NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第12節(交流戦)
2026年3月21日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ 31-7 リコーブラックラムズ東京
成長と勝利への渇望がその原動力。チームをたぎらせる“アンストッパブル”なルーキー
ピッチに現れた瞬間、空気が変わる。一気にギアが上がり、相手守備の隙間を切り裂くスプリントで試合の流れを引き寄せる。そんな鮮烈な存在感を放っているのが、埼玉パナソニックワイルドナイツのルーキー、モーリス・マークスだ。リコーブラックラムズ東京戦で、自身初のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた。
「1週間いい準備ができました。仲間のおかげで今日のパフォーマンスにつながったと思います」
後半の厳しい時間帯に決めた2本のトライは、試合を決定づけた。
金沢篤ヘッドコーチも、その価値を強調する。
「彼のスピードは、特に後半のタフな時間帯に違いを見せられるものです。今日はフィニッシュの意味で素晴らしい仕事をしてくれました」。あえてベンチから送り出すのは、試合にインパクトをもたらす役割を託しているからにほかならない。
もちろん本人も、自身の立ち位置を理解する。
「みんなの足が止まってきたときに、自分が起爆剤となってチームがもう一つギアを上げられるようにしたいと思っています」
意識するのは『Bring the Fire』。ピッチに入る瞬間、自らがエナジーを注ぎ込む存在になるという覚悟をプレーに宿す。
最大の武器であるスピードは、週に2〜3度のスピードトレーニングによって磨かれてきたもの。チームが掲げるアタッキングラグビーの中で、その持ち味はさらに研ぎ澄まされている。ただし、彼が見据えるのは突破力だけではない。入団当初は「ボールをもらって走ること」だけを考えていたというが、いまは違う。
「特に終盤、みんなが疲れているときこそコミュニケーションを取り続けなければならないと感じています」
仲間とつながり続けることで、自らのスピードがより生きる。その実感が、ボールを受け取る動き一つひとつへの意識を変えた。
前節、チームはクボタスピアーズ船橋・東京ベイとのビッグゲームを制した。大きな勝利のあとこそ難しい1週間となったが、金沢ヘッドコーチが選手たちに求めたのは「勝利への渇望をもち続けること」にあった。
「今日も先週の勝利も素晴らしいですが、われわれはまだ何かを成し遂げたわけではありません。目標はもっと先にあるので『常に成長できるよう過ごそう』と話をしました。ですが、そもそも私が言う前に、選手たちはそれを理解していましたね」
マークスは言う。
「順位表で上にいる以上、24時間高いスタンダードを保ち続けなければいけません。それを毎週ピッチで発揮することが大切だと思います」
スピードで試合を動かし、成長と勝利を渇望する。ルーキーの進化は、まさしく“アンストッパブル”だ。
(原田友莉子)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
埼玉パナソニックワイルドナイツの金沢篤ヘッドコーチ(左)、クレイグ・ミラー バイスキャプテン埼玉パナソニックワイルドナイツ
金沢篤ヘッドコーチ
「ホストゲームで勝ち点5を獲得できたことは、チームにとって非常に素晴らしい結果でした。前半は我慢を強いられる時間帯も長くありましたが、勝負どころとなる場面で先発の15人がしっかり得点してくれたことが大きかったと思います。後半はリザーブメンバーがスピードとフィジカルの両面で良い違いを生み出し、試合の流れをさらに引き寄せてくれました。最後に得点して試合を締めくくることができた点も、チームとして非常に良かったと感じています」
──前回の試合からメンバーを変更し、クレイグ・ミラー選手をゲームキャプテンに指名した理由と、今日のメンバー編成について教えてください。
「ミルジー(ミラーの愛称)はバイスキャプテンとして日ごろからチームの役割を担っており、経験もリーダーシップも十分に備えている選手です。そのため、自信をもって安心してキャプテンを任せることができました。
本日のメンバー編成については、コンディション面を考慮していくつか変更を行いました。島根一磨選手は今季初出場となり、ゼイビア・スタワーズ選手も久しぶりの出場でしたが、いずれも一貫したプレーを見せてくれました。出場機会が空いた選手たちがチームのプレーの質を落とすことなくパフォーマンスを発揮してくれた点は、非常に評価できる部分だと思います」
埼玉パナソニックワイルドナイツ
