2025.02.17NTTリーグワン2024-25 D3 第6節レポート(L戸田 39-34 LR福岡)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第6節
2025年2月16日(日)12:00 太田市運動公園陸上競技場 (群馬県)
ヤクルトレビンズ戸田 39-34 ルリーロ福岡

前節の悔しさを振り払う6トライ。執念が実を結んだ4試合ぶりの勝利

3トライでプレーヤー・オブ・ザ・マッチの活躍をみせたヤクルトレビンズ戸田のジェイコブ・マティウ選手

最後のワンプレーまで勝敗がどちらに転ぶか分からない展開となったヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)とルリーロ福岡(以下、LR福岡)の一戦。後半40分を告げるホーンが鳴ったときに、チャンスを迎えていたのはLR福岡だった。右サイドから攻撃を展開して、敵陣の22mラインを越えたところまでボールを運ぶも、ラインアウトで痛恨のペナルティ。その後L戸田の選手がボールを外へ蹴り出してノーサイドとなった。

これでLR福岡は開幕から6連敗となってしまったが、脅威の粘りを見せて勝ち点1のボーナスポイントを奪い取った。これには豊田将万ヘッドコーチも「選手たちを誇りに思う」と称賛し、三股久典キャプテンも「胸を張って福岡に帰ります」と、自信に満ちた表情で応えていたのは印象的だった。

そんな試合の中で光ったのが、ボールキャリーにおける強さを見せつけたL戸田のジェイコブ・マティウと古川拓実だ。縦への攻撃意識を強くもち、立ち上がりからハードなアタックをしかけていたL戸田。前節で4試合ぶりに復帰を果たしていたマティウは、相手のスキを突くパワフルなアタックで流れを引き寄せ、3トライを挙げてプレーヤー・オブ・ザ・マッチを受賞。一方の古川も、相手のタックルにも動じない体の強さを見せつけて、多くのチャンスを演出してみせた。

マティウは「立ち上がりはL戸田のスタイルが打ち出せてよかった。でもLR福岡さんの粘りでしんどい試合になってしまった」と語った。そして4週連続での試合が続くことについては「とにかく体のケアも含めて、ほかの選手と一緒にいいリカバリーをして次の戦いに挑みたい」と話した。

攻守で持ち味を発揮し、リーグワンで戦える喜びをかみ締めながら試合に挑んでいるという古川は「内容的には決して良いものではありませんでしたが、前へ向かう推進力と、体を張るディフェンスという自分の武器を発揮できたのはよかった」と4試合ぶりの勝利をかみ締めた。

古川拓実選手。「前へ向かう推進力と、体を張るディフェンスという自分の武器を発揮できた」

第5節ではノートライに終わる悔しさを味わったL戸田。この経験を生かすべく、二人を含めたトライへの執念はしっかりと実を結んだ。ディビジョン2昇格を目指す激しい戦いは続く。この一戦で得たものは大きいはずだ。

(松野友克)

ヤクルトレビンズ戸田

ヤクルトレビンズ戸田の河野嵩史ヘッドコーチ(左)、多田潤平 共同キャプテン

ヤクルトレビンズ戸田
河野嵩史ヘッドコーチ

「まずはルリーロ福岡さん(以下、LR福岡)、遠いところまで来ていただきましてありがとうございました。強いフィジカルを中心にして、最後まで勝ちが見えない中で苦しい試合になったと思います。ただ、後半途中まではゲームプランどおりにできましたし、最後に勝ち切れたというのは、リザーブの選手含めてチームの良い財産になったのではないかと思います。そこを積み上げて、来週の中国電力レッドレグリオンズ戦(以下、中国RR)もしっかり勝ち切りたいと考えています」

──立ち上がりから縦への意識を強くアタックを続けていた印象ですが、そこは狙いどおりということでしょうか?

「そうですね、おっしゃるとおりです」

──ラスト10分くらいから、相手に押されてしまう苦しい展開になりましたが、その原因はどこにあると思いますか?

「実際、天候、暑さというものもありましたし、けがから帰ってきた選手も多いということもあって、足がつり始めた選手が増えた部分もあります。あそこで交代した選手がしっかりと前で、80分出ている選手を引っ張っていかなければいけないという課題はあるかなと思います」

──今節から二巡目の戦いになりましたが、一巡して見えてきたチームの良さ、課題などを聞かせてください。

「昨季から(リーグワン)参入を見据えて、アタック、ディフェンスともに変えてきた部分が徐々に実を結んできているかなと思います。ただセットピースなどはまだまだな部分もあるので、もう一度自分たちのベストなプレーをできるように改善している途中です。そこはある程度、今日の試合では克服できた部分もあり、得点につながったのかなと思います」

──まだ勝ち点差はありますが、上位2チームが敗れたことで、差は縮まりました。入替戦圏内を目指す上での、今後への取り組みを聞かせてください。

「入替戦圏内に入ることはまったくあきらめていない中で、上位チームの勝敗は、われわれにとっては良い方向だと思っています。ですが、今後は相手うんぬんではなく、自分たちにしっかりとフォーカスして、日々成長しながら、入替戦にいければと思います」

ヤクルトレビンズ戸田
多田潤平 共同キャプテン

「まずは、ルリーロ福岡さん、ありがとうございました。そして会場の運営に携わっていただいたみなさん、ありがとうございました。本当に良いグラウンドでプレーできて、初めての会場でしたが、プレーに集中できたかなと思います。土曜日の2試合がいずれも逆転している展開というところもあり、選手としては非常にプレッシャーを感じる中での試合になりました。できたこと、できなかったことは明確になっているので、次の中国RR戦は、負けている相手なので、ひっくり返す気持ちで1週間、準備できればと思っています」

──ラスト10分くらいから、相手に押されてしまう苦しい展開になりましたが。その原因はどこにあると思いますか?

