NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第8節
2026年3月15日(日)13:00 釜石鵜住居復興スタジアム (岩手県)
日本製鉄釜石シーウェイブス 24-28 レッドハリケーンズ大阪
それぞれの道を歩みながら。先輩と後輩、原点の地で再会した二人の交差した思い
日本製鉄釜石シーウェイブスの阿部竜二選手高校時代、ともにラグビーをしていた二人が、再び同じグラウンドに立った。
この日、日本製鉄釜石シーウェイブスの阿部竜二と、レッドハリケーンズ大阪の土橋郁矢が、釜石鵜住居復興スタジアムで顔を合わせた。二人は岩手県立黒沢尻工業高等学校の先輩後輩の間柄。阿部が3年生、土橋が2年生のころ、ともにチームを引っ張る立場としてプレーしていた。
レッドハリケーンズ大阪の土橋郁矢選手「常に強気で、プレーでもチームを引っ張る力がある選手でした」
阿部は当時をそう振り返る。スタンドオフとしてゲームを動かす後輩の姿に、頼もしさを感じていたという。ただ、リーグワンの舞台で再び顔を合わせたいま、グラウンドに立てば関係は別だ。
「試合中は敵としか思っていないので、特に意識はしませんでした」
そう語る阿部だが、本音も少しだけのぞかせる。
「でも、できれば直接マッチアップはしたくなかったですね。後輩とやるのは、ちょっと不思議な気持ちだったので」
この日、ウイングの阿部はインパクトプレーヤーとしてリザーブから出場。土橋も同じくウイングでの出場だったため、対面でマッチアップする可能性もあったが、投入されたサイドは逆だった。グラウンド上では対角に位置する最も遠いポジション。二人が同時にピッチに立った時間はわずか14分間だった。
それでも、同じ舞台でプレーすることに意味があった。
土橋にとって、この試合はもう一つ特別な理由があった。父方の実家があるのは釜石市鵜住居町。震災前はよく遊びに来ていたという場所で、今回初めてプレーすることになった。
「友達や家族も見に来てくれていたので、その人たちのためにも頑張ろうと思っていました」
その舞台で、かつての先輩と対戦する。
「竜二さんはすごく真面目で、一生懸命な選手。高校のとき、学ぶことが多かったです」
互いに尊敬し合う存在の二人。試合前には短く言葉を交わした。
「グラウンドで会って、握手して『よろしく』と。それだけです」と阿部。試合後も、会話は多くなかった。「少しだけ二人で話しましたけど、内容は秘密です」と続けた。
同じ岩手でラグビーを始め、同じ高校でプレーし、そしてリーグワンの舞台で再会する。それぞれの役割、思いが再び交差した時間だった。
グラウンドでは敵同士。それでも、その関係の奥には、同じ時間を過ごした先輩と後輩の記憶が確かに残っている。
「岩手、釜石は昔からラグビーが盛んな街ですけど、最近は競技人口が減っている現状もあります。僕たちが活躍して、岩手からでもプロで活躍できるという姿を見せたいです」(土橋)
互いに別々の道を歩みながらも、岩手からリーグワンの舞台に立つ選手として。同じ誇りを胸に、二人はそれぞれのチームで戦い続けている。
(髙橋拓磨)
日本製鉄釜石シーウェイブス
日本製鉄釜石シーウェイブスのトウタイ・ケフ ヘッドコーチ(左)、河野良太キャプテン日本製鉄釜石シーウェイブス
トウタイ・ケフ ヘッドコーチ
「非常に残念な結果となりました。私たちは勝てる試合だと思って臨みましたが、結果として相手のほうが勝利にふさわしいパフォーマンスだったと思います。ディフェンスのエナジーやラック周りの激しさ、プレーへの情熱という点でレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)のほうが上回っていました。自分たちはエラーも多く、スクラムも安定せず、試合の流れをつかむことができませんでした」
──前節の試合後に「やるべきことをやり切ればどのチームにも勝てる」と話していましたが、今日の遂行力についてはどう感じていますか。
「今日は遂行力という意味では良くなかったと思います。前半の早い段階で5つのエラーがありました。一方でRH大阪は同じ時間帯で一つしかありませんでした。出だしも良くなかったですし、ペナルティも多過ぎました。その要因については、RH大阪はラインスピードが非常に速く、ディフェンスもアグレッシブでした。そのプレッシャーを受けた部分も影響があったと思います」
