NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第2節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年12月20日(土)14:30 フクダ電子アリーナ (千葉県)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs リコーブラックラムズ東京
挑まなければ何も得られない。進化を求める男がつかんだ“当たり負けしない”理由
クボタスピアーズ船橋・東京ベイの根塚洸雅選手人は常に進化を求める生き物である。それは、昨日までやってきたことを今日もまたなぞり続けるという虚脱から脱却する手段でもあり、そして人は進化をやめた瞬間から、過去になる。昨日できなかったことが、今日できるようになる。その小さな成功を積み重ねるために、人は生きている。
雨の匂いがする土曜日の午後。フクダ電子アリーナで迎えたホスト開幕戦で、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)は進化の過程を描いた。S東京ベイのファイトスタイルは、屈強なフォワードがボールを保持し、肉体という槌を打ち下ろしながら敵陣を削っていく、限りなくマッチョなものだ。しかし、この日の前半戦ではオフロードパスを駆使し、積極的にボールを動かすアタックを見せた。
ただ、ペナルティが重なり、戦いのリズムが乱れたのも事実だった。その背景にある狙いを、フラン・ルディケ ヘッドコーチはこう語っている。
「最初の20分間は多くのラインブレイクがありましたが、最後の意思決定に課題がありました。オフロードはモメンタムを生むための手段で、ディフェンスラインの裏に出れば優位に立てます。重点的に取り組んでいる部分で、いまは判断と忍耐のバランスを学んでいる段階です」
そして、新たな進化を求める男が、ここにいる。アタックだけでなく、ディフェンスでも存在感を示す根塚洸雅だ。
「もともとディフェンスは好きで、大学まではセンターをやっていたので、その感覚はありました。ただ、リーグワンでウイングとしてプレーする中で、コンタクトのレベルの違いを痛感しました。気持ちだけでは止められないと感じ、スキルやタイミング、踏み込む瞬間の判断にこだわるようになりました。その積み重ねが、いま少しずつ形になってきていると感じています」
フィジカル面では、主に身体操作性の向上に取り組んできたという。根塚がその効果を体感しているのが、短いポールの上に両足を乗せた状態で体を動かすエクササイズだ。その様子は、今野達朗アシスタントコーチが12月17日にXへ投稿した映像からもうかがえる。
人の体には『動かすべき関節』と『安定させるべき関節』がある。おそらくは、不安定な支持面で体を支えながら動作を行うことで『動かすべき関節』と『安定させるべき関節』の役割分担が明確になり、足裏で地面をとらえる感覚も養われ、接触局面でも力を失わずに使える体になったのであろう。
コンタクトに強い体を求めて根塚いわく、地面を押す感覚が強まり、一歩目の踏み込みで発揮できるパワーが変わったという。そして、止まった状態からでもバランスを保って耐えられるようになり、ファーストインパクトで負けず、そこから自分の体重を乗せて前に出ていくことができる感覚が得られているとも語る。筋量が大幅に増えたわけではない。それでも“当たり負けしない”理由が、ここにある。
挑まなければ、何も得られない。雨に濡れた芝の上に、次なる進化の芽が見えた。
(藤本かずまさ)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
クボタスピアーズ船橋・東京ベイのフラン・ルディケ ヘッドコーチ(右)、マキシ ファウルア キャプテンクボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ
「最初に言いたいことは、このスタジアムの施設、本当に素晴らしいですし、オレンジアーミーのみなさんの素晴らしい応援、雰囲気というのが、チームのモチベーションになったということです。本当に感謝しています。
試合に関しては、リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)さんも本当に素晴らしいラグビーをしていて、接戦という形の試合だったと思います。自分たちも、どういうふうにモメンタムを取り返すのか、レフリーに対してもクリアな、クリーンな絵を見せて、精度をどれだけ高めるのかというのを、ハーフタイムに調整しました。試合終盤の大事な局面で、自分たちがやりたい"クボタのラグビー"ができたので、勝ちを得ることができたと思っています」
──レフリーに「クリアな絵を見せる」とおっしゃいましたが、ペナルティが増えた時間帯にどういう課題があったのでしょうか。
「レフリーのコールに関しては、レフリーの意思を尊重しなければいけないと思います。ただ、試合中はキャプテンとレフリーがしっかりコミュニケーションを取っていたと思うので、そこは(あとで)映像でしっかり振り返って、想定というよりは、しっかりとした事実を見た上で向き合いたいと思います。
