NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第6節(交流戦)
2026年1月25日(日)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ 43-19 トヨタヴェルブリッツ
足元を見つめて一歩ずつ。節目の数字に到達しても向上心をさらにたぎらせる仕事人
通算100キャップの試合で先制トライ。静岡ブルーレヴズの伊藤平一郎選手「まだまだ全然です。スクラムでもっと相手のボールを取りたい。僕が(試合に)出る意味はそういうところだと思っているので、もっとプレッシャーを掛けたかったです」
そう語ったのは、今節でトップリーグとリーグワン通算100キャップを達成した伊藤平一郎。先制トライでチームに火を点け、勝利に貢献。プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれながらも、いつもどおりの謙虚な姿勢を崩すことはなかった。
プレーヤー・オブ・ザ・マッチも受賞したただ、「もっと押せた」と言うスクラムでも優位に立ち続け、自陣内の相手ボールスクラムでペナルティを獲得して守勢を盛り返したシーンも目立った。開始1本目のスクラムでも自分のサイドから押し込むなど、スクラムでチームのリズムを作るという静岡ブルーレヴズらしさを存分に体現してみせた。
前半6分の先制トライに関しては「100何試合出て3つ目なんで、びっくりしましたけど、ジーン(マルジーン・イラウア)が前に出てくれたおかげです」と語ったが、ディフェンスでもブレイクダウンでも目立たないところで大きな貢献を果たし、まさに縁の下の力持ちとしてチームを支え続けている。
そんな彼が「まだまだ全然」と繰り返す背景には、昨季の悔しさがある。チームとして初出場したプレーオフトーナメントの準々決勝で、レギュラーシーズンでは2勝していたコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)に敗退。伊藤平一郎自身はこの試合に出られず、雪辱に燃える想いは人一倍強い。
「今日はチーム全員ですごく良いディフェンスもできましたし、トライの取り方も良かったと思うので、これからどんどん上がっていけるんじゃないかなと思います。でも次節は神戸S戦ですし、しっかりリベンジして、ここから全部勝つぐらいの勢いでいかないとプレーオフトーナメントは勝ち抜けないと思います」
そのために重要なことについても、足元をしっかりと見つめている。
「やっぱりディフェンスですよね。どのチームもアタックがすごいですし、ペナルティの数も減らさないといけない。今日の試合でもノットロールアウェイを取られましたし、そういう目の前のことをしっかりとやっていきたいです」
13年の経験でラグビーの厳しさ、難しさも熟知しているからこそ、言葉以上に背中で手本を見せ続ける35歳の仕事人。今後も自分自身への厳しさや向上心は、衰えるどころか逆にますます高まっていくことだろう。
(前島芳雄)
静岡ブルーレヴズ
静岡ブルーレヴズの藤井雄一郎監督(右)、チャールズ・ピウタウ ゲームキャプテン静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督
「今日は風が強かったので、風下からの攻撃のときは自分たちがボールを保持しながら攻撃しようということで、その形がうまくいったかなと思います。前回の試合から少しずつ修正のポイントも減ってきて、それがうまくいけば今日も点がたくさん取れるんじゃないかと感じていました。選手がそれをしっかり体現してくれて、今日は良かったと思います」
──スクラムも非常に安定していましたが、伊藤平一郎選手や作田駿介選手が戻ってきた影響もありますか。
「3番もすごくし烈な争いで、平一(伊藤平一郎)も(リーグ戦通算)100試合ということに加えて、ずっと試合に出たかったと思うので、それを『今日しっかりプレーの中で出せないと次はない』という話をしてプレッシャーを掛けたのが良かったんじゃないかなと思います。基本的にプレッシャーには弱いヤツなんですけど、今日は良かったと思います」
静岡ブルーレヴズ
チャールズ・ピウタウ ゲームキャプテン
「今日は本当に選手たちのエフォート、頑張りを誇りに思います。1週間をかけて良い準備もしてきましたし、自分たちのパフォーマンスを常に良くしていくということをシーズン前からずっとやってきて、それが今日はできたと思っていますし、特にフォワードのセットピースのところでもしっかりと試合の中で基盤を作ってくれたと思っています。フォワードが本当に頑張ったと思っています」
──前半は風が非常に強い中で、良い流れを作れたのは、どのあたりが良かったと思いますか。
