NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第15節(リーグ戦)カンファレンスA
2026年4月18日(土)14:30 相模原ギオンスタジアム (神奈川県)
三菱重工相模原ダイナボアーズ 26-45 東芝ブレイブルーパス東京
「なんくるないさ」と厳格な姿勢の共存。自分自身と向き合ってたどり着いたマインドセット
三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)のグレン・ディレーニー ヘッドコーチは試合後、東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)についてこう語り、相手を称えた。
「今日のBL東京は、この2カ月で最高のプレーをしていました。パスの精度、タイミング、どれをとっても昨季の優勝チームの姿だった」
その激闘の最前線に立っていたのが、相模原DBの宮里侑樹である。沖縄県出身の29歳はこの日も、フォワードの要として先発に名を連ねた。試合前には「フォワードで勝負が決まる。モールやスクラムでプレッシャーを掛け、相手を圧倒したい」と決意を口にしていた。
しかし、ノーサイドを告げる笛が鳴ったあと、宮里の表情には悔しさがにじんでいた。
「自分たちの連係不足でバラバラになり、受け身に回ってしまいました。スクラムで修正できなかったことが一番の敗因です」
真っ向勝負の末に突き付けられた現実を、宮里は真摯に受け止めていた。
宮里は中学時代まで陸上の長距離走やバスケットボールに打ち込み、ラグビーを始めたのは名護商工高等学校に進学してからだった。その後、早稲田大学を経てプロの世界に飛び込み、今季はジャパンラグビー トップリーグ時代から数えて通算50キャップに到達した。「相模原DBで積み上げた数字」という自負とともに、一歩ずつ歩んできた証だ。
彼の人間性を語る上で欠かせないのが、沖縄育ちならではの「なんくるないさ(なんとかなるの意)」という楽観的な精神と、プロとしての厳格な姿勢の共存である。
「自分は華のある選手ではありません。だからこそ、細かい、確実なプレーを積み重ねています」
その言葉どおり、昨季に「ハングリー精神が足りない」と指摘された自分自身と向き合ってきた。メンタルコーチとの対話を重ね、今季はボールキャリーやタックルのスタッツが飛躍的に向上。以前は大きな目標に目を奪われがちだったが、いまは「どのポジションで試合に出ても自分の仕事をする」という、目の前の一瞬に集中している。
この日はスクラムに課題が残った。一方で、モールには確かな手ごたえを感じているという。チームメートから慕われながらも、気を遣わせないフランクな関係を宮里は築く。泥臭い仕事を厭わない姿勢で、フォワード陣を鼓舞し続けている。
今季のレギュラーシーズンも残り3試合となった。
「規律を守り、自分たちの強みを生かせば、どの相手とも戦えます」
敗戦の痛みを糧に、宮里は再び最前線で体を張る。
(宮本隆介)
三菱重工相模原ダイナボアーズ
三菱重工相模原ダイナボアーズのグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(左)、吉田杏キャプテン三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ
「前半、最初の20分間は、風下での戦いとしては今季で最高の出来だったのではないでしょうか。東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)にとってプレーしづらい状況を作り、ディフェンスも良く、チャンスをしっかりとモノにすることができていました。しかし、その後の20分間で大きな勢いの変化がありました。その時間帯のボール支配率はわずか30%ほどで、さらに10分間の退場者(※イエローカードが出たのは前半16分)を出して一人少ない状況になったことが非常に(代償として)高くつきました。
試合の終盤、すでに勝敗が決まったような時間帯に再びエネルギーを出すことはできました。有利な状況でボールを動かせれば、非常に落ち着いて良いプレーができ、素晴らしいトライを奪えることは証明できたと思います。マット・ヴァエガ選手は、今季のリーグ全体でもトップクラスのトライ数(ディビジョン1で2位の13トライ)を記録しています。ただ、チームとして試合中盤の不安定さが課題です。そこを修正するために懸命に取り組む必要があります。レギュラーシーズンは残り3試合ありますので、そこを解決することが私たちの目標です」
──中盤の時間帯にうまくいかなかった理由は、準備の段階にあったのか、それとも、ゲームの中でのことだったのでしょうか。
