NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第16節(リーグ戦)カンファレンスA
2026年4月25日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ 57-19 三菱重工相模原ダイナボアーズ
ユニオンとの出会いと日本との縁がもたらしたリーグワン初トライ
初トライを喜ぶ埼玉パナソニックワイルドナイツのゼイビア・スタワーズ選手(写真左)リーグワン初トライを決めると、仲間が一斉に駆け寄った。笑顔の輪の中心にいたのは、埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)のゼイビア・スタワーズ。陽気なムードメーカーを囲うように、チームメートたちもまた喜びを爆発させた。「待望の初トライでした。仲間が駆け寄ってきてくれて、一緒に喜べたことがうれしかったです」とほほ笑む。そのトライは、これまでの歩みを物語るものでもあった。
2023年に来日するまで、スタワーズは高校時代の3年間をラグビーリーグ(13人制)で過ごしている。「もともとは(15人制の)ラグビーユニオンをプレーしていましたが、学校がリーグの盛んな環境だったため、高校の間はリーグに転向しました」。それでも、ユニオンへの思いが消えることはなかった。プロとしてユニオンでプレーする機会を得たとき、「自分が本当にやりたいことはこれだ」と迷いはなかったという。
「リーグはフィジカルがメインですが、ユニオンは戦略や戦術がより高いレベルで求められます。僕はスマートにプレーしたいので、そうした側面にやりがいを感じています」
その背景には、日本との特別な縁もある。父のジョージ・スタワーズ氏は元サモア代表で、日本のクラブでもプレーした経験をもつ。幼少期には家族で神戸に住んだ。
「こうして日本に帰ってきてプレーできることを、すごくうれしく思っています」
埼玉WKに加入した当初は、リーグとの違いに戸惑う場面もあった。それでも「リーグワンのフィジカルとスピードに慣れること」をテーマに取り組み続け、今季はこれまでに180分近い出場時間を獲得。努力の積み重ねが、プレータイムとして表れるようになった。「1年目は慣れるのに苦労しましたが、3年が経ったいまは、自分の居場所や本来のプレーを少しずつ取り戻せている感覚があります」と手ごたえを口にする。パワフルでありながら、タクティカルに、ユニオンの魅力に向き合い続けた日々が、スタワーズの能力を開花させた。
196cm・114kg、ポジションはフランカー熊谷の地で親しまれている愛称は「X(エックス)」。ゼイビア(Xavier)の頭文字に由来するその呼び名は、この地で初めて呼ばれる名前だというが、それもすっかりチームに馴染んだ。いま、目指すは「選手として成長し続ける」こと。そして「埼玉WKでトロフィーを獲得して、チームに貢献したい」と繰り返す。
ホストゲームで決めた初トライ。スタワーズの旅路に、一つの足跡が刻まれた。
(原田友莉子)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
埼玉パナソニックワイルドナイツの金沢篤ヘッドコーチ(左)、坂手淳史キャプテン埼玉パナソニックワイルドナイツ
金沢篤ヘッドコーチ
「1週間、選手主導で非常に良い準備ができ、良い形で試合に臨むことができました。ただ、試合では特に前半において、自分たちのスタンダードに到達できていなかったというのが現状です。その中でも、得点機会をしっかりと得点につなげて試合をリードできていた点は評価できる部分だと思います。後半はリザーブメンバーが良いエナジーをもたらし、チームとして流れを取り戻すような内容にできたと感じています。プレーオフトーナメントに向けて、そして残り2試合のレギュラーシーズンに向けても、チームとして着実に成長していけるよう取り組んでいきたいと考えています」
──後半の早い段階で選手交代を行いましたが、次戦がショートウィークであることを意識していたのでしょうか。また、ショートウィークの時間の使い方について教えてください。
「試合登録メンバーの23人については、誰が出ても自分たちのスタンダードを示せる選手を選んでいます。入替のタイミングは点差など試合状況によって判断していますが、今回は前半でリードを広げることができたため、リザーブメンバーに経験を積ませる意図もあり、早めに入替を行いました。この試合において、ショートウィークを見据えてメンバーを入れ替えるといった意識は特にありません。ただ、来週に向けた準備は非常に重要になります。通常より準備期間が短くなるため、より効率的にフォーカスを絞って選手に伝えていく必要がありますし、リカバリーを徹底しながら、ゲームデーに向けた最善の準備を進めていきたいと考えています」
埼玉パナソニックワイルドナイツ
坂手淳史キャプテン
