NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第13節(交流戦)
2026年3月28日(土)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
東京サントリーサンゴリアス 34-36 埼玉パナソニックワイルドナイツ
休むことのない、“謙虚で大きな手”
身長206cm、体重118kg。“ホッコ”の愛称で呼ばれる東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)の巨漢ロック、ハリー・ホッキングス。その規格外の体格の中でも際立つ武器が大きな“手”だ。
その手は、攻撃ではボールを確実につなぐハブとなる。ラインアウトでは空中高く飛んでボールをもぎ取り、チャンスを演出する。そして守備でも、その大きな手は休むことを知らない。時には相手チームのパスをそのままつかみ取り、カウンターにつなげる急先鋒の矛となる。
埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)との第13節。同点で迎えた後半開始直後だった。相手のパスが放たれた刹那、ホッキングスの手がスッと伸びる。吸い込まれるようにその手にボールが収まると、そのまま右サイドを駆け上がる鮮やかなインターセプト。スタジアムの空気が一変し、そのままトライへとつながる起点となった。
結果的にこの試合は、80分を過ぎてからの逆転負け。勝利は目前でその手からこぼれ落ちた。それでも、ホッキングスの存在感が際立っていたのは間違いない。勝っていれば、あのインターセプトが勝敗を分けたと語られていたはずだ。
第10節・静岡ブルーレヴズ戦でも、同じように長い腕を伸ばして相手パスを奪い、そのままトライ。あの鮮烈シーンをなぞるかのようなプレーだった。しかし、本人はこの二つのインターセプトについて、決して自分の手柄とはしない。
「パスカットは(オフサイドになる)リスクもあるので、行くと決めたら確実に仕留める気持ちが大事です。そして、自分一人でできたプレーではなく、フォワード全体のディフェンスシステムを遂行した結果です。みんなが役割を果たしたからこそ、ああいうチャンスが生まれます」
仲間を称えるその言葉には、チームのリーダーグループ『響』の一員としての矜持がにじむ。
「響グループには大事な存在価値があります。僕らリーダー陣がしっかり仕事をすることで各ポジションの役割が明確になり、チーム全体が成長することができています」
現在、チームは8連戦という過酷な連戦中。各選手のプレータイムを細かく管理して体調維持に努めているが、その例外とも言えるのがホッキングスだ。攻守にわたって代えのきかない存在であるからこそ、連戦でもフル出場を続けている。
「試合に長く出られるのは歓迎です。練習も含めてしっかりマネジメントしてもらっています。8連戦もあと1試合。全員でエキサイティングに戦い、サンゴリアスらしいラグビーをやり切って、いい流れでバイウィークに入りたいです」
レギュラーシーズンは残り5試合。ホッキングスの大きな手は休むことなく、勝利という獲物を狙う。
(オグマナオト)
東京サントリーサンゴリアス
東京サントリーサンゴリアスの小野晃征ヘッドコーチ(左)、サム・ケイン キャプテン東京サントリーサンゴリアス
小野晃征ヘッドコーチ
「今週は選手たちが『言葉を行動に変えたい』ということで、選手たち自身でレビューをし合い、自分たちが決めたことを行動していくということで準備を重ねてきました。それがプレーにもしっかり表れていたかなと思います。
その中で、埼玉パナソニックワイルドナイツの強さ、リーグの首位を争うチームとしての粘り強いアタックとディフェンスの前に接戦を落とす形にはなりました。チームとしては前進につながるエフォート(努力)だったかなと思いますが、これをしっかり結果につなげないとチームの大きなゴールには向かえません。しっかり修正して来週の試合に向けて準備したいと思います」
──前節では選手のエリアを取るキックが多かったと思います。対して今日は、流大選手のコンテストキックが多いように感じました。どういった分析でそのようになったのでしょうか。
「われわれはアタックチームです。ずっとフェーズを重ねて継続することは難しいのも分かっている中、コンテストでボールを取り返してもう一度アタックするという部分で、コンテストキックが多くなった試合かなと思っています。実際、取り返したボールからトランジションを起こしてもう一度アタックに切り替えるシーンはバックローでもありました。ただ、最後の10分間はキックの精度が落ちてしまい、エリアを取られてしまった。戦術的にはうまくいったかなと思うんですけれども、精度が落ちたところを相手に突かれてしまったかなと思います」
東京サントリーサンゴリアス
サム・ケイン キャプテン
「すごく残念な負け方でした。ゲームコントロールという意味では、そこまでしっかりできていなかったかもしれませんが、相手の規律の部分に対して、ショットを積み重ねて得点につなげるなど、プレッシャーは常に掛けられたかなと思っています。
ただ、2トライぐらい取り切れないところがあって、その部分が試合の最後にダメージとなってしまいました。相手チームのファイトバックというか、盛り返してくる力は素晴らしく、そこが最後に勝ち切るところにつながったんじゃないかなと思っています。自分たちのディフェンスに誇りを感じる部分はあるものの、そこがまだ十分ではなかったかなと感じています」
埼玉パナソニックワイルドナイツ
埼玉パナソニックワイルドナイツの金沢篤ヘッドコーチ(左)、クレイグ・ミラー バイスキャプテン埼玉パナソニックワイルドナイツ
金沢篤ヘッドコーチ
「今日の試合はご覧のとおり、非常にタフなゲームでした。最後の最後までずっとリードされ続けた中で、最後に選手たちがその解決策を見つけて逆転してくれました。本当に素晴らしい力を見せてくれたと思っています」
──試合終了間際、ゴール前で同点のペナルティゴールが狙えるような位置でスクラムを選択しました。あの判断をヘッドコーチはどう見ましたか。また、今日の試合に限らず、最後の最後に勝ち切るための秘訣は何なのでしょうか。
「(スクラムかペナルティキックかの選択は)基本的に選手が判断しています。自分たちがスクラムに強みがあって、どんなアタックをするのかを考えての判断だったと思います。ただ、コーチボックスでもスクラムの選択が正しいと思っていました。コーチ陣と選手が同じ絵を見ることができていたと感じています。
シーズン当初から、実行力、最後に取り切るところは意識してきました。うまくいかなかったゲームも、うまくいったゲームもありますが、一番重要なのは、選手が個人にならず、しっかりチームのことを考えながら動けているかどうか。その中で、時間をキープしながら、常にプレッシャーを相手に掛け続けられていることで、今日の試合も最後に勝ち切れたところにつながっていると思います」
埼玉パナソニックワイルドナイツ
クレイグ・ミラー バイスキャプテン
「毎回、東京サントリーサンゴリアスと戦う日は、フィジカリティーが高く、展開の速いラグビーになるのですが、今日もまさにそういう試合だったと思います。その解決策を見出すことができた自分たちのことをすごく誇りに思います。80分を過ぎてから勝利が決まるような戦いがいくつか続いていますが、そこで勝ち切れているのは素晴らしいことです」
──ここ数試合ゲームキャプテンを担当されています。意識していることは何でしょうか。
「まずはしっかり呼吸を整え、チームでしっかりと話せるような状態に戻すことを意識しています。チーム全体をリードすることはしていますが、自分も頼れるリーダーがこのチームには大勢います。経験豊富な選手が何人もいることが重要なカギになっていると思います。自分がそのチームとリーダーの人たちとの仲介役になることが最近はうまくいっているんじゃないかと感じています」



























