NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第15節(リーグ戦)カンファレンスA
2026年4月18日(土) クラサスドーム大分(旧レゾナックドーム) (大分県)
横浜キヤノンイーグルス 33-15 浦安D-Rocks
惜別の拍手を背に。世界的名手が見据えるのは最後まで勝利だけ
D1/D2入替戦回避を目指す11位・横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)と12位・浦安D-Rocks(以下、浦安DR)による下位対決は、ホストチームの横浜Eに軍配が上がった。前半2分、電光石火のトライで先制した横浜Eは、序盤から主導権を掌握。一時は7対7に追い付かれたが、その後は効果的に加点し、浦安DRを退けた。
“千両役者”の登場は後半8分、土永旭に代わってクラサスドーム大分(旧レゾナックドーム)のグラウンドに足を踏み入れると、この日一番の拍手がスタジアムを包み込んだ。4月12日、今季限りでの横浜E退団が発表されたファフ・デクラークにとって、横浜Eのジャージーを着て大分のグラウンドに立つのはこの日が最後。早速デクラークは瞬く間に見せ場を作った。
重心の低いタックルでヤスパー・ヴィーセのアタックを阻止すると、左足のキックから50-22を決めてチャンスを演出。計算し尽くされた正確無比のキックにスタンド中の観衆が思わずどよめいた。「50-22のキックは試合の流れを大きく変えてくれた」。そう言って称賛したのは、南アフリカ代表のチームメートでもあるジェシー・クリエルだ。
さらにデクラークは、大分のファンに自身のトライシーンを一目見せようと奮戦。後半25分過ぎには、オテレ・ブラックのパスをインターセプトし、スピーディーなターンオーバーにつなげようとしたが、惜しくもノックフォワードのミスで絶好のチャンスを逃してしまった。「チャンスを無駄にしてしまったのはすべて自分の責任。次はもっと集中力を高めたい」とデクラーク。今後のレギュラーシーズンの中で挽回するつもりだ。
衝撃の退団発表以降、SNSではデクラークの退団を惜しむ声が止まらず。4シーズンもリーグワンでプレーしてくれたことに対する感謝のメッセージが絶えなかった。そんな“デクラーク現象”を伝え聞いた本人はこう言った。
「ほかの国であれば、感謝の気持ちを伝えるコメントはいただけていないかもしれません。ストレートに感謝の気持ちを伝えてくれる日本のファンのみなさんの振る舞いがとてもうれしいですし、ありがたい存在です」
横浜Eのジャージーを着てプレーできるのも、レギュラーシーズンは残り3試合。刻一刻と別れの日が近づく中、日本のラグビーファンに愛された世界的名手は、「残りは全部勝ちたいです」と“全勝宣言”し、チームバスへと乗り込んだ。
(郡司聡)
横浜キヤノンイーグルス
横浜キヤノンイーグルスのレオン・マクドナルド ヘッドコーチ(右)、ジェシー・クリエル キャプテン横浜キヤノンイーグルス
レオン・マクドナルド ヘッドコーチ
「今節はとても重要な試合であることを認識していたため、バイウィークもハードな練習を積んできました。その成果が実際の試合に反映されたと思います。特に今節は選手たちのアティチュード(態度)が素晴らしく、とても良いマインドセットで戦うことができました。両チームともに必死でしたが、選手たちは相手のプレッシャーに対しても果敢に挑んでいましたし、相手のカウンターアタックに対しても、辛抱強く戦えたことはとても良かったです」
──ボーナスポイントを獲得した上での勝利となりました。ボーナスポイントの獲得はアタックとディフェンスの両面が良くないと実現できないことだと思いますが、アタックとディフェンスのクオリティーのバランスはどうだったのでしょうか。
「シーズンの序盤に浦安D-Rocks(以下、浦安DR)さんと対戦した際は、アタックとディフェンスの両面でコリジョン(衝突)に問題点を抱えていたため、今節に向けてはコリジョンに焦点を絞ってきました。その結果、われわれは相手を次第に消耗させることができました。また相手はわれわれから相当なプレッシャーを掛けられたことで試合終盤に向かうにしたがい、疲弊していったと思います。相手はボールキャリーに優れた選手が多いため、われわれが勝つには、シンプルなラグビーをうまく遂行する必要性がありました。その中で選手たちはコーチングスタッフが意図していた狙いを忠実に実践してくれました」
横浜キヤノンイーグルス
ジェシー・クリエル キャプテン
「今節に向けて、試合内容を改善するためのさまざまなアプローチがコーチングスタッフから提示された中で、われわれは自信をもってチームを発展させるようなパフォーマンスを発揮できたことを誇りに思います。フォワード陣はハードワークできていましたし、バックス陣も良いボールキャリーがあった中で、この勝利はフォワード陣のおかげと言っても過言ではありません。非常に素晴らしい準備期間を過ごせた成果がこうして勝利につながりました」
──順位が近いこともあり今節はとても重要な試合でしたが、チームが発信していた移動中の動画からは、とてもリラックスしている様子がうかがえました。実際にチームや選手たちのメンタリティーはどうだったのでしょうか。
「準備期間の初日の円陣で、私は『大好きなラグビーをプレーできる機会を楽しもう』と伝えました。われわれにとっては厳しい状況が続いていますが、トレーニングウェアやジャージーを着て、グラウンドに足を踏み入れ、大好きなラグビーを楽しもうという姿勢が、実際の試合でも選手たちのプレーに表れていたと思います」
浦安D-Rocks
浦安D-Rocksのグラハム・ラウンツリー ヘッドコーチ(左)、佐々木柚樹ゲームキャプテン浦安D-Rocks
グラハム・ラウンツリー ヘッドコーチ
「とても残念な結果ではありますが、横浜キヤノンイーグルス関係者の皆さまには『おめでとう』と申し上げたい。ボールを良く動かしながら戦えていましたし、素晴らしいオフロードパスもありましたが、あまりスコアに結び付かずに残念な思いです。また試合中にけが人も出ましたし、改善しないといけないポイントは多々ありますが、技術的な面だけに捉われずに、ポジティブな面にも目を向けながら改善していきたいです」
──リーグワンのファーストキャップだった金侑悟選手について、プレー中の出来はどう見えましたか。
「われわれとしても将来を期待している選手ですし、トレーニングの中でも素晴らしいクオリティーを長い時間発揮できるようになってきていたため、いつ先発で起用しようか、コーチングスタッフの中でも話し合ってきました。(HIAのため想定より)早い時間帯での交替は残念でしたが、重要な局面でも良い部分を見せてくれたので、これからは明るい未来が待っている選手です」
浦安D-Rocks
佐々木柚樹ゲームキャプテン
「自分たちの規律の面が足りずに自陣に入られることや、ディフェンスの面でも後手に回る時間帯もありました。今日の試合に関しては一貫性が足りませんでした。一貫性の部分を改善することは、今後のトレーニングで取り組んでいきたいポイントです」
──試合をとおして主導権を握れる時間帯が少なかった印象です。その原因はどこにあると考えていますか?
「アタックでは簡単なミスが多かったです。ディフェンスでは1対1のタックルの場面でも、そこで食い止められず、相手にオフロードのパスを展開されることもありました。そういったことが積み重なったことで相手にゲインされて、ペースをもっていかれてしまいました」



