「LR福岡さんの、キャリーが強い選手やウイングの選手を中心にゲインしているところに対して、後半途中から出場した選手たちがコミットできずに、ゲインを重ねさせてしまったところが、最後に追い詰められた要因になったかなと思います」

──今日から二巡目の戦いになりましたが、一巡して見えてきたチームの良さ、課題などを聞かせてください。

「前節、ノートライで終わってしまったことは非常に悔しく感じていたので、今日はトライという形ができたのは良かったところです。あとは、後半に自分たちでテンポアップしていかなければいけないところは課題だと思うので、そこはもう一度チームで加速させられるようにやっていきたいなと思います」

──まだ勝ち点差はありますが、上位2チームが敗れたことで、差は縮まりました。入替戦圏内を目指す上での、今後への取り組みを聞かせてください。

「一戦一戦積み上げていくことが大事です。そこが最初の2戦はできたけど、続く3試合でできなかったことでした。今日勝てたことで、自分たちがやらないといけないことが明確になったので、選手としては自分たちのラグビーをやり切ることを課題としていければと思います」

ルリーロ福岡

ルリーロ福岡の豊田将万ヘッドコーチ(左)、三股久典キャプテン

ルリーロ福岡
豊田将万ヘッドコーチ

「一巡目が終わって、二巡目最初のスタートになりましたが、一巡目で出た課題を見直して今日の試合に臨みました。主にペナルティのところで、自分たちで減らせるところは減らしていこうとしていました。今日はオフサイドがなかったですが、相手のモールやスクラムでプレッシャーを受けてしまい、そこは課題として残ったので、減らしていけるように改善していきたいと思います。選手にも話しましたが、今日の試合はリードされる展開でしたが、ゲームを捨てないで最後まで食らい付いていけたことが初めて取った勝ち点1につながったのかなと思います。そこは選手を誇りに思います。まだゲームは続くので、少しずつ成長していき、次の試合でも積み重ねられるように頑張っていきたいと思います」

──後半ラスト10分のプレーは素晴らしいものがありました。後半を前に、豊田ヘッドコーチからはどのような指示を送ったのでしょうか?

「ボールの動かし方のところ、ペナルティになっているところは明確だったので、そこのプレーの中で改善していくしかないことを伝えました。キャプテンの三股久典を含めゲームコントローラーたちが修正できたことで、追い上げの勢いを生み出してくれたと思います」

──今日から二巡目の戦いとなりましたが、一巡して相手の特徴もつかめてきたと思います。そんな中で勝ち点1を取れたのは大きいと思いますが、今後へ向けてどんな戦いをしていけばいいと考えていますでしょうか?

「土曜日の試合を見ても、どのチームも一巡目とは違った戦い方ができるのかなという印象です。私たちも、イメージしてきたこと、準備してきたこと、実際やってきたことの感覚は、一巡しないと見えないところもあったので、やることをもっと絞って、相手が何をしてくるかは関係なく、自分たちが何をできるかをゲームの中でクリアにしていくのが先の戦いでは必要です。その中で自分たちが力を出し切って勝てればと思います」

ルリーロ福岡
三股久典キャプテン

「今日は対戦二巡目というところで、バイウィークの中で自分たちの課題を修正して試合に挑みました。豊田ヘッドコーチからもあったように、自分たちで減らしていけるペナルティを減らしていくことの意識付けを徹底しました。それが試合ではしっかりと出せたと思います。あとはセットピースでけっこうやられてしまったので、次の試合に向けては短い時間になりますが、しっかりと修正をして進みたいと思います。バイウィークでメンバー全員が限られた環境の中で強度の高い練習をしてきて、チームが成長できていることは結果的に良かったと思います。今日は勝ち切ることはできませんでしたが、しっかりと胸を張って福岡に帰りたいと思います。本日はありがとうございました」

──後半ラスト10分のプレーは素晴らしいものがありました。後半を前に豊田ヘッドコーチからの指示の下、フィールド内ではどのようなコミュニケーションを取っていたのでしょうか?

「ハーフタイムでは、前半終了時にレフリーとコミュニケーションを取ったところで、ペナルティの部分を減らしてほしいということだったので、それをチームに伝えたのと、豊田ヘッドコーチからの指示、そして前半の入りのエナジーを後半最初の10分、15分で出していこうということで後半に挑みました。後半の勢い付いたところは、メンバー全員の意識がアタックで前に攻めよう、攻めようという感じだったので良かったと思います」

──後半はサイドへの展開よりも、縦を意識する攻撃にシフトした印象もありますが?

「相手がディフェンスのときは、けっこう見てくる、流してきていたので、それに対して僕らもアタックは後ろでするのではなく、しかけていこうと。一人ひとりが前に出るという意識をもってアタックを続けました」

──今日の試合内容は今後にもつながる内容だったかと思います。次戦以降、どのようにチームをまとめて、進んでいければいいか、考えを教えてください。

「今日は勝ち切れなかったですが、この勝ち点1は、僕たちにとって本当に貴重なものです。これをポジティブに捉えてまた準備をしていきたいですし、一巡してどのチームもアタックやディフェンスでやってくることは分かったので、しっかりと分析して僕らの全力をぶつけていきたいと思います」

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