NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第10節
2026年4月4日(土)12:00 いわぎんスタジアム (岩手県)
日本製鉄釜石シーウェイブス 27-52 豊田自動織機シャトルズ愛知
その時間と背中をなぞるように。これまでも、これからも続く父との二人三脚
「代表経験はないですし、大学の推薦も一つもなかった。それでもいま、リーグワンでプレーできているのは、父のおかげだと思います」
華やかな経歴とは無縁の道のりだった。それでも吉川遼はいま、プロとしてグラウンドに立つ。その歩みを支え続けてきたのが、父の存在だ。
伊勢丹ラグビー部の元選手でありながら、父の吉川淳二がラグビーを勧めることはなかった。小学生時代はバスケットボールに打ち込んでいた吉川だが、「中学にたまたまラグビー部があったから」という理由で転向。ただの偶然か。あるいは遺伝子の成せる業か。何かに導かれるように競技を始め、その歩みはやがて、父とともに積み重ねてきた時間へと収束していく。