:00 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 7-38 花園近鉄ライナーズ

「楽しみながら準備していきたい」。花園Lは全員の力を集結させて、D1への帰還を果たす

「今日勝ったといううれしさよりも、まだみんなでプロセスを踏めることの喜びのほうが大きい」と語る花園近鉄ライナーズの野中翔平選手

豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)のホストゲームとしては、今季最多となる2,379人がウェーブスタジアム刈谷に駆け付けた、ディビジョン2のレギュラーシーズン最終戦は、花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が、38対7で完勝を収め、D1/D2入替戦進出を決めた。

これで花園Lは破竹の7連勝。シーズン序盤はつまずいた感もあったが、「どんどんチームが固まってきた」という向井昭吾ヘッドコーチの言葉のとおり、連係面が向上。今節も勢いそのままに首位のS愛知を撃破した。

D1/D2入替戦進出を決めたことで、残り試合が2試合に伸びたものの、ゲームキャプテンを務めたウィル・ゲニアは「このチームでまだまだラグビーをやりたい」と惜しむ。野中翔平も口をそろえて言う。

「いまのチームのメンバーとできるのも、あと数週間しかありません。今日勝ったといううれしさよりも、まだみんなでプロセスを踏めることの喜びのほうが大きい。その時間をかみしめながら、勝つということにアプローチして、楽しみながら準備していきたいです」

昨季までチームのキャプテンをつとめた野中と、絶対的な経験値をもつゲニアとの間には、特別な絆があった。

「僕がキャプテンをやっていたときにもウィリー(ゲニア)がサポートしてくれていたので、今日は自分が良いパフォーマンスをして貢献することに加えて、彼がチームをリードしやすい方向に動きたいと思っていました」

ゲームキャプテンを務めたウィル・ゲニア選手も試合後に「このチームでまだまだラグビーをやりたい」と語った

チームの中心に立つ経験があったからこそ、分かるものがあると野中は語る。今季はキャプテンの役目を終え、一歩離れた位置で、リーダー陣をどう支えるかを模索した。

「自分のことに注意を向けながら話をするのか、チームのことに集中して話すのかでは、違いがあります。チームのことだけを考えて発言する能力がキャプテンには必要だと感じていたので、リーダーシップを発揮しやすい環境を作ることを意識していました」

チームの成功には、リーダー陣の働きだけでなく、それを支える人の献身も必要なのだと野中は教えてくれた。花園Lは全員の力を集結させて、D1への帰還を果たす。

(齋藤弦)

豊田自動織機シャトルズ愛知

豊田自動織機シャトルズ愛知の徳野洋一ヘッドコーチ(右)、ジェームズ・ガスケル共同キャプテン

豊田自動織機シャトルズ愛知
徳野洋一ヘッドコーチ

「本日は小雨が降る中で、レギュラーシーズン最終戦にたくさんのファンの方々、そして花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)のファンの方々もたくさん応援いただいたということで、チームを代表して感謝申し上げます。ありがとうございます。そして、花園Lさん、勝ち点5とD1/D2入替戦出場権を獲得されたということで、チームを代表して『おめでとうございます』という言葉も重ねて送りたいと思っております。

本日の結果自体は満足のいくような結果ではなかったですが、そのプロセスの中では良い部分もありました。あとは若い選手、これまで出場機会が少なかった選手がしっかり経験を積めたというところでも、チームとしてはポジティブな面はあったのかなと思います。入替戦は一戦一戦の勝負になってくるので、ここまでの戦い方というところは置いて、切り替えて進んでいきたいなと思っております。本日はありがとうございました」

──どのようなところに手ごたえを感じたのか教えてください。

「80分をとおして、ボールのポゼッションの部分とテリトリーの部分では、われわれが6割ぐらいを占めていました。しっかりボールを持つことと、テリトリーを取ることができたという部分では非常に良かったなと思います。特に、急きょメンバー入りしてゲームをコントロールする役割を担ったジェームズ・モレンツェが非常に良い仕事をしてくれたのも、チームとしてポジティブだったかなと思っています」

──D1/D2入替戦に向けて、取り組みたいことや準備したいことがあれば教えてください。

「われわれはチャレンジャーなので、この2週間で何かスペシャルなものを生み出せるとは思っていないです。ただ、われわれが準備したことを、2試合の間にどれだけのインテンシティーで発揮できるのか、自分たちの自信をいかに作って試合に臨むのかが一番大事だと思っています。この2週間、自分たち自身でより自信を深めて試合に臨みたいなと思っています」

──急きょメンバーを外れたフレディー・バーンズ選手の状態を教えてください。

「前節で少し痛めていたところを、試合前のウォーミングアップで痛めたということで、次の試合に間に合うかどうかというのは、難しいところではあると思います。ただ、そういうことも見越して、ジェームズ・モレンツェがしっかり経験を積んでいますので、フレディー・バーンズが間に合わなかったとしても、良いパフォーマンスをしてくれると思っています。もともとフレディー・バーンズに頼り切っているようなことではないので、特に大きな影響はないかなと思います」

