NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第9節
2026年3月27日(金)19:00 ヨドコウ桜スタジアム (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 24-31 九州電力キューデンヴォルテクス
勝利への執念を体現したフッカー。2トライで連敗に終止符
試合終了のホイッスルと同時に、九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)の選手たちが歓喜の叫びを上げた。グラウンドに立っている選手だけではなく、ベンチからも大きな声が響き、中には笛と同時にベンチ前からグラウンドにいる選手の元へと駆け出していった選手たちもいた。
2025年の最後にあった第3節で勝利して以降、26年に入ってからはずっと黒星が続いていた九州KV。年明け1試合目だった第4節は2点差、第5節は4点差、前節の第8節は2点差で敗戦。力がないわけではないのに、ほんのわずかな一歩が届かず、勝ち切れない。「なんで勝てないのだろう、と思う」(古城隼人キャプテン)ような苦しい時間が長かったが、チームでつながり続ける“コネクト”はブレずに大事にしてきた。今節ではそれを発揮して、最後の厳しい場面でも7点差を守り抜いた。ようやく勝ちをつかんだその喜びは、大きかった。
ホイッスルの瞬間、ベンチで「安堵した気持ちもあったけれど、それを上回る喜びを感じた」と振り返ったのは、先発出場していたフッカーの村川浩喜だ。前半、モールから2本のトライを決めて勝利に貢献。今節のプレーヤー・オブ・ザ・マッチを獲得した。
村川は昨シーズン、ヤンマースタジアム長居で行われた第5節での対戦でも、80分を過ぎたあとに勝利をつかむ執念のトライを決めてプレーヤー・オブ・ザ・マッチを獲得している。記念品として授与されるキャップに記載される文字は、日付以外が同じ。「家にこれしかない」と笑っていた。結果論かもしれないが、このカードに強いということになる。とはいえ、自身が活躍できる自信をもっていたというわけではないという。「前回はリザーブで出て、たまたま抜けてトライしただけだったので、今回は特に(活躍を)意識はしていなかった。チームで勝つということだけ」を考えて、試合に臨んだと話す。
5連敗から脱したい九州KVは、この試合に懸ける思いも強かった。村川は、「どうしても勝ちが欲しくて、この試合に懸ける思いは全員に強くあった」と振り返る。九州KVらしい粘り強いディフェンスでようやくつかんだこの勝利を「起爆剤として、ここから勢いに乗ってシーズンの最後まで戦っていきたい」。残されたシーズンの一つひとつの試合をこの試合と同じような思いで臨み、「総力戦で」戦っていく。
(前田カオリ)
レッドハリケーンズ大阪
レッドハリケーンズ大阪の松川功ヘッドコーチ(左)、山口泰輝バイスキャプテンレッドハリケーンズ大阪
松川功ヘッドコーチ
「まず、開催にあたりまして、ご尽力いただいた協会の皆さま、レフリーの皆さま、ありがとうございました。また、金曜の夜にも関わらず3,600人を超える観客数で、多くの大阪の方々に来ていただけたことをうれしく思っています。
試合は立ち上がりが厳しく、後半には粘りがあったものの、最後に7点届かない結果になりました。後半に盛り返すことはできましたが、やはり試合の入りのところで失点し過ぎたことが、最後に届かなかった原因になりました。もう一度このゲームをしっかり振り返り、われわれが次にしなければいけないことにしっかりとフォーカスして1週間取り組み、次の試合に臨みます。ありがとうございます」
──後半に盛り返せた要因はどういうところにありましたか。
「はっきり言えば、前半が良くありませんでした。ただ、後半は21点を取り返さなければいけない状況であることが明確になっていたので、それに対してみんなでしっかり取り組み、自分たちのやるべきことを一つひとつ遂行することができたところは良かったかな、と。後半の途中までは(一時退出により)14人で戦うことも確定していたので、一人ひとりが冷静に捉え、しっかりと15人ぶんの働きをしてくれました。だからこそ、最後の20分につなげられたのだと感じています」
レッドハリケーンズ大阪
山口泰輝バイスキャプテン
「この試合の開催にあたり、ご尽力いただいた協会の皆さま、関係者の皆さま、ありがとうございました。