日本製鉄釜石シーウェイブス
河野良太キャプテン
「本当に悔しい結果です。前回のRH大阪戦の反省を踏まえて修正しようと臨んだ試合でしたが、結果として同じようなミスをしてしまったという印象です。相手のほうがエナジーや気迫で上回っていたと思いますし、セットピースやディシプリンの部分でも課題が出ました」
──内容の良い試合のあとに、同じようなパフォーマンスが出せない原因はどこにあると感じていますか。
「毎試合、一貫性のあるプレーをすることが勝利につながると思っています。前回は良い試合ができましたが、今日はそれを継続できませんでした。技術面だけでなく、マインドセットやメンタルの部分も含めて改善していく必要があると思います」
レッドハリケーンズ大阪
レッドハリケーンズ大阪の松川功ヘッドコーチ(左)、島田久満キャプテンレッドハリケーンズ大阪
松川功ヘッドコーチ
「まず試合開催にあたり、多くの方にご協力いただき、また釜石の皆さまをはじめ、多くの方にスタジアムに足を運んでいただいた中で試合ができたことを感謝しています。
昨年もこの釜石鵜住居復興スタジアムで試合をさせていただきましたが、非常に独特な雰囲気の中でプレーすることができました。スタジアムに入る際にも多くの方が手を振ってくださり、釜石の皆さまに応援されているという気持ちを感じながらプレーすることができました。日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)さんは前回の花園近鉄ライナーズ戦でも(勝利して)非常に勢いのあるチームだと感じていました。その勢いをどれだけ抑えられるか、どういう戦い方ができるかがポイントだったと思います。しかし、前半の立ち上がり、そして、後半の立ち上がりでスコアされてしまうなど、釜石SWさんの勢いを完全に止めることはできなかったとも感じています。
それでも第2ラウンド(シーズン後半戦)のスタートを勝利で切ることができ、私たちにとって大きな1勝だと思います。これからさらに成長し、強くなっていきたいと思います」
──これで4連勝となりました。今年に入ってからは接戦が続いていますが、勝ち切れている要因をどこに感じていますか。
「接戦の中で勝ち切れていることは非常にうれしく思います。特に試合の最後の20分で粘り強く戦えていることは、チームのコンセプトにもつながっています。私たちは"あきらめの悪いチーム"でありたいと思っています。最近勝つことができている要因としては、試合に出ていないノンメンバーが練習の中で試合に出るメンバーに対して強いプレッシャーを掛けてくれていることだと思います。練習の強度や情熱が非常に高く、お互いにぶつかり合うようなトレーニングができています。その積み重ねが、80分間戦い続ける力につながっているのではないかと思います」
レッドハリケーンズ大阪
島田久満キャプテン
「まずは試合開催にあたり、ご尽力いただいた皆さまに感謝申し上げます。また素晴らしいスタジアム、そして、温かい雰囲気の中で試合ができたことをうれしく思います。
試合としては、前半の入りで少し受けてしまった部分はありましたが、その後は自分たちのラグビーを展開することができました。後半も最後まで戦い抜くことができたことは一つの収穫だったと思います。
ビジターの環境で難しい展開もありましたが、チーム全体でしっかりつながり、コミュニケーションを取りながらラグビーができたことがこの結果につながったと思います。ここからもRH大阪らしく、ひたむきに一戦一戦を戦っていきたいと思います」
──連勝が続いている中で、キャプテンとして、チームの変化や成長を感じる部分はどこでしょうか。
「どんな状況でも選手一人ひとりがブレることなく、チームのために体を張り続けているところだと思います。またリーダーグループの選手たちもミーティングの中でしっかり意見を出し、チームのために貢献してくれています。ヘッドコーチも話していましたが、いまは本当に練習の質が高く、試合に出ているメンバーだけでなくチーム全体で良い準備ができています。それが結果につながっていると感じています」



























