NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第13節(交流戦)
2026年3月28日(土)14:30 IAIスタジアム日本平 (静岡県)
静岡ブルーレヴズ 20-41 コベルコ神戸スティーラーズ
躍動するスーパールーキー。止まらない進化、その輝き
今回も高いパフォーマンスでチームに貢献、コベルコ神戸スティーラーズの上ノ坊駿介選手。「毎試合が新しい挑戦です」コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)のスーパールーキー、上ノ坊駿介がまたもグラウンドでまばゆい輝きを放った。
背番号15で先発した前半12分、神戸Sはバックスタンド側タッチラインから内側へ折り返すと、絶妙なタイミングで上ノ坊が相手ディフェンスラインを斜めにブレイクし一気にゴールポスト右側へと飛び込んだ。
トライ数もすでに「5」を記録している「(上村)樹輝さんとサインコールをして、それをうまく遂行することができました。ラインに少しギャップが見えたのでステップをうまく使って行ったらトライが取れたので。自分でも良い遂行力と判断だったと思います」
神戸Sは直前のプレーでTMOの結果トライの判定が取り消されていた。その次のプレーで連続アタックから上ノ坊がトライを取り切ったことは、試合序盤のモメンタム(勢い)を神戸Sががっちり握ることができたという意味でも大きかった。
「守備面でも試合の入りからしっかり体を張って戦おうと思っていました。相手はフィジカルの強い選手が多かったですが、良いタックルを決めることができ、チームに貢献できて良かったです」
リーグワン初出場は2月7日の静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)戦。アーリーエントリー選手としてはチーム史上最速でデビューし、そこから7試合連続でスタメン出場。上位争いのプレッシャーをものともせず高い才能をファンに披露し続けているが、その言葉はとても謙虚だ。
「毎試合が新しい挑戦です。前節に横浜キヤノンイーグルスに敗れていたので絶対に勝たないといけない試合でした。前節で見えたチームの問題点をどう修正するかにフォーカスし、メンタルの部分も含めて良い準備をしてきたことが今日のプレーにつながったと思います」
デーブ・レニー ディレクターオブラグビー/ヘッドコーチも「本当に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれている。素晴らしいスキルを持っているし、ディフェンス能力も高い。これから出場時間を重ねる中で状況判断力ももっと良くなってくるだろう」と上ノ坊を高く評価した。その一方で彼の“伸びシロ”はまだまだあると指摘する。
「例えばどのパスを選択するか? チャンスの際にどんなアクションを起こすか? そのあたりはまだまだ成長できる要素だと思うので期待しています」
3月19日には母校・天理大学の卒業式に出席し、大学の友人たちと社会人としての活躍を誓い合った。
「チームの練習後に卒業式に向かったので、少し遅れてしまったんですけど、式典には参加できて。お世話になったゼミの先生に感謝の気持ちを伝えることもできました。神戸Sの選手としての生活にも慣れてきましたが、4月からはフレッシュマンとして、若々しさでパワーを出してもっともっとチームの力になれるように頑張ります」
リーグワンの優勝、そしてもっと先の未来へ向けての飛躍を誓った上ノ坊。この言葉を紡いでいるときばかりはグラウンドとはまた違い、社会人1年目として門出を迎える青年らしい、はにかむような笑顔を見せていた。
(関谷智紀)
静岡ブルーレヴズ
静岡ブルーレヴズの藤井雄一郎監督(右)、クワッガ・スミス キャプテン静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督
「試合の入りで、自分たちのミスから失点してしまいました。ただ、スクラムでは粘り強く戦い、スクラムでのペナルティも多く獲得できたことで徐々に自分たちの形を作ることができたと思います。前半はスクラムで押される場面が続いていたため、そこを修正しました。前半から積み重ねてきたプレッシャーが後半に効いてくるという認識の下、敵陣で優位に立ちながら、ペナルティを抑えて前に出ることを意識して戦うようハーフタイムには伝えました。内容が改善された要因は、そのあたりだったと思います。今後に向けてはラインアウトでのミスを減らし、より安定したアタックにつなげていきたいと考えています。
プレーオフトーナメント争いは非常に厳しく、特に6位を狙っているチームはたくさんいて、どのチームも全力で戦ってきます。その中で、自分たちがやるべきことを徹底し続けることが重要だと考えています。上位のチームは経験値が高く、試合運びにも余裕があります。ただ、自分たちもチームとして戦える力を身に付けていかなければなりませんし、やるべきプレーをしっかりとやり続けることが大事だと思っています」
──後半にスクラムハーフを北村瞬太郎選手に替えた際の狙いと評価について教えてください。
「後半はスピードアップしたいという意図でスクラムハーフを細矢(聖樹)から北村に変えました。奥村翔は好調ですし、裏に抜けたときに一発でトライを奪える能力をもっているのでそのままスタンドオフで起用し、サム・グリーンはけが明けだったのでフルバックとして予定の時間までプレーしてもらいました。前半はキックを使ったプレーや、フォワードをうまく使いながら攻めたいという意図での細矢の先発起用でしたが、そこに関してはもっと良くなってくると思います」
静岡ブルーレヴズ
クワッガ・スミス キャプテン
「非常にタフな試合でした。コベルコ神戸スティーラーズさんが良い試合をしたと思いますし、自分たちのミスから相手に勢いを与えてしまった点は反省が必要です。前半はボール保持の時間が少なく、チャンスも限られていました。ただ、スクラムで継続して戦ったことで手ごたえをつかみ、後半は優位に立つことができました。その結果、自分たちがボールを持つ時間が増え、相手にプレッシャーを掛けることができたと思います。選手たちは最後まで戦い続けましたし、まだまだここで終わりではありません。今後も自分たちのラグビーを体現できるよう、ベストを尽くしていきたいと思います」
──上位チームとの差と現状のチームが抱えている課題についてどう捉えていますか?