クレイグ・ミラー バイスキャプテン
「80分間をとおして試合に集中し続けることができた点をうれしく思います。特にこの数週間はリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)が非常に良い状態にあり、その相手を上回ることができたのは大きな収穫でした。
また、ベンチから出場したメンバーがしっかりと試合を締めくくり、フィニッシュまでもっていってくれた点も良かったと感じています」
──スクラムについて、相手も強かったと思いますが、実際に中ではどんなことが起きていましたか。
「スクラムの反対側で起きていることは、その場ではすべてを把握できないため、映像を見て確認しないと分からない部分もあります。ただ、さまざまな角度からプレッシャーを受けていた感覚はありました。
自分たちは良い仕事をしたと感じています。というのも過去1カ月間にわたってBR東京の勝利の大きな要因となっていたモールとスクラムをうまく止められたので、その点については非常に満足しています」
リコーブラックラムズ東京
リコーブラックラムズ東京のタンバイ・マットソン ヘッドコーチ(左)、TJ・ペレナラ キャプテンリコーブラックラムズ東京
タンバイ・マットソン ヘッドコーチ
「ハーフタイムまではポジティブな手ごたえがありました。まだ勝てるチャンスがあると感じていましたし、フィジカル面でも対抗できていて、ハードワークもできていたと思います。
ただ、今日あらためて学んだのは、ベストチームを相手にする際には限られたチャンスを確実に取り切らなければならないということです。後半15分ごろまでは、このまま良いプレーを続けていけばチャンスが来るのではないかと感じていましたが、スキルの部分で精度が落ちてしまいました。そうしたスキを見せると、強いチームは確実にチャンスを得点へとつなげてきます。
また、熊谷でプレーすることをとても楽しみにしていました。スタジアムは美しく、スポーツタウンとしてラグビーにとって非常にプラスになる環境だと感じています。ここでプレーすることは本当に好きです。
現在、順位としては5位に位置していると思いますが、今日の試合から多くの大切なことを学ぶことができました。この経験をしっかり次につなげ、次戦に向けて成長していきたいと考えています」
リコーブラックラムズ東京
TJ・ペレナラ キャプテン
「チームのことをとても誇りに思っています。結果は非常に悔しいものですが、試合の中でチャンスを作り出すことはできていました。ただ、それを得点につなげ切ることができなかった点は課題だと感じています。
一方で、このタイミングでトップチームと対戦し、自分たちの力を試すことができたことは前向きに捉えています。連勝を重ね、ポジティブな雰囲気の中で強豪と戦えたことはチームにとって良い経験になりました。今日の戦いは後半戦にもつながっていくと思います。
あらためて、強いチームを相手にする際には限られたチャンスを確実に取り切らなければならず、そうでなければすぐに相手の得点につながってしまうということを学びました。チャンスはあっただけに結果を出せなかったことにはガッカリしていますが、埼玉パナソニックワイルドナイツは非常に良いチームであり、今日は彼らが勝利に値する内容だったと思います。
この試合から得た学びをしっかり次につなげていきたいと考えています」
──前半終了間際、レフリーへの暴言(抗議)によるペナルティが取られましたが、グラウンドで何が起きていたのでしょうか。
「ラックの下で相手選手に対し、『ロールアウェイしてほしい』と伝えた際に、うまく意図が伝わらず、認識の行き違いがあったようです。前半は両チームの選手がレフリーと話そうとし過ぎていた傾向があり、ハーフタイムに両チームのキャプテンに対してレフリーから話がありました。あのペナルティは、両チームに対して判定のスタンダード(基準)を示すためのペナルティだったと捉えています。そのため、理解できる正当な判定だったと考えています」
──プレーオフトーナメント進出を目指す中で、今日の試合からどのような自信を得ることができましたか。
「ポゼッションはほとんど相手に握られていたと思いますが、アタックを強みとするチームを相手に、前半を0-12で折り返すことができました。しかも風下の状況だったことを考えると、そこから得られるものは多かったと感じています。
後半25分ごろには相手にイエローカードが出て7対19となり、ラインアウトからチャンスを作れる場面もありました。最終的には終盤に3トライを許す結果となりましたが、最初の65分間については良いプレーが数多くあり、自信につながる内容だったと考えています」



























