NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第17節(リーグ戦)カンファレンスA
2026年5月3日(日)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
横浜キヤノンイーグルス 31-22 三菱重工相模原ダイナボアーズ
逆風に試されたルーキー。課題も収穫も得て次のステージへ
強風が吹き荒れた秩父宮ラグビー場で、横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)にアーリーエントリーで加入した武藤航生が、また一つ確かな経験を積んだ。D1/D2入替戦回避を確定する一戦で、フルバックとして先発した武藤航生は、勝利の中に課題と同時に手ごたえも見出していた。
「前半・後半をとおしてキック処理がうまくいっていなくて、そこが一番の課題だと感じています」
試合後、彼は率直に振り返った。
この日の秩父宮は強風が渦巻き、15番にとっては極めて難しいコンディション。その中で迎えた後半15分、三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)のチャーリー・ローレンスが背後へ転がしたキックを、武藤航生はトライエリアのサイドライン際でキャッチしプレーを続行。しかし、結果的にトライを許す形となった。
その場面について武藤航生は「風と歓声でレフリーの声も聞こえなくて、ボールの軌道で(味方のプレーヤーによる)ワンタッチがあったと見えてしまったため、あのようなミスになってしまいました」と冷静に自己分析した。
一方で、この試合には確かな収穫もあった。武藤航生は強風下でもアタック時の立ち位置を意識し、「少しワイドに構え、周りの選手が相手を引きつけたあとのスペースに入る」役割を全うした。
ジェシー・クリエルや梶村祐介ら周囲を見られる経験豊富な選手と連動しながら、ボールをもらうタイミングや走るコースの感覚、それにリーグワンの速さにも順応しつつある。ハイボールに対しても臆することなく前に出続けた姿勢は、フルバックとしての自信を深める材料となった。
今季の武藤航生は、ここ4試合連続で先発出場。アーリーエントリーを経て1シーズン目を戦う彼が、終盤戦の重要な時期に起用され続けている点は、コーチ陣からの信頼の証だ。その成長を称えたのが、世界的センターのクリエルである。「航生は信じられないほどハードワークし、今日のような厳しい条件でも15番に必要な勇敢さを示してくれた」と高く評価した。
この日、相模原DBには関西学院大学ラグビー部の同期である川原大の姿もあった。直接対決はかなわなかったが、川原は「ディフェンス、パス、キック、ラン、すべてを高いレベルでこなせる万能な選手。大学時代から頼りにしていました」と武藤航生を評価する。同時期にプロデビューを果たした二人は、いまも互いを刺激し合う存在だ。
今季は残り1試合。武藤航生は「ファンのみなさんの前で、自分たちがやってきたラグビーの集大成を見せ、しっかり勝ち切りたい」と力を込めた。
逆風の中で得た経験を糧に、ルーキーは次のステージへと歩みを進める。
(宮本隆介)
横浜キヤノンイーグルス
横浜キヤノンイーグルスのレオン・マクドナルド ヘッドコーチ(右)、ジェシー・クリエル キャプテン横浜キヤノンイーグルス
レオン・マクドナルド ヘッドコーチ
「チームにとって非常に重要な試合でした。順位表のどの位置でシーズンを終えるかという点で、大きな意味をもつ一戦でした。非常に優れたチームである三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)が、この試合に並々ならぬ覚悟で挑んでくることは分かっていました。そのため、激しい戦いになることを想定して準備してきましたが、まさに今日、そのような試合になりました。スタートは非常に良く、アタックでスペースを見つけることができました。しかし、相手は非常にスマートなプレーを展開し、接点をタイトに保ちながら、彼らの強みであるフォワードパックを生かして攻めてきました。私たちはボールを自分たちの手に収めるのに苦労し、やりたかった"外側へボールを運ぶ展開"がなかなかできませんでした。
前半を終えた時点でリードはしていましたが、点差はわずかでした。後半は風が大きな要因になると分かっていたので、カウンターアタックでボールをキープし、フェーズを重ねて自分たちのゲームプランを再構築することが重要だと確認しました。最終的に勝利を収めることができ、非常に誇りに思います。大きなプレッシャーが掛かる中で、最後には勝ち切る方法を見つけ出しました。これがこのチームの成長だと思います。シーズン序盤であれば、こうした試合を落としていたかもしれません。接戦を勝ち切るという点において、確実に成長しています。最後に、今季最後のホストゲームで、どんなときも変わらず応援し続けてくれたファンのみなさんの前で、このようなパフォーマンスを見せられたことは非常に重要でした」
──僅差の場面で田村優選手を入替させましたが、意図を教えてください。