「試合前からコーチ陣からしっかりとした明確なプランというのを伝えられていました。風下でプレーする場合は、しっかりとコミュニケーションを取ってボールを保持してプレーしていくという話をしていました。コミュニケーションを取って良いスキルを使っていくことができて、遂行力というのがすごくクリアだったからこそ良かったんじゃないかなと思っています」
トヨタヴェルブリッツ
トヨタヴェルブリッツのスティーブ・ハンセン ヘッドコーチ(左)、姫野和樹キャプテントヨタヴェルブリッツ
スティーブ・ハンセン ヘッドコーチ
「今日はまた非常にフラストレーションが溜まる1日でした。例えて言うと壊れた車のように一つのものを直したあとに、また次の場所が壊れてしまうような印象がありました。ラック周辺のディフェンスの立ち位置が狭くなり過ぎていたため、外側のスペースを相手側に取られてしまいました。相手はそこで十分にモメンタムを生み出す実力があるチームでした。
後半に関しては、そこを修正してうまく勝負することができていたと思いますが、こういった試合の結果というものはチームの現状を表していると思いますし、改善がチームとしては必要です。試合に勝利するということは当たり前のことではなく、そのための努力、それに伴う実力といったものが必須で、もちろんプレーヤーはそういった努力をしており、チームのことを大事に思ってはいますが、やや伸びシロが必要だと思っています。それには時間が掛かり、またメンタル面の取り組みがチームとしては必要だと考えています。これからバイウィークに入りますが、またバイウィークが明けたあとに次のゲームの準備に入っていき、この車をもう一度走らせるということを考えていきたいです」
──就任時から段階的にチームを強化していると思いますが、ヘッドコーチの理想とされる状態になるのがいつぐらいになりそうだと見込んでいますか。
「もちろん、いまの段階で理想像にフォーカスすることはできますが、そうではなく現実に焦点を当てるときには、われわれがベターになる、成長することが必要で、どういった点で成長するかというといくつかのポイントがあります。
まず一つは問題解決をプレーしながら行う能力。これは全員の仕事であり、キャプテンだけの仕事ではありません。われわれコーチボックスにいるメンバーを含め、どういったメッセージを伝えるのかというところも重要になってきます。また試合の各瞬間の中で個人として集団として勝つ。そういったところもチームとしての焦点であり、そのためには練習というものが必要です。グラウンドの練習では、そういった変化を確認できているのですが、試合の中ではそれがグラウンドで発揮できていない。そういったメンタル面での課題があります。アスリートというのは、試合の中で勝てていないと、自信をもつことができません。自信というものは成功体験から生まれるものです。なので、チームとしては泥臭い勝利であれ、そこで成功体験を積み、そこから勢いを増していきたいところですが、現実的にはそういったことができていません。
ゲームを改善していく、そしてそれを続けていく必要がチームとしてはあります。それは自分自身が選手であれコーチであれ、もしくは栄養士であれ、どういったところを自分自身が成長させ、改善に努め、強い意志を持ってチームに貢献できるのか。そういったことを考えていくべきで、それができないのであれば、われわれとしては帰ってしまったほうがいいのではないかなと思います。ハードワークというものが成功につながっていない。そういった現状というのは、選手だけではなくファンまた会社の方々、そしてスタッフ。全員にとって非常なタフな状況ではありますが、コミットして結果を追求していくための努力を重ねていきたいです」
トヨタヴェルブリッツ
姫野和樹キャプテン
「ゲームのことに関してはスティーブ(・ハンセンヘッドコーチ)と同じですし、ただただ残念です。自分たちが準備してきたものを出せずに、このゲームが終わってしまいました。2試合連続で、前半でゲームが決まってしまうような展開になってしまったので、そこに関して何かしら準備のところでの問題があるのか分からないですけども、自分自身を見直して、最初の10分、20分のところにフォーカスを置けるように準備していきたいと思います」
──序盤の失点場面について、グラウンドレベルではチームにどんなことが起きているように感じますか。
「自分たちがやることは明確になっていたと思いますが、一つの修正点を前半のうちに解決できなかったのが、自分たちが後手に回った要因ではあると思います。特にラックサイドのフォワード5枚がすごくタイトな状況で、エッジのディフェンスに大きなプレッシャーが掛かっていたというのが前半の問題点ではありました。グランドレベルの中でも、少し幅が足りてないことに関してコミュニケーションを取ってはいましたが、それを全員が理解して実行できたかというと、そうではなかったかなと思います」



























