NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第9節
2026年3月28日(土)12:00 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ 59-31 日本製鉄釜石シーウェイブス
アフリカーンス語で「パスをして良かった」。長年の信頼関係が生んだ、移籍後初トライ
5,306人の観客が詰めかけた東大阪市花園ラグビー場。その舞台で、南アフリカ生まれの二人が鮮やかな“ホットライン”を開通させた。
立ち上がりから日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)を圧倒した花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)。その中で初先発の機会をつかんだのが、ライノ・ピータースだ。ナンバーエイトに据えた太田春樹監督が「強みはコンタクト」と評する通り、197cm、116kgの巨躯はフィジカルの局面で存在感を放つ。だが、この日の輝きはそれだけにとどまらなかった。
23点をリードして迎えた前半35分、左サイドを駆け上がったマニー・リボックが、相手ディフェンスの間隙を縫う絶妙なオフロードパス。これを受けたピータースは、そのまま豪快にトライゾーンへと突進し、移籍後初トライを叩き込んだ。
マニー・リボック選手からの絶妙なパスを受け、このあとトライまで持っていったピータース選手プレー直後、ピータースの頭を軽くなでたリボックは、母国語のアフリカーンス語で「パスをして良かった」と声を掛けたという。1997年生まれのリボックと1998年生まれのピータース。両者は南アフリカの名門ブルー・ブルズや世代別代表でともにプレーしてきた旧知の仲だ。
「難しいパスでしたが、ライノとのコンビネーションがあったから信じて投げられました」とリボックが語れば、ピータースも「互いのプレースタイルを理解しているからこそ生まれたプレーです」と胸を張る。言葉以上に、長年の信頼関係が一瞬の判断を支えていた。
負傷の影響で第5節以降ピッチから遠ざかっていたピータースにとって、この試合は復帰戦でもあった。リボックは「彼の支配的なタックルがディフェンスの基準を引き上げてくれた」と称賛。ハーフタイムでの入替はコンディションを考慮した措置と指揮官は説明しつつ、「次も活躍してくれる」と期待を込めた。
ラグビー一家は珍しくないが、ピータースの背景は一味違う。兄と姉は南アフリカで名を知られる歌手で「アーティストなんですけど、すごくいいですよ」とリボックも知る存在だ。華やかなステージで観客を魅了する二人とは対照的に、ピータースはグラウンドで泥臭く、そして力強く戦う。そのプレーはこの日、花園に集った観客の心を確かに揺さぶっていた。
(下薗昌記)
花園近鉄ライナーズ
花園近鉄ライナーズの太田春樹監督(左)、ピーター・ウマガ=ジェンセン共同キャプテン花園近鉄ライナーズ
太田春樹監督
「みなさん、こんにちは。試合の中では随所に良いプレーが見られました。セットピースからのトライやスクラムからのトライを奪えたほか、スキル面やカウンターアタック、ディフェンスへの切り替えも良かったと思います。一方で課題としては、ブレイクダウンの一貫性が挙げられます。特に後半開始直後の場面で十分な対応ができませんでした。ただ、試合に勝てたこと、そしてファンの皆さまの前で勝利できたことは非常にうれしく思います」
──前半12分までに3トライを決めるなど、試合の入りから高いエナジーを感じました。直近の試合や九州電力キューデンヴォルテクス戦を踏まえて、この試合に向けてフォーカスした点はありますか。
「チームとしては、この試合を『後半戦のスタート』と位置付けて1週間を過ごしました。シーズン終盤に向けて、もう一度アクセルを踏み、加速していくことをテーマにしています。この試合では特にコリジョンの部分にフォーカスしました。選手の努力とスタッフの働きかけによって、今週は練習からチームに大きな変化が見られました。課題は残っていますが、後半戦に向けてさらに加速し、シーズン終盤に向かっていきたいと考えています」
花園近鉄ライナーズ
ピーター・ウマガ=ジェンセン共同キャプテン
「みなさん、こんにちは。試合の中では良い部分が多く見られました。セットピースやスクラムからトライを奪えたほか、スキル、カウンターアタック、ディフェンスへの切り替えも良かったと思います。
一方で、ブレイクダウンの一貫性には課題が残りました。特に後半開始直後の場面で十分な対応ができなかった点は反省すべきところです。ただ、勝利できたこと、そしてファンの前で勝てたことは非常にうれしく思います」
──本日の試合でパトリック・タファ選手がリーグワン通算50キャップを達成しましたが、チームメートとしてどのように感じていますか。
「タファは、私がチームに加入した際に温かく迎えてくれた選手の一人です。昨季はキャプテンも務めており、日本や日本のラグビーについて多くのことを教えてくれました。非常に良い雰囲気とエナジーをもち、静かにチームをリードする、行動で示すタイプの選手です。今季も試合を重ねるごとに成長しており、50キャップ達成を誇りに思います。今後さらにキャップ数を積み重ねていくことを楽しみにしています」
日本製鉄釜石シーウェイブス
日本製鉄釜石シーウェイブスのトウタイ・ケフ ヘッドコーチ(右)、河野良太キャプテン日本製鉄釜石シーウェイブス
トウタイ・ケフ ヘッドコーチ
「残念な結果にはなりましたが、最後まであきらめずに戦えた点は良かったと思いますし、全力は出せていたと感じています。ただ、前半の立ち上がりで何度かトライを許してしまい、そこから流れを引き戻すことが難しくなってしまいました」
──ホストゲームでは花園Lに勝利していますが、今日はどのような点に勝機を見出そうとしていたのでしょうか。また、できたこととできなかったことを教えてください。
「ライナーズさんが非常に素晴らしいチームであることは理解していましたし、一度流れに乗ると止めるのが難しいチームだと感じています。その中で勝機として狙っていたのは、セットピースを起点に次の局面へつなげ、ボールをスローにして相手の攻撃のテンポを落とすことでした。相手が勢いに乗ったり、試合がカオスな展開になったりすると、どうしてもライナーズさんに有利になってしまいます。また、体の大きいボールキャリアーもそろっているため、止めるのは非常に難しかったです。結果として、狙っていた試合のコントロールがうまくできなかった点が課題として残りました」
日本製鉄釜石シーウェイブス
河野良太キャプテン
「本日はありがとうございました。試合結果は非常に残念でしたが、後半は前半の課題をしっかり修正し、内容としてはしっかり戦えた点は、今後につながる部分だと思います。一方で、前半の立ち上がりでは自分たちのミスもあり、ライナーズさんの展開力に押されてしまいました。そういった課題をしっかり修正し、次の試合に向けてチームとしてさらに成長していきたいと思います」



























