2026.03.16NTTリーグワン2025-26 D2 第8節レポート(九州KV 48-50 花園L)

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第8節
2026年3月14日(土)14:30 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス 48-50 花園近鉄ライナーズ

3分から始まる物語。花園から日本代表を狙う男の第一歩

アーリーエントリーでリーグワン初出場、花園近鉄ライナーズの薄田周希(うすだしゅうき)選手

得点差はわずかに2。それでいてスコアは両チーム合わせて98点。ラグビーの醍醐味が凝縮された一戦、そんな“熱狂の博多の森”で薄田周希は花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)での一歩目を踏み出した。

東海大学の卒業を今春に控えた中でのメンバー入りにも薄田は冷静だった。

「メンバーに選ばれてうれしい気持ちもありましたが、チームに所属している以上、いつでも試合に出られる準備をしておかないとダメだと思っていました。自分がチームの勝利にどうやったら貢献できるのかというところにすぐに気持ちを切り替えて、そういうマインドを作っていました」

出場時間は3分ほど。「ファーストキャップの試合を勝利で終えられたのはうれしい」と話すが、胸の内にはそれ以上のある思いがあった。

「やっぱりああいう場面で(早い時間に)呼ばれないというのは自分がまだ信頼を勝ち取れていないのかなと思います。ああいう苦しい場面で試合に出て流れを変えられるような選手になれるように、これからの練習や試合で頑張っていきたい」

大学生ではなく花園Lの一員であることへの自覚がその言葉には表れていた。だからこそ、視線は遠くではなくすぐ先を捉えている。

「次の日本製鉄釜石シーウェイブス戦の勝利に自分が貢献できるようになりたい。今日は3分間しか出場できなかったので次はもっと長いプレータイムをもらえるような努力をしていきたい」

チームのホストエリアである大阪府出身の薄田にとって花園Lは「小さいころから試合を観に行ったことがある」という身近な存在だ。「そういったチームで自分がプレーできるのはうれしい」と話し、「派手なプレーはできないですけど泥臭く、体を張って体現できるところが自分の一番チームに貢献できる部分」とチームへの献身を誓う。

そんな薄田には大きな夢もある。

「大きな夢の一つとして、花園Lから日本代表に入ってチームに恩返ししたいと思っています」

3分間の出場から始まった地元のヒーロー候補の物語は小さな目標を積み重ね、大きな夢へと向かっていく。

(杉山文宣)

九州電力キューデンヴォルテクス

九州電力キューデンヴォルテクスの今村友基ヘッドコーチ(左)、山添圭祐ゲームキャプテン

九州電力キューデンヴォルテクス
今村友基ヘッドコーチ

「本日は開催にあたり、ご尽力いただいた関係者の皆さまに厚く御礼を申し上げます。本当に素晴らしい環境の中で花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)さんと素晴らしいラグビーができたことに感謝しています。本当に80分間、選手たちが体を張り続けてくれました。今週のテーマが『コネクトする』というところでしたが、80分間コネクトし続けてくれたことを誇りに思いますし、そこは試合での収穫でした。ただ、結果として勝ち切れなかったというところはチームとして深く受け止めて、もう一度、映像を見返してどこを改善しなければいけないのかをしっかりと明確にして、次は勝てるチームというものをみんなで作っていきたいと思います」

──アタックについてはある程度、やりたいことができたと思いますが、ディフェンスは課題が残ったということになると思いますがいかがでしょうか。

「アタックではプレシーズンからずっと準備してきたボールを動かすラグビーというものができましたし、そこに関してはチームとして成長できている感覚はあります。

ディフェンスでも点は取られてしまいましたが、自分たちが悪かったかというと、めちゃくちゃ悪くてやられてしまったというよりは花園Lさんにスペースにボールを動かされたというところで、間を走られたというよりは一番外を走られていたのでそのあたりの修正は今後、やっていかなければいけないと思います。ただ、ディフェンスでもブレイクダウンでもファイトできていましたし、コリジョンの場面でも一人ひとりが体を張ったプレーをしていたのでポジティブにしっかり学んでいきたいと思います」

