NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第5節
2026年1月31日(土)12:00 上柚木公園陸上競技場 (東京都)
日野レッドドルフィンズ 12-62 豊田自動織機シャトルズ愛知
才気煥発。ワールドクラスのコンダクターが引き出した躍動という名のシンフォニー
リーグワンでのデビュー戦で違いを見せつけた豊田自動織機シャトルズ愛知のノア・ロレシオ選手ワールドクラスの才能と、可能性にあふれた20歳の俊英。それぞれの持ち味が重なり合うとこれほどの輝きを放つのか、と驚かされた。豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)は、ワラビーズ(オーストラリア代表)で30キャップを保持するノア・ロレシオがリーグワン初出場。ロレシオが変幻自在に攻撃を組み立てると、S愛知のフォワード、バックスが一体となって躍動。高島來亜が4トライを奪う大活躍を見せるなど合計10トライを積み上げる圧勝を果たした。
高島は「前節に敗れてからも『次へ進むんだ』という思いで悪い部分は改善しつつ、良いところは伸ばしていこうと練習してきました。先発なので『ウイングからもゲームを作っていける』という思いで最初からアグレッシブさをどんどん出していこう」と試合開始直後からギアを一気に上げていた。その中で、ロレシオのゲームコントロールが一気にS愛知へと流れを呼び込む。ウイングの位置にいた高島も彼のすごさを感じ取っていた。
「もう、めちゃくちゃすごいですね。キックの使い方もそうですし、どこからでもアタックしてくれる。フォワードをコントロールしながらバックスも操っていて、非常に大きなパワーになっていた。目が何個もあるかのように周りを完全に把握しているんです」と高島。高島のトライシーンは、ロレシオのお膳立てからディフェンスラインを完全に突破した完璧な崩しから『あとは置くだけ』というものばかりだった。さらに高島は10番のすごさを口にする。
「ロレシオは試合中のどんなシチュエーションでも、しっかりしゃべってコミュニケーションを取ってくれるところが一番大きい。フォワードのオーガナイズで『ここに入ってくれ』とか、サインプレーでも僕らが次に何を準備するべきかを予測して早めに話してくれます。僕らウイングも外から声を出しますが、やはりゲームを作るところで先に声を出してくれるのでやりやすかったですし、ウイングとしてもとても楽しくプレーできました」
ロレシオは「まずは基本に立ち返って、基本を大事にプレーしようと試合に臨みました。(首のけがからの復帰戦でしたが)自分の感覚としても非常に良い状態でグラウンドに立ち、自分らしいプレーができたと思います」とリーグワンでの初試合を振り返る。
「ラグビーをプレーすること自体がユニバーサルランゲージ(共通言語)ですので。グラウンドではスクラムハーフの湯本(睦)選手ともうまく連係できましたし、コミュニケーションの部分はまったく問題なかったと思います。本当に楽しくプレーできて、ここまで支えてくれたメディカルスタッフはじめみんなに感謝したい」と快勝に笑顔を見せた。
ロレシオがコンダクター(指揮者)となり、高島はじめラグビーという共通言語で気持ちを通じ合わせたメンバーが生き生きと躍動。S愛知が、ディビジョン2優勝に向けて再び力強く前進した。
(関谷智紀)
日野レッドドルフィンズ
日野レッドドルフィンズの苑田右二ヘッドコーチ(左)、中鹿駿キャプテン日野レッドドルフィンズ
苑田右二ヘッドコーチ
「久しぶりとなる八王子・上柚木公園陸上競技場での試合開催、なおかつホストゲームで相手チームが豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)さん、という素晴らしい環境でゲームができたことに関して、準備いただいた皆さまに深く感謝しています。
チームのみんながこの1戦に勝つことを目標に準備をしてきたのですが、S愛知さんからいろいろなプレッシャーを受けて、自分たちのラグビーができなかった場面がありました。次の試合までに1週間のオフを設けますので、しっかりリフレッシュしてもう一度われわれが次のゲームであるNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)戦で何をすべきか、今回は何がダメで何を修正しないといけないのか、ということをクリアにして次戦に臨みたいと思います。本日はありがとうございました」
──次戦に向けて少し間隔が空きますが、その期間にどんなことに取り組んでいくのか、そのプランを教えてください。
「タフなシチュエーションになればなるほど迷いが生じますし、ベクトルも外に向くようなことがあるので、われわれスタッフがベクトルを内に向けて、いま何をすべきかを明確にしていきたいと考えています。まだ(リーグ戦が)9試合残っていますが、先を見るのではなく次のGR東葛戦でどう戦うかにフォーカスして、そこで勝つためにどうするのかという部分をクリアにして試合に臨めるようプランニングしていきます。どんな相手に対しても通用する部分というのは選手たちもつかんでいると思いますので、あとはその精度をどう上げていくか。80分間そのプレーについて一貫性をもって進めていけるように準備していくことが大事だと考えています。いまのメンバーがどうすれば力を出し切れるかをクリアにして試合への準備を進めていけば必ず扉が開くと思うので、いまはタフな状況ですが我慢強く取り組んでいきたいと思っています」