「上位チームは一貫性のあるラグビーをしています。自分たちのように波のある戦い方ではなく、安定して力を発揮することが重要です。先を見過ぎず、目の前の試合に集中して戦っていきたいと思います。そこを改善していけば、まだ十分にチャンスはあると考えています」
コベルコ神戸スティーラーズ
コベルコ神戸スティーラーズのデイブ・レニー ディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ(左)、李 承信 共同キャプテンコベルコ神戸スティーラーズ
デイブ・レニー ディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ
「非常にタフな相手である静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)さんから勝ち点5を獲得できたことは、とても良い結果だったと思います。自分たちでポジションをコントロールできているときは良いラグビーができており、速いテンポでプレーしながら相手に競り勝つ場面も多く作れました。
前半は4トライを奪いましたが、それ以上に得点できるチャンスも多くありました。そうした点も含めて、手ごたえのある内容でしたが、後半についてはフラストレーションの残る展開となりました。特にスクラムではペナルティが多く、相手にゲームテンポのスローダウンを許してしまったことは反省点です。スクラムに関しては、今後レフリーとも解釈や認識をしっかり合わせていきたいと考えています。ただし最終的に、最も重要だった勝ち点5を取り切ることができた点は、大きな収穫だったと思います」
──前回、神戸での静岡BRとの対戦では45あった失点が今日は20という結果になりました。ディフェンスについての評価をお願いします。また今日の勝利でプレーオフトーナメント進出が決まったことについてどう感じていますか?
「神戸でのゲームでかなりやられていた印象のある静岡BRのオフロードパスに対しては、しっかり対応できたと思います。神戸での試合のときと比べても、ディフェンスシステムの浸透は進んでおり、チームとして確実に向上できていると感じています。シーズン終盤の5試合に向けてディフェンス力の向上は重要なテーマでしたので、それを示せた点は良かったです。
チームとしては、どれだけ高いクオリティーのパフォーマンスを発揮できるかにフォーカスしています。現在はトップ2を3チームで争っている状況であり、毎試合高いパフォーマンスを出し続けることが重要です。李承信 共同キャプテンも話しているように、今日のマインドセットは良かったと思いますが、前半にはもう少し丁寧さが必要でした。タッチライン際でのボールロストや序盤のミスなど改善できる場面もありましたが、全体としては多くのチャンスを作り、ディフェンスからのターンオーバーも有効に活用できました。一方で、後半はスクラムで苦しむ場面があり、今後の課題だと感じています。
プレーオフトーナメント進出が決まったこと自体はポジティブに捉えていますが、レギュラーシーズン残り5試合でどれだけ良いパフォーマンスを積み上げていけるか。ここに引き続き重きを置いていきたいと考えています」
コベルコ神戸スティーラーズ
李承信 共同キャプテン
「先週の試合を受けて、この1週間はマインドセットの部分にフォーカスし、スタッフ・選手それぞれが振り返りを行いながら準備してきました。練習や試合に向けた姿勢について、一人ひとりが見つめ直し、この試合にどう臨むかを意識して取り組みました。
チームにとってはタフな1週間でしたが、こうして勝ち点5を取って終えることができ、とてもうれしく思います。今後は、このスタンダードをどれだけ維持できるかが重要になります。リーグ戦も終盤に入る中で、自分たちのパフォーマンスにしっかり向き合いながら試合に臨むことが大切です。
試合は良い入りができ、相手に追い掛けさせる展開に持ち込めましたが、さらに良くできた部分もあったと感じています。そうした点はしっかり反省しながら、来週に向けてより良い準備を行い、チームとしてのスタンダードをさらに引き上げていきたいと考えています」
──タフな1週間を乗り越えられた、とのことですが、ここまで選手たちにはどんな声を掛けてチームを前に進めてきたのでしょうか?
「この1週間は、準備に対してどのようなマインドセットで取り組んできたのかを一人ひとりが紐解き、試合に出たメンバーも出ていないメンバーも含めて振り返る時間としてきました。
前節の横浜キヤノンイーグルス戦は非常に残念な結果でしたが、『それまでに10連勝できていたことについては自信をもち、ポジティブなマインドで前に進んでいこう』と話していました。私自身もそうでしたし、ブロディ・レタリック選手といったキーとなるメンバーとともにチームをポジティブな方向へとリードすることができていたと思います。
この1週間は、試合以上の高いテンションで、試合に出ないメンバーも含めて全員が練習に取り組んでくれました。優勝に向かう上で、自分たちが変えていかなければならない部分にフォーカスしながら過ごすことができたと思います。
その結果として、今日の試合ではボーナスポイントを獲得でき、チームとしての成長も実感できました。非常に有意義なゲーム内容だったと感じています」



