九州電力キューデンヴォルテクス
山添圭祐ゲームキャプテン

「本日の試合開催にあたってご尽力いただいたすべての皆さま、この場を借りて御礼を申し上げます。ありがとうございます。

今村(友基)ヘッドコーチも話したように今日はグラウンドの中で選手同士のコネクトがすごく強くて、今までよりも一体感のあるゲームができたかなと思っています。ただ、ディビジョン2のトップ3に入ろうとしている中で、その壁はすごく感じましたし、アタックとディフェンスの両方でもう一段階レベルアップしていかないといけないと受け止めています。ここから映像を見返して、かつグラウンド内外でコネクトし続けて、修正して成長していけたらいいなと思っています」

──お互いにボールを動かすラグビーを展開し、精神的にも肉体的にも非常にタフなゲームだったと思います。そんな中でもチームとしてそのスタイルを80分間表現できたことへの手ごたえを教えてください。

「プレシーズンからずっとボールを動かすことを意識して取り組んできました。そして、フィールドの中でも選手同士が楽しんでラグビーができているイメージが今日はありました。そこに関してはすごく手ごたえも感じていますし、次の試合にも絶対につながるものだと思っています」

花園近鉄ライナーズ

花園近鉄ライナーズの太田春樹監督(左)、ピーター・ウマガ=ジェンセン共同キャプテン

花園近鉄ライナーズ
太田春樹監督

「本日はお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。総括としましては九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)さんにアタックで(勢いに)乗られるシーンが多く、失点をたくさんしてしまいました。前半、(立ち上がりから連続で)3トライを取られてしまいましたが、そこから追い上げることができたのはポジティブな点ではありました。ただ、まだまだ改善点が多いので修正して次節に臨みたいと思います。

本日、金子(惠一)が50キャップ、(薄田)周希がファーストキャップをそれぞれ獲得できたことについて、チームとして勝利という形でお祝いできたことは非常に良かったです。次の試合に向けていろいろと改善していきたいと思います」

──前節、今季初の敗戦を喫したあとのゲームでした。この試合に向けてチームにはどのような働きかけをしてきたのでしょうか。

「前節の負けを踏まえて、まずはエリアのコントロールですね。そこについて反省しました。あとはディフェンスですね。ラインスピードが非常に悪く、受け身のディフェンスをしてしまったので修正して臨みました。ラインスピードの部分では前に出ることができていましたが、仕留めるところ、コンタクトのところで受けに回ったシーンがたくさんありました。その点についてはしっかり修正したいと思います」

花園近鉄ライナーズ
ピーター・ウマガ=ジェンセン共同キャプテン

「良いアタッキングラグビーがお見せできたのではないでしょうか。双方の得点を足すとおよそ100点になります。双方のアタックコーチはハッピーなのではないでしょうか。逆にディフェンスコーチは双方ともお怒りでしょうけど(笑)。

九州KVさんはスキルと勢いをもってアタックをしてきましたし、チャンスを作ればそこで(スコアを)取り切っていました。われわれもスキルを見せることはできたと思いますが、ディフェンスが良くありませんでした。ただ、それは九州KVさんも同じだったと思いますが、最終的には勝つことができてよかったです。特に50キャップの金子とファーストキャップの薄田のために勝つことができてよかったです」

──お互いがボールを動かすラグビーを展開したことで精神的にも肉体的にもかなりタフなゲームでした。試合が終わった瞬間の心境を教えてください。

「疲れました(苦笑)。特に残り2分は体がボロボロという感じでした。両チームともアタッキングラグビーを展開し、九州KVさんもワイドからワイドに動かすアタックをやってきましたし、われわれも同様にやっています。そういったゲームはやはりフィジカル的に負荷が掛かりますし、スピードも速いので疲れますね(苦笑)。ディフェンスはまずかったですが、アタックについては楽しいラグビーをお見せできたのではないでしょうか」

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