「ヘッドコーチと同じ認識です。試合の入りが自分たちらしいものではなく、状況を十分に確認しないままのオフロードパスや、コンタクトで優位に立てていない中での無理なオフロードパスなど、ミスが多い前半だったと感じています。良いプレーと良くないプレーが混在しており、試合中に整理するのが難しい展開ではありましたが、ハーフタイムであらためて自分たちのスタンダードを確認し、後半の立ち上がりは良い形で試合に入ることができました。自分たちの強みを発揮すること、その中で適切な判断をしていくこと、どのプレーを選択するのかという点についてチーム内で再確認できたので、今後も継続して取り組んでいきたいと考えています」
──来週は今季初のショートウィークとなります。初めて経験する選手もいる中で、キャプテンとしてどのようにチームを次戦に向かわせていきたいと考えていますか。
「準備の内容自体は大きく変わりませんが、時間が限られているぶん、集中力がより重要になると考えています。その集中力をチームとしてどう引き出すかがポイントになります。コーチ陣も要点を絞ってシンプルに伝えてくれると思うので、自分たちはその短い時間の中でいかに集中し、試合にフォーカスしていくかが大切です。また、来週はナイトゲームとなるため、時間の使い方や試合までの過ごし方についても重要になります。経験の少ない選手も多いと思うので、チーム内で声を掛け合いながら、良い準備ができるよう計画的に取り組んでいきたいと考えています」
三菱重工相模原ダイナボアーズ
三菱重工相模原ダイナボアーズのグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(左)、吉田杏キャプテン三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ
「良いスタートを切ることができず、ミスからプレッシャーを受ける展開となりました。その中で相手も素晴らしいプレーを見せており、自分たちは流れをつかむことができない時間帯が長かったと感じています。試合終盤に良い形でトライを取ることができた点はポジティブですが、試合全体としては自分たちのやりたいラグビーを十分に発揮できませんでした。最後の締め方自体は悪くなかったと思いますが、ああした良いプレーの時間をもっと増やしていかなければならないという点が、最も大きな反省点です」
──スクラムやモールなどセットピースでは良い場面がありました。一方で、前半終盤のアタックのようにラインブレイクが難しい局面も見られました。リーグ戦終盤に向けて、どの部分を重視して強化していきたいと考えていますか。
「セットピースについては、試合をとおして悪くなかったと感じています。スクラムで優位に立てた場面もあり、モールでも相手を押し込むシーンを作ることができた点は評価できる部分です。一方で、そのあとのプレーで勢いを継続できない場面もあり、フィジカルで前に出るべきところで十分に表現し切れなかった部分がありました。ラインアウトにおいてもギャップのコントロールをより意識していく必要があると感じています。良かった点と課題の両方が見えた試合だったと思いますが、特にモール後のアタックやフィジカルの局面で、いかにゲインラインを越えていくかが今後の課題です。来週に向けてはその部分を重点的に改善していきたいと考えています」
三菱重工相模原ダイナボアーズ
吉田杏キャプテン
「80分間をとおして相手からのプレッシャーを受ける中で、自分たちのプランを遂行し切れなかったことが課題の一つだと感じています。特に試合の入りとなる最初の20分を大切にしようと前半開始から共有していましたが、相手の圧力を受けて自分たちのミスが重なり、前半のスコアにつながったと思います。一方で、試合の最後にはフェーズを重ねながら自分たちの強みを発揮し、得点につなげることができた点はポジティブでした」
──デビューを果たした栗田文介選手について、どのような選手か教えてください。また、栗田選手や平翔太選手らルーキーが出場する中で、チームの融合や一体感をどのように高めているのか、キャプテンとして意識している点をお聞かせください。
「栗田選手は、泥臭くハードワークを続けられる選手だと思います。タックルやブレイクダウンでのボール奪取など、目立たないプレーを繰り返し続けられる点が大きな強みです。チームとしては、自分より年上の選手が多くない中で、若い選手のもつエネルギーや勢いをうまく取り入れていくことが重要だと感じています。若い選手のパワーを受け取りながら、ベテランがチームをまとめていくことで、バランスの取れたチームの色を出していきたいと考えています。一方で、若さの勢いだけでは不十分な部分もあるため、その力を正しい方向に導いていくことがキャプテンである自分やベテランの役割だと思っています。チーム全体として一体感を持って戦えるよう、引き続き意識して取り組んでいきたいです」



























