NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第18節(リーグ戦)カンファレンスA
2026年5月9日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ 45-0 東芝ブレイブルーパス東京
チームに根付く『個人練習』の文化。先人たちから受け継がれる思いと技術
レギュラーシーズン全18節を終え、2位でプレーオフトーナメント進出を決めた埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)。レギュラーシーズン今季最後のホストゲームには、チーム史上最多となる19,244人が詰め掛け、熊谷スポーツ文化公園ラグビー場は青一色に染まった。
その熱狂の中、ひと際はじける笑顔を見せたのが、佐藤健次だった。
後半24分。リアム・ミッチェルが相手を極限まで引きつけると、生まれたわずかなギャップを勢いよく切り裂いた。豪快なランでトライラインへ飛び込めば、仲間たちも次々と駆け寄り、喜びを分かち合った。
「チッピー(ミッチェル)がギリギリまで相手を寄せてくれたので、自分は前が空いているところに走り込んだだけ。お膳立てしてもらったトライです」
自身のトライでありながら、何度も「チームで取ったトライ」と口にした。
その言葉には、埼玉WKで積み重ねてきた日々がにじむ。
チームに根付くのは、惜しみなく知識を伝え合う『個人練習』の文化だ。ディフェンス練習をすれば、坂手淳史、布巻峻介、大西樹らが“先生役”となって経験を隠すことなく共有してくれる。タックル練習ではパッドをつけないフルコンタクトのタックルを、延原秀飛が毎回受けてくれる。そして「いまのはこうだった」と細かくレビューを返してくれるのだという。
もう一人。フッカーという専門職を担う上で外せないのは、堀江翔太フォワードコーチの存在だ。
スクラムだけではない。ランニングコースやパスの質、状況ごとの判断基準も。フィールドプレーの細部に至るまで、日々教えを請う。
「全部、教えてもらっています」
桜の散る時期には、練習後に堀江コーチと二人、グラウンド脇で長く言葉を交わす姿もあった。「全部」という2文字に、深い感情が宿る。
「僕は埼玉WKに入って、ラグビーへの取り組み方が変わりました。今までは勢いでやっていた部分もありましたが、いまはスクラムでもラインアウトでも、『なぜこうなったのか』を自分で考えるようになっています」
ただ教わるだけではない。受け取ったものを咀嚼し、自分のラグビーへと変えていく力が備わった。
教えてくれる人がいる。そして、その言葉を素直に吸収できる心もある。だから、佐藤は寄り道せずにまっすぐ成長する。
いよいよシーズンはプレーオフトーナメント準決勝へ。昨季、悔し涙を流したリベンジへと向かう。佐藤は言う。
「ラグビーは一人でやるものではないし、一人で負けるものでもない。今季積み重ねてきたことを、チームとして出したいです。自分たちのもっているプライドを1秒たりとも切らさずにいることができれば、どんな相手にも勝てると思います」
熊谷で咲かせた笑顔を、最後まで。
(原田友莉子)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
埼玉パナソニックワイルドナイツの金沢篤ヘッドコーチ(右)、坂手淳史キャプテン埼玉パナソニックワイルドナイツ
金沢篤ヘッドコーチ
「先週の敗戦を受けて、チームとして『この負けを必要な敗戦だったと思える1週間にしよう』と話してきました。そして、その意識を選手たちがしっかり試合で表現してくれたと思います。
実際、練習自体は非常に良い内容でできているのですが、それを試合の中でどう発揮するかという点に関しては、シーズンをとおして波があったのも事実です。そうした課題にあらためて気付かされるきっかけになった週だったと感じています。チームとしてもう一度乗り越えることができたからこそ、今日のパフォーマンスにつながったのではないかと思っています」
──前半は風下からのスタートとなりましたが、エリアマネジメントも含め、この強風の中でどのような手ごたえがありましたか。
「山沢(拓也)のキック判断が非常に良かったことは一つ大きな要因だったと思います。また、先週との一番の違いは、自分たちがキックを蹴ったあとのチェイスやディフェンスの部分で崩れなかったことです。(風下でも)むしろ相手にプレッシャーを掛け続けることができました。風下という難しい状況ではありましたが、その点で非常に良い前半40分を過ごせたと感じています」
埼玉パナソニックワイルドナイツ
坂手淳史キャプテン
「ヘッドコーチが話したとおり、自分たちにとって非常に良い1週間を過ごすことができました。その中で、準備してきたものをどう試合で表現するかが重要でしたが、特にチームとしてのコネクションを切らさず、80分間戦い続けられた点は非常に良かったと感じています。
この経験を次につなげていきたいですし、ここから何を学び、再来週以降のプレーオフトーナメントにつなげていくかが非常に大切になると思っています。今日の試合をしっかり振り返りながら、次に向けて準備していきたいと考えています」
──本日の勝利で2位以上が確定しました(※最終順位は翌日のコベルコ神戸スティーラーズの結果次第)。
