2025.12.29NTTリーグワン2025-26 D1 第3節レポート(横浜E 19-41 BL東京)

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第3節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年12月28日(日)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
横浜キヤノンイーグルス 19-41 東芝ブレイブルーパス東京

途中出場から貴重な2トライ。結果に昇華した“アルファ”のプライド

東芝ブレイブルーパス東京のスクラムハーフ、髙橋昴平選手

開始1分、電光石火の先制トライで先手を奪った東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)が終始試合の主導権を掌握。後半23分には横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)に5点差へと詰め寄られたが、その後の3トライで突き放したBL東京が、41対19のスコアで2連勝を飾った。

試合後のロッカールームから鳴り響く“勝利の凱歌”を、髙橋昴平はいつも以上に声を張り上げて歌っていた。

「勝って気持ちも昂っていましたし、新しいチームソングを楽しんで歌うことができました」

途中出場からの連続トライでチームの勝利に貢献したスクラムハーフは、満面の笑顔だった。

後半10分からの出場で2トライの活躍

出番は後半10分。杉山優平に代わって秩父宮ラグビー場のグラウンドに立った髙橋は、虎視眈々とトライのチャンスをうかがっていた。最初のビッグチャンスは後半25分。密集地帯(ラック)からのアタックでトライに持ち込むと、後半32分にも自身二つ目のトライを奪取し、相手の戦意を消失させた。

特に後半25分のトライは、5点差に詰め寄られた2分後に奪った貴重な追加点。相手の反撃ムードを断ち切る“フォワード顔負け”の連続トライに、髙橋はチームメートから最大級の賛辞を送られた。

「みんなには『ナイスフォワード!!』と声を掛けられたのですが、『やめてやめて、違う違う』と言いました(笑)」

リーグワン2連覇中のBL東京は、無得点での開幕黒星スタートから2連勝で巻き返しに成功。白星が先行する形で開幕3試合を終えたトッド・ブラックアダー ヘッドコーチは会見場を去る際、「良いお年をお迎えください」と言い残すほど、上機嫌だった。途中出場からの貴重な連続トライでチームの2連勝に貢献した髙橋はこう言って胸を張った。

「開始早々のトライで流れをつかみ、苦しい時間帯を耐えたあと、リザーブが勝利の後押しをすることができました」

BL東京では“アルファ”と称されるリザーブの選手たち。“アルファ”たちのプライドを結果につなげた髙橋の表情は、どこか誇らしげだった。

(郡司聡)

横浜キヤノンイーグルス

横浜キヤノンイーグルスのレオン・マクドナルド ヘッドコーチ(右)、古川聖人バイスキャプテン

横浜キヤノンイーグルス
レオン・マクドナルド ヘッドコーチ

「まずは敗戦という結果にがっかりしています。開始10数秒でトライを取られたことが懸念材料となりました。先制されても良いファイトで相手に向かっていくことはできましたが、許してはいけないトライを相手に与えてしまったことで難しい試合となりました。多くのファンがスタジアムに詰め掛けてくださった中で、5点差に詰め寄る展開まで持ち込めましたが、結果に結び付けることができずに無念の思いでいっぱいです」

──遂行力の面で精度を上げていければ、チームの結果につながるのではないでしょうか。

「そのとおりです。東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)さんを厳しい状況に追い込みましたが、モメンタム(勢い)の部分で後手に回りました。現状は勝利する習慣が付いていません。ただ客観的に見るとわれわれはけが人が多い状況です。バイウィークでは代表選手やカジ(梶村祐介)といった離脱者が戻ってくるため、良い時間になるかもしれません」

横浜キヤノンイーグルス
古川聖人バイスキャプテン

「アームレスリングのような我慢比べの時間帯に我慢し切れずに、自分たちで自分たちの首を絞めるような展開になり、その中で一気に相手に流れをもっていかれてしまいました。勝負強さを発揮して我慢できていれば、また違った展開になったかもしれませんが、先週の試合後も同じような振り返りをした中で、大事な時間帯で我慢をし切れなかった点は、もっとチームとして成長しなければいけない部分です。バイウィークで修正したいですし、体力をリカバリーして次の試合に臨みたいです。この悪い流れは2025年で断ち切って、新しい1年は新しいイーグルスを見せられるようにしたいです」

──この1週間の準備期間は相手にフォーカスしたのでしょうか。あるいは自分たちにフォーカスしたのでしょうか。

「基本的には自分たちにフォーカスし、その中でディフェンスの実行力を上げることに焦点を当ててきました。目の前の一瞬一瞬で自分たちのプレーを正確にやれるかどうかに尽きると、練習に取り組んできましたが、『大体できた』という次元では試合には勝てません。チームとしても個人としても、『遂行すべきことを全部できた』と言い切れるくらいの精度を求めていきたいです」

東芝ブレイブルーパス東京

東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチ(右)、松永拓朗バイスキャプテン

東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ

「非常にポジティブな点が多く見つかった試合でした。スクラムも若いメンバー構成でしたが、しっかりと役割を果たしてくれました。またラインアウトのディフェンスに関しても、しっかりと機能して相手にプレッシャーを掛けることができたのが良かったです。ただ、80分のすべてで思いどおりに試合が進んだわけではありません。その中でも選手たちは落ち着いて状況に対処してくれました。また、目の前に現れたチャンスをその都度スコアに結び付けることができました。相手はスキルの遂行力に対して、プレッシャーを掛けてきましたが、その中でも選手たちはチームとしての成熟度をスコアにつなげる形で力を発揮してくれました。ボーナスポイントの勝ち点5を持ち帰られることもうれしい結果です。開幕戦は負けましたが、学びと実りの多い開幕3試合となりました」

──先発出場の酒木凜平や途中出場のカラム・マクドナルドといった新しい力がチームの厚みを生んでいる印象です。

「彼らの活躍をうれしく思います。昨季はディビジョン1の中で最も起用した選手が少ないチームという結果になりましたが、今季は若い選手が台頭してきていることで途中出場の選手もインパクトを残してくれています。練習でもインパクトを残していることが、試合にも出ています。ヘッドコーチとしては、もっと若い力を信用し、起用を続けることで彼らの力は伸びていくのかなと思っています」

東芝ブレイブルーパス東京
松永拓朗バイスキャプテン

「試合全体をとおして自分たちのアタックにプレッシャーを掛けられていた中で、自分たちのエクスキューション(遂行力)の部分でエラーが起きていました。特に後半の最初の時間帯は自分たちに流れをもってこられませんでしたし、アタックを仕掛けてもなかなかスコアに結び付けることができませんでした。また修正にも時間が掛かりました。良かった点は、流れに乗れない中でも、我慢をして自分たちの流れになったときにスコアに結び付けて試合を終えられたことです」

──後半の主導権を握れなかった時間帯を改善するためにどのような修正をしたのでしょうか。

「ボールを持ってプレーしたいという意図はありましたが、相手のプレッシャーによってミスが出ていました。空いているスペースを狙う意図もありましたが、相手がそこにもプレッシャーを掛けていたため、無理にスペースへアタックを仕掛けるのではなく、ボールキャリーを重ねて、相手にプレッシャーを掛けていく形に切り替えました」

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