「私たちが最も強化しようと取り組んできたのは、ハーフタイム後の20分間でした。そこについては準備をしてきましたが、実行段階でミスが出てしまうと、当然ながら戦略に大きな影響を及ぼします。特に厳しかったのは、前半のボール支配率が30%ほどしかなく、ディフェンスの時間が非常に長かったことです。さらに一人少ない状況では、相手に対して正面からぶつかって勢いを止めることが非常に困難でした。正直に申し上げますと、今日のBL東京はここ2カ月で最高のプレーをしていたと思います。今日の彼らは本当に素晴らしかった。パスの精度、タイミング、どれをとっても昨季の優勝チームの姿でした。すべてが私たちのミスだったと言うのは、彼らの素晴らしいプレーに対して失礼にあたるでしょう。それほど彼らのプレーは良かったです」
三菱重工相模原ダイナボアーズ
吉田杏キャプテン
「前半の入りの20分はいい形でゲームを進めることができたんですが、残りの20分、一人少ない状況の中でどれだけ我慢できるかという話をしていたところ、我慢し切れずにズルズルとスコアされてしまいました。後半は自分たちのやってきたことが出せた部分もありましたが、そのときにはすでに時間が足りないという状況でした。今日出た課題をしっかり見つめ直して、残り3試合、自分たちがどういったチームなのかを証明するいい機会だと思うので、しっかり切り替えます。1週間ごとに良い準備をした上で、自分たちのDNAを見せられればなと思います」
──BL東京の攻撃に対して、後手に回ってしまった要因は何だったのでしょうか。
「ディフェンスの時間が長かったぶん、差し込まれているシーンが多く、正面からドミネートするタックルができませんでした。なぜそれができなかったかと言うと、ポジショニングが遅れていたことや一人少ない状況での守り方など、細かい部分ですが小さなズレがスキルや判断のミスにつながってしまいました。また、アタックに切り替わったときに再びミスをしてしまいました。ゲームの流れで勢いに乗れるというときに自分たちでミスをしてしまったのが、前半の大きな課題だったと思います」
東芝ブレイブルーパス東京
東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチ(左)、リーチ マイケル キャプテン東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ
「今日の試合、まずは選手たちのパフォーマンスを本当に誇りに思います。今週は非常に良い準備ができました。練習で積み上げてきたものが、今日の試合でしっかりと発揮されたと感じています。前半は風を味方につけて非常に良いプレーができ、相手にプレッシャーを掛け続けることができました。後半もその勢いを維持し、ボールを保持し続けてチャンスを確実にモノにした選手たちは素晴らしかったです。1番から23番まで、全員が質の高いラグビーを見せてくれました。これ以上ないほど満足しています」
──バイウィーク期間中の調整について、コンディション維持と戦術面のバランスはどう考えていましたか。
「バイウィークは選手たちがリフレッシュし、エネルギーを再充填するのに非常に良い機会となりました。コーチ陣もミーティングを重ねましたが、今週の練習では『一日一日に集中すること』と『自分たちにフォーカスすること』を徹底しました。今季の中でも、今週の準備はベストだったと言えるほど充実していました。特に、試合に出る23名以外のメンバーが、練習で相手役を務めるなど素晴らしいサポートをしてくれたことが大きかったです。チーム全体に非常に良いエネルギーがあり、全員が自分たちの役割を遂行することに集中できていました」
東芝ブレイブルーパス東京
リーチ マイケル キャプテン
「今日も多くのファンの前でプレーできたことをうれしく思います。この試合の重要性はチーム全員が理解しており、そのための準備を重ねてきました。試合のプランとしては、モールでプレッシャーを掛けていく予定でしたが、三菱重工相模原ダイナボアーズのプレッシャーもあり、なかなか自分たちの思うような形にはなりませんでした。そこで状況を見て、モールに固執するのではなく、自分たちのスキルや強いボールキャリーを生かす形に切り替えました。その修正能力が非常に良かったと思います。規律の面も試合ごとに改善されています。前半は風上で優位にプレーできましたが、後半は自陣で苦しむ時間帯もありました。次週の横浜キヤノンイーグルス戦は、トップ4に入るために非常に重要な一戦になるので、しっかり準備していきたいです。
最後に、今日のピッチの状態は日本一、いや、これまでのラグビー人生で一番と言っていいほど素晴らしかったです。最高の環境でプレーできました」
──バイウィーク前よりもパフォーマンスが向上しているように見えます。チームの雰囲気はどうですか。
「チームの状態は着実に良くなっています。勝つことで雰囲気はさらに良くなりますし、バイウィークでリフレッシュできたこともプラスに働きました。いまは連勝している勢いを維持することが大切です。今季はけが人が多く、苦しい時期もありましたが、そのぶん、チャンスを得た若い選手たちが成長しました。今日新しくメンバーに入った選手も活躍しましたし、シーズン終盤に向けてチーム力はさらに上がっていくと確信しています」



