今日の試合は、前半はペナルティで自分たちの首を絞めてしまい、九州電力キューデンヴォルテクスさんにチャンスを与える機会が多くなってしまいました。後半に入る前にロッカーで、『21点のビハインドから3トライ・3ゴールでまず同点にもっていこう』と、やるべきことを明確にすることができていました。ですので、後半は改善できたと思います。後半の残り20分では、自分たちが強みとしている"走り勝つ"というところも発揮できたとは思いますが、7点足りなかったことは今後への反省点です。まだ試合が残っていますし、来週は花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)さんとの試合ですので、しっかり準備していきます。ありがとうございます」
──次節は東大阪市花園ラグビー場での"大阪ダービー"です。次節に向けた意気込みを聞かせてください。
「前回の対戦では、僕たちは後半に追い上げることができましたが、あと一歩のところで届きませんでした。相手は現在首位を走っている花園Lさんですので、僕たちはチャレンジャーとしてアグレッシブかつハードに体を当て続けていかなければなりません。それを80分続けて体現できるようにしていきたいです。また、今日の試合のように、相手にチャンスを与えてしまうのは自分たちのペナルティや不用意なプレーですが、そういう部分はマインドセットでも変えることができる部分だと思います。練習からしっかりコミュニケーションを取り、良い準備をしていくだけです」
九州電力キューデンヴォルテクス
九州電力キューデンヴォルテクスの今村友基ヘッドコーチ(左)、古城隼人キャプテン九州電力キューデンヴォルテクス
今村友基ヘッドコーチ
「本日の試合運営や設営など、ご尽力いただいた関係者の皆さまに御礼申し上げます。
今日の試合は、まずこのチームには勝利が必要だったと思うので、勝てたことが一番です。毎年、レッドハリケーンズ大阪さんとは本当に苦しい試合をしています。前半は、イエローカードを2枚出しながらも、アタックがとても機能し、良いラグビーができていました。後半になると、規律の部分もそうですし、アタックでも少し無理なプレーになってしまうことがありました。プレッシャーの掛かる状況でもいつもどおり一貫性をもって自分たちのやるべきことを遂行する、ということが足りなかったと思います。ただ、ポジティブに反省できます。次に向けて、良い準備をしていきます。ありがとうございました」
──試合の序盤には13人で戦う時間がありましたが、どのように対応されましたか。
「ラインアウトではモールを使うなど、できるだけ時間を使いながら進めました。また、スクラムのディフェンスはフォワードを7人にするなどいろいろと話していましたが、結局は中にいる選手たちがしっかり良いコミュニケーションを取ってくれていたと思います。13人で戦う想定はしていませんでしたが、ゲームの中での苦しい状況を想定しながら練習をしてきました。選手たちは、そういった状況でも落ち着いてコミュニケーションを取れるようになってきたなと感じました。練習では、チャージャー(ノンメンバー組)がゲーム以上のプレッシャーを掛けてくれています。そのゲーム前の練習で選手がプレッシャーを体験し、そこからまた修正し、ゲームに臨むという良い流れが作れています。それが今日の勝利にもつながりました」
九州電力キューデンヴォルテクス
古城隼人キャプテン
「勝利になかなか手が届かない試合が多くありましたが、今回勝つことができました。今村ヘッドコーチも話したとおり、勝って反省できることはすごく良いことであると感じています。ただ、勝つことはできたけれど、80分をとおして見たときの自分たちのクオリティーがどうなのかというところは、しっかり反省していかなければいけません。特に後半は、自分たちのミスやペナルティが続き、自分たちのペースでラグビーができないシーンがありました。そこはしっかり反省すべきだと感じています」
──年明けからは、接戦を勝ち切れない試合が長く続いていました。苦しい期間、どのようなことを大切にしていましたか。
「接戦で勝ち切ることができなかったことについて、チームの一人ひとりが、『なんで勝てないのだろう』と思うこともありました。けれど、チームで大事にしている"コネクト"を切らさないというところが、シーズンを戦い抜く上で一番大事だと自分は思っています。そのつながりを切らさず、自分たちで反省して見つめ直し、メンバー同士でしっかりコミュニケーションを取って練習を続けられてきたことが、自分たちの強さ、チームの結束の強さにつながっていると感じています。試合は続いていくので、より一層自分たちのコネクションを強くし、今後の試合に挑んでいきます」



