豊田自動織機シャトルズ愛知
ジェームズ・ガスケル共同キャプテン

「ファンの皆さまに感謝しています。こんなにたくさんのファンの皆さまが来てくれたのは初めてだと思うので、そこはすごく感謝しています。今日の結果については花園Lさんの良かったところと、こちらのクオリティーが足りなかったところがあると思います。ですが、徳野洋一ヘッドコーチからもありましたが、フリッツ(・ヤンケタヴァナ)のように、初めてプレーした選手や若い選手にはいい機会だったと思いますし、トレーニングでも頑張っていた選手だったので、そういったことはチームとしてとてもうれしいことです」

──試合後にはファンと交流をして多くのエナジーをもらったと思いますが、あらためてメッセージをお願いします。

「ブルーのベースボールシャツを着てくださったたくさんのファンの皆さまのおかげで、選手たちはエナジーをもらえたと思います。ホストゲームはあと1試合あるので、今日来てくださった方はもちろん、お友達や知り合いの方を誘ってもらって、たくさんのファンの方々に観に来てほしいと思います」

──残りの試合にチーム一丸で臨んでいくために、キャプテンとして掛けたい言葉があれば教えてください。

「今までやってきたことを最後までやり切ることと、チームのために犠牲を払って、一人ひとりがチームのために頑張るというところは、準備期間の2週間をとおしてやっていかないといけないと思います」

花園近鉄ライナーズ

花園近鉄ライナーズの向井昭吾ヘッドコーチ(右)、ウィル・ゲニア ゲームキャプテン

花園近鉄ライナーズ
向井昭吾ヘッドコーチ

「本日はありがとうございました。今日は必ず勝ってD1/D2入替戦の切符を取ることをターゲットにしてきましたけれども、その結果が得られて非常に良かったと思っています。今日は接点のところで絶対に負けないということで、前後半オールアウトをするということを選手はそのまま具現化してくれたかなと思っています。入替戦に向けては、もう一段レベルアップして、必ず昇格したいと思っています」

──どういった部分をレベルアップさせていきたいのか教えてください。

「今日の前半もペナルティをかなりしてしまって、敵陣に入れない時間もありましたから、そういう部分では、ペナルティをしないでディフェンスし続けて、そこから切り返しができるようにしていきたいです。マイボールを確実にマイボールにして、アタックしていくことをやっていかないと、ディビジョン1ではなかなか勝てないと思います。そういうところを修正して、次のゲームに向かっていきたいなと思っています」

──先ほどウィル・ゲニア選手がおっしゃっていたように、チームとしてまとまりがあるとヘッドコーチもお考えですか。

「今日の得点を見ていただいても、どんどん試合を重ねるごとに、チームワークが深まっていると思います。いまチームのやっているアタックのところについても、そこにボールを運べることができればトライが奪えるというようなところまできています。このチームはまだまだ伸びると思うので、伸び切ってシーズンを終わりたいなと思っています」

──試合が終わった瞬間、大きくガッツポーズをしていたのが印象的でした。

「今季は、D1から落ちてきた中で、みなさんはたぶん『花園Lが勝つだろう』という、そういうような状況で、私たちもそのような気持ちがあったかもしれないです。でも、やっぱりそこからどんどんチームが固まってきて、成長して、1試合ずつゲームをやることによって、だんだんと思ったとおりにみんなができるようになってきたと感じます。もっとチームは強くなると思っていますので、それを最後までこのメンバー、スタッフとやり切りたいという思いが出たなという感じです」

花園近鉄ライナーズ
ウィル・ゲニア ゲームキャプテン

「このチームが大好きで、このメンバーでラグビーができていることを楽しんでプレーができました。シーズンの序盤はチームとして結果が出ていなかったですが、ご覧になって分かるとおり、チームとしてはどんどん固まってきていて、どんどん成長していっています。この時期になると、来季の去就についての話が出てきますが、残念でならないです。このチームでまだまだラグビーをやりたいです。せっかくみんなが固まり始めて、良いラグビーができ始めているのに、これで終わってしまうのが残念でならないです。なので、残された時間を精一杯楽しもうと思います」

──あと1トライを挙げればトライランキングでトップに並ぶことになっていましたが、悔しさはありますか。

「いいえ。チームが勝てばそれでいいです。個人よりも、やはりチームのほうが大事です。そういったチームカルチャーを作りたいと思って頑張ってきました。チームとして勝つことができて、もう2試合できるので、それがうれしいです」

──D1/D2入替戦に向けて意気込みをお願いします。

「待ち切れません。このためにやってきましたので、目一杯楽しもうと思います」

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