NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第13節(交流戦)
2026年3月28日(土)14:30 日産スタジアム (神奈川県)
横浜キヤノンイーグルス 27-33 トヨタヴェルブリッツ
デビュー戦でまさかの“2キャップ”。大声援を受けた男の恩返し
イレギュラーなかたちながらリーグワンデビューを飾ったトヨタヴェルブリッツの福澤慎太郎選手「今日、彼は2キャップを獲得したと思っています(笑)。特殊な状況で良いプレーをしてくれましたし、きっと人生で忘れない素晴らしい思い出になったでしょう」
世界的な名将として知られるトヨタヴェルブリッツのスティーブ・ハンセン ヘッドコーチが高く評価したのは福澤慎太郎。緊張しがちなリーグワンデビュー戦でチームのピンチを救い、勝利に大きく貢献した。
ハンセン ヘッドコーチが1試合なのに「2キャップ」と言ったのには理由がある。福澤は前半35分に一時交替で出場すると、後半開始から再びリザーブへ。後半22分に今度は本職のフッカーで二度目の出場をしたからだ。
チームは前半からピンチに陥っていた。前半22分に精神的支柱でもある姫野和樹が負傷による交替を余儀なくされた。さらに同35分にはその姫野に代わり出場したウィリアム・トゥポウがHIA(脳振盪の疑いによる一時退出)に。リザーブにバックローがいない状況となり、慶應義塾大学時代にナンバーエイトだった福澤に急きょ出番が回ってきた。
想定外のデビューとなったが「気負いなくピッチに入ることができた」と福澤は言う。それは「プレーについては何の不安もなかった」と、練習の段階で準備が完了していたこともあるが、スタンドから大声援が飛んできたことが大きな要因だ。
東京都出身の福澤であるが、実家はこの日の会場である日産スタジアムから車で30分程のところにあり、両親や家族はもちろん、全国大会で2位に入った中学時代や、高校、大学の仲間が大挙して応援に駆け付けていた。
「グラウンドに入った瞬間にみんなの声が聞こえてうれしかったし、みんなに恩返ししたいという気持ちでプレーしました」
初めてリーグワンのグラウンドに立った福澤は、低くて激しいタックルや、相手のラインアウトを忍者のように奪い取るなど大活躍。父の成能さんは「慎太郎がラグビーを始めたのは中学生からでしたが、素晴らしい仲間に出会えたし、いまも素晴らしいチームメートのおかげで、本当にいい舞台に立てたと思います」と、目に涙を浮かべ喜んでいた。
試合後、実家へ帰ると、一番の大好物だという母の手作りのジェノベーゼパスタがご褒美として待っていた。
(斎藤孝一)
横浜キヤノンイーグルス
横浜キヤノンイーグルスのレオン・マクドナルド ヘッドコーチ(右)、ビリー・ハーモン ゲームキャプテン横浜キヤノンイーグルス
レオン・マクドナルド ヘッドコーチ
「前回のトヨタヴェルブリッツとの対戦からも分かるとおり、激しい試合になることは予想していました。先週のコベルコ神戸スティーラーズ戦では非常に良いパフォーマンスを発揮できましたが、今回は同じレベルに達することができず残念です。重要な場面でエラーが出たことが、今後の課題になると思います。オフサイドなどのイージーなミスは改善されていたはずですが、今回は再び出てしまいました。この点は修正していきたいです。また、敵陣で15フェーズほど重ねながらトライを取り切れなかった点も反省材料です。リーグワンはどの試合も接戦で、非常にレベルの高い戦いになります。本日の試合は、すべてのプレーを高い精度で遂行しなければ勝てないという重要な学びになりました」
──ハーフタイムではどういった修正を施したのでしょうか。
「いくつか修正点を共有しました。ディフェンスでは、より速くセットし、コリジョンで勝てるようにすること。アタックでは、ラックでしっかり優位に立ち、ボールを前に運ぶことで、自分たち本来のアタックを発揮できるというメッセージを伝えました」
横浜キヤノンイーグルス
ビリー・ハーモン ゲームキャプテン
「勝つチャンスやトライの機会は作れていましたが、規律を守れず相手に流れを渡してしまいました。この点をしっかり振り返り、改善して次の試合に臨みたいと思います」
──終盤にラインアウトを続けて失敗した原因についてどう感じていますか。
「相手のロックが二人いない状況でも取り切れなかったラインアウトがありましたが、その中でも一定の対応力は見せられたと思います。特にランダル・ベイカーは若いロックながら、良い対応を見せていたと感じています」
トヨタヴェルブリッツ
トヨタヴェルブリッツのスティーブ・ハンセン ヘッドコーチ(左)、彦坂圭克バイスキャプテントヨタヴェルブリッツ
スティーブ・ハンセン ヘッドコーチ
「まず、チームの努力を誇りに思います。試合をとおしてだけでなく、特にイエローカードが2枚出た場面でのディフェンスでは、選手たちのスピリットや底力、そしてコネクションを示すことができ、それが勝利につながったと思います。一方で、後半最初の10分間に立て続けにトライを許した点など、チームとしての課題もあります。スクラムを起点としたプレー判断については、なぜキックの選択が適切でなかったのか、レフリー団と確認したいと考えています。そうした課題はありますが、あらためて選手たちの努力を評価したいと思います」
──2試合続けてイエローカードが2枚出た点についてどう感じていますか。
「ペナルティは、必死にディフェンスをしているからこそ起きている部分もあると思います。ただし、規律の面は見直す必要があります。故意の危険なプレーはありませんが、ペナルティを繰り返してしまいカードにつながっているのが現状です。これまで多くの試合を指揮してきましたが、2試合連続でロックに2枚のカードが出た経験はありません。今回で最後になることを願っています」
トヨタヴェルブリッツ
彦坂圭克バイスキャプテン
「ラスト20分のチーム全体の頑張りが非常に良く、それが勝利につながったと思います。ただ、ペナルティの繰り返しで今回もカードが2枚出てしまったので、その点は修正が必要です。クリーンなラグビーができるよう、1週間しっかり準備して、次の試合でも良いパフォーマンスを出したいと思います」
──リーグワンデビューとなった福澤慎太郎選手との交代時の会話について聞かせていただけますか。
「交代の際は、主に相手スクラムの情報を共有しています。福澤は人柄も良く、向上心があり努力家なので、今後さらにスキルを伸ばすでしょうし、頼もしい選手になっていくと思います」



