日野レッドドルフィンズ
中鹿駿キャプテン
「今日はありがとうございました。自分たちで自分たちの首を絞めてしまったという試合でした。ペナルティを重ねてしまったり、継続してアタックができなかったり、自分たち自身によって『自分たちのラグビーができない』という形にしてしまったので、そこはしっかりと反省しなければならないと考えています。ただ、モールなど良いプレーはいくつかありましたので、その良い部分はしっかり伸ばしつつ、反省すべき点は反省して、次節の試合に向かって進んでいきたいと思います」
──「自分たちのラグビーができなかった」という試合内容が続いていますが、そこを打破するために何が必要だと考えていますか。
「最後に円陣を組んだとき、やはり一人ひとりの責任が果たせていない状況だと話しました。自分がやろうとしているプレーに対して100%の仕事をするにはどうしたら良いのか、日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)のラグビーの理解度はどうなんだ、というところを話しました。そこがまだ足りていないと痛感したので、1週間のオフを挟んで練習を再開したときには自分たちのラグビーをまず理解して、一つひとつのプレーに対して自分たちの責任を果たそう、と話しました。もちろんみんな負けたくて試合をやっているわけではないし、精一杯練習もやっているし、努力をしている。そこは分かるのですが、努力のベクトルを1回変えて、先を見過ぎるのではなく基礎の部分をもう一度見直すべきではないか、と考えています。下を向いている選手はいないと思っていますし、ひたむきに努力を重ねられる選手ばかりなので、これが改善につながればいいと思っています」
豊田自動織機シャトルズ愛知
豊田自動織機シャトルズ愛知の徳野洋一ヘッドコーチ(左)、鄭兆毅 共同キャプテン豊田自動織機シャトルズ愛知
徳野洋一ヘッドコーチ
「本日は本当に素晴らしい天候の下、日野RDさんのホストゲームの素晴らしい雰囲気でたくさんの観客・サポーターの皆さまにも応援いただく中でプレーできたことをまずはチームを代表して御礼申し上げます。ありがとうございます。
試合としましても、10トライを取れたということと、ペナルティもおそらく6つだった(公式記録では7つ)かと思いますが、ディシプリン(規律)という部分でもコントロールできたということで、非常に満足できる内容だったかな、と思っています。特に前節、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)に敗れてから、われわれ自身が本当にたくさんのことを学んだ中で、今日の試合に向けて準備してきたことが少し改善につながったこともチームにとっては非常にポジティブな内容だったと思っています。本日はありがとうございました」
──ワラビーズ(オーストラリア代表)で30キャップを持つノア・ロレシオ選手が初出場となりましたが、プレーの評価をお願いします。
「彼はトレーニングマッチも含めてここまでゲームに出たことはなかったのですが、オフフィールドも含めてチームメートから認められるような姿勢やパフォーマンスを示してくれたことで予定どおり今日は先発のチャンスを彼に与えました。非常にスピーディーにボールを動かすこともできますし、遅くもプレーできる。復帰戦ではありますがワールドクラスの経験が垣間見えた内容だったと思います。チームがやるべきことを理解する姿勢をグラウンド内外で見せてくれていて、それはチームのお手本になりますし、アグレッシブにチャレンジする姿はチーム全体のレベルを引き上げられるほどの影響を与えてくれています」
豊田自動織機シャトルズ愛知
鄭兆毅 共同キャプテン
「今日、素晴らしい天候の中で試合をすることができ、感謝しています。前節の釜石SW戦の反省があって、そこで学んだことをしっかりと修正し、チームの23人全員がやるべきことをしっかりと遂行できたことで良い結果を得ることができました。次の試合に向けても非常に良い経験になった試合だったと思います。ありがとうございました」
──中野豪共同キャプテンが不在の中、今季ベストのパフォーマンスを見せた試合だったと思います。前節の釜石SW戦での敗戦をどう生かしましたか。
「釜石SW戦でも一人ひとりがハードワークできていましたが、チームとして戦うということを学んだ試合でした。その教訓から今日はフィールドの15人がしっかりコネクトし、常に話をし続けてコミュニケーションを取ることができました。ノア・ロレシオ選手もコミュニケーション能力がとても高いし、リーダーたちと80分間ずっと声を掛け合いながら、相手にペースを握られたときもテンポをうまくコントロールしてくれて、チームとしてしっかりとトライにつなげるプレーをできたと思います。(中野)豪さんからはいろいろな助言もしていただいているので、彼がチームから離れている感覚はありませんが、共同キャプテンとしてやるべきことを遂行してチームを引っ張り、次も勝ちます」



