「1年間、18試合をとおして積み重ねてきた結果として、この順位につながったことを非常にうれしく思いますし、チーム全員の努力が形として表れたことが良かったと感じています。
ただ、昨季はこのあとの(プレーオフトーナメント)準決勝で敗れ、さらに3位決定戦も落としてしまい、シーズンの締めくくりとしては自分たちの望む形ではありませんでした。だからこそ、ここから先の戦いが非常に重要になると思っています。
チームとしてどう戦っていくかをあらためて整理しながら、準決勝までの期間も昨季より長く空くため、その時間をどう使うかも含めて、コーチ陣としっかり話し合いながら準備を進めていきたいと考えています」
東芝ブレイブルーパス東京
東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチ(右)、リーチ マイケル キャプテン東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ
「まずは山沢(拓也)選手の100キャップ達成、おめでとうございます。その節目の試合に立ち会えたことを、チームとしてうれしく思っています。
試合については、自分たちでしっかり準備して臨みましたが、流れを作り出すことができず、相手にゲインラインを取られる展開が続く中で、終始プレッシャーを受ける試合になりました。なかなか自分たちの形でゲームに入ることができなかったと感じています。
コリジョンや接点の部分で後手に回ったことで点差を広げられ、スコアが離れた中で何とか取り返そうと焦ってしまった部分もあり、それがさらに点差を広げる要因になったと思います。
ただ、プレーオフトーナメントに向けては非常に良い学びを得られた試合でもありました。この経験をチームに持ち帰り、今後につなげていきたいと考えています」
──最終節を迎える前の時点でプレーオフトーナメント進出チームが決まっている状況でしたが、選手たちに求めていたことやチームとして見せたかったものは何だったのでしょうか。
「先週勝利した流れの中で、2週続けて良いパフォーマンスを発揮できるかという点を大切にしていました。また、埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)という強いチームに対して、どれだけチャレンジできるかも重要なテーマでした。相手と対峙する中で感じるプレッシャーの中でも、選手一人ひとりがどのようなパフォーマンスを見せられるかを確認した試合でした」
東芝ブレイブルーパス東京
リーチ マイケル キャプテン
「みなさん、こんにちは。本日は遠方の熊谷スポーツ文化公園ラグビー場まで足を運び、応援してくださった東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)のファンの皆さまに対して、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
自分たちのスタイルや接点での強さをまったく表現することができず、ブレイブルーパスらしさを見せられなかった試合だったと思います。その責任は選手にあり、キャプテンとして強く責任を感じています。
この1週間は接点を大きなテーマにして準備してきました。埼玉WKに対しては、ラック周りやコリジョンなど接点の攻防がカギになると考え、そこにフォーカスして取り組んできたつもりです。しかし、試合開始から最後まで接点の強さで相手に上回られました。自分たちとしても強いフォーカスとプライドをもって臨んだだけに、反省しかありません。
ラグビーは接点で勝たなければ戦えません。その現実をチーム全体で受け止めなければならないと思っています。次は負けたら終わりの厳しい戦いになります。来週をどう過ごし、どのようにプレーオフトーナメントへもっていくかが重要です。次はないという覚悟で準備し、BL東京ファンの皆さまに対しても、自分たちのチームに対しても、ちゃんと100%を懸けて戦いたいと思います。
また、山沢(拓也)選手の100キャップ達成は本当に素晴らしいことだと思います。けがの多いキャリアの中でその数字に到達したことに敬意を表します。
そして布巻(峻介)選手。個人的にも高校時代からタフな選手として好きな選手でした。引退、お疲れさまでした。これからの人生も素晴らしいものになることを楽しみにしています」
──前半は風上でしたが、あえて風を使わない形だったのでしょうか。また、プレーオフトーナメントへの意気込みをお願いします。
「前半は風上を選択し、まずは自分たちでアタックして前に出ながらエリアを取っていこうというプランで臨んでいました。ただ、実際には2、3フェーズを継続することができず、ラインアウトやスクラムでミスが出るなど、ファーストフェーズの段階で自分たちの形を作れなかったことが大きかったと思います。結果として、狙っていたゲームプランを十分に遂行できませんでした。
プレーオフトーナメントに入れば、これまでの結果は関係ありません。試合当日に、どれだけ自分たちの強みを出せるかが重要になります。特にコリジョンエリアでの戦い、規律、そして、エリアマネジメントは非常に大切になってくると思います。相手がどこであっても、自分たちらしく戦い、しっかり勝ち切れるよう準備していきたいと思います」



