実際、ノットロールアウェイやオフサイド、あとはラック周辺で手をついているところなどが原因だったと思っています。ただ、後半の最後の20分に関しては、クリーンな絵を見せて、精度高く(プレー)できたからこそ勝つことができたと思っています」
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
マキシ ファウルア キャプテン
「(ルディケ)ヘッドコーチも言ったように、素晴らしい環境、そしてこのスタジアムで初めて自分たちのホストゲームをすることができて、本当に光栄です。オレンジアーミーのたくさんの声援が自分たちの力になって、最後まで一緒に戦うことができて、本当に良かったと思います。
試合に関しては、本当にタフな試合でした。週初めからBR東京というフィジカルなチームが、絶対プレッシャーを掛けてくると分かった上で、自分たちはやることを変えず、自分たちのプロセスを精度高くやり切って、結果につなげることができました。最後に勝ち切れたことが本当に良かったと思っています」
──レフリーとのコミュニケーションや、タイラー・ポール選手がシンビンとなり14人になった時間帯の戦い方はどうでしたか。
「自分たちがコントロールできることはしっかりコントロールして、コントロールできないところはレフリーのコールを尊重した上で、自分たちがやるべきことをしっかりやる。14人の中でもやることは変わらず、自分たちのプロセス、システムをより信頼して、スマートに戦って時間を使いながらやっていこうと話していました」
リコーブラックラムズ東京
リコーブラックラムズ東京のタンバイ・マットソン ヘッドコーチ(左)、TJ・ペレナラ キャプテンリコーブラックラムズ東京
タンバイ・マットソン ヘッドコーチ
「スコアボードの50失点は、本当に残念でなりません。ここに来て以来、最も重い敗戦だと感じています。最後の20分間をしっかりレビューします。後半、選手たちは29対28となるまで素晴らしいファイトを見せてくれました。しかし、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)の終盤のパワープレーで、彼らはわれわれのミスを逃さず、確実に得点につなげてきました。
先週も言いましたが、相手にプレッシャーを掛けている瞬間はあるものの、得られたチャンスをモノにできていません。シーズンへの期待は依然として高いです。われわれは絶望しているわけではなく、良いパフォーマンスを取り戻して勝利をつかむという強い決意を持っています」
──2連敗となりました。次週、どのようなことを意識して臨みますか。
「私たちは、より良いプレーをより長い時間継続する必要があります。ハイボールの処理、ラインアウト、そしてターンオーバーからのディフェンスといった点が、この2試合は失点につながってしまいました。
来週は佐賀でのホストゲームです。佐賀はリコーの創設者である市村(清)さんの故郷でもあります。佐賀でプレーするのは今回が初めてですので、そのホームタウンの皆さまの記憶に残るようなパフォーマンスを、確実にお届けしたいと考えています。来週、私たちが良いプレーをすべき理由は数多くあります」
リコーブラックラムズ東京
TJ・ペレナラ キャプテン
「まず、今日のS東京ベイは素晴らしかった。われわれのミスを即座に得点につなげるあたり、クオリティーの高いチームだと言えます。われわれも良い時間帯が何度かありましたが、残り17分ほどまで29対28という展開をしながら、最終的に50失点してしまったのは非常に残念です。
良いプレーもたくさんできていますが、失点につながった部分や実行力が低かった部分については、正直に見つめ直す必要があります。いまのチームには依然として自信を持っています。負けて学ぶようなことはしたくないですが、もし学ぶ必要があるなら、第1節や第2節で学べるのは良いタイミングだと言えます。来週は非常に重要です。完璧な、あるいはそれに近いパフォーマンスを出し切りたい。ここ2試合、良いプレーはできているのですが、それが長く続かなかったことが課題です」
──後半、少しずつ点差が離れた理由をどのように感じますか。
「得点された理由は一つだけではないかもしれませんが、その多くはエラーから始まったものだと考えています。ショーン(・スティーブンソン)のキックを私が落としてしまい、そこからのセットピースでスコアされました。またそのすぐあとにも、右エッジでのターンオーバーからペナルティを許し、ラインアウトからトライを奪われました。ですので、彼らのトライの多くを振り返ってみますと、おそらく自分たちでコントロールできたはずの内容だったと言えます。
これは"諸刃の剣"のようなものです。一方では『自分たちが改善すればもっと良くなれる』と前向きに捉えることができますが、同時に、それを今日この場で実行すべきだったという点では、非常に悔しさが残ります」



