「私たちは全選手を信頼しています。ベンチから入る選手たちがさらなるエネルギーをもたらし、変化を起こしてくれると確信していました。ファフ(・デクラーク)をもっと早い段階で投入したかったのですが、フォワードがプレッシャーを受けている状況で、リアム・コルトマンが素晴らしい仕事をしてくれていたため、予定より入替が遅くなりました。また、今週はずっとリーバイ(・アウムア)がベンチから出場して、決定的な仕事をする場面について話し合ってきました。彼はまさにそのとおり、重要なトライを決めてくれました。今週は多くの選手が体に痛みを抱え、満身創痍の状態でしたが、チームのために深く、強く戦ってくれました。その闘志と決意を誇りに思います」
横浜キヤノンイーグルス
ジェシー・クリエル キャプテン
「まず、今季苦しい時期もあった中で、いつもポジティブでいてくれたこの場にいるみなさんに感謝を伝えたいです。これは日本のラグビー界やその文化、そして日本の方々の素晴らしさを物語っていると思います。チームを代表して、そして私個人からも、厳しいときも、そして状況が良くなったいまも、ずっとポジティブに支えてくれてありがとうございます。レオン(・マクドナルド ヘッドコーチ)が言ったように、非常にタフな試合になること、そして相模原DBが必死に来ることは分かっていました。リーダー陣がチームに求めたのは、横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)のジャージーへの誇りと、円陣の中にいる仲間への思いやりを示すことでした。今日のように苦しい局面では、あえてタフな選択肢を選び、厳しい道を進むことを選びました。それが特にプレッシャーの掛かった場面でのディフェンスに表れていたと思います。そのことを誇りに思います。
シーズンはまだあと1試合残っています。最後を勝利で飾り、最高の形でシーズンを終えたいです。また1週間、良い準備をして自分たちのプレーを磨き、チームとして成長し、仲間やファンが誇りに思えるような試合をしたいと思います」
──素晴らしい立ち上がりでしたが、後半に4点差まで追い上げられたとき、チーム内ではどのような声を掛け合っていたか教えてください。
「相手はセットピースやモールといった自分たちの強みを生かして攻めてきました。私たちはそれを止めるのに苦労していましたが、フォワードのリーダー陣を褒めたいと思います。ビリー(・ハーモン)やリアキ(リアキマタギ・モリ)といった選手たちがフィールド上で大きな決断を下し、解決策を見出していました。また、フォワード陣が体を張ってプレーし続けたことも大きいです。けがを抱えながら出場した選手もいましたが、彼らは最後までやり遂げました。結局のところ、それが最も重要なことなのです」
三菱重工相模原ダイナボアーズ
三菱重工相模原ダイナボアーズのグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(右)、吉田杏キャプテン三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ
「横浜Eさん、おめでとうございます。今日は本当にタフな試合でした。前半の最初の20分間はあまりボールを持てず、横浜Eにトライを許してしまいましたが、その後は私たちのボール支配率も増え、良いプレッシャーを相手に掛けることができました。二つのトライを奪い、前半の終わり方は非常に良かったです。後半はキックチャージやプレッシャーなど、ギリギリの場面もありましたが、私たちのチームも良い試合ができたと思います。誇りに思います」
──今季を振り返ると、今節のように勝てるところまでいきながら、あと一歩届かない試合がありました。ゲームの中やシーズンをとおした一貫性という部分で、少し差が出てしまったと感じますが、いかがですか。
「そのとおりですね。今季のスコアを振り返ると、ほぼすべての試合で接戦を演じてきました。試合の結果は細かな瞬間に左右されますが、そこで実行し切れなかった場面が多かったです。勝ち点で見ると、試合の残り5分間で失った勝ち点が10点ほどあったと思います。全体的なラグビーの内容としては、昨季よりも良くなっていますが、結果が付いてきませんでした。大きな局面で実行力を高めるために、もっと努力が必要です。接戦で負けるのはつらいことですが、常に勝負の中にいて、ジャージーを着る情熱と誇りを示せているのは良いニュースです。その点については心配していません」
三菱重工相模原ダイナボアーズ
吉田杏キャプテン
「前半は風下で苦しい時間が続きましたが、後半に1トライで追い付ける点差まで追い上げました。しかし、そこで仕留め切れなかったことは、キャプテンである自分自身の責任だと感じています。ただ、下を向いていても次につながらないので、次に向けて良い準備をして臨みたいと思います」
──D1/D2入替戦への進出が決まったことについて、受け止めを教えてください。
「残り3試合、一戦一戦、自分たちが今までこのシーズンでやってきたことを見せれば問題ないと思っています。まずは1週間、良い準備をして良い試合をすることが、自分たちのやるべきことだと考えています」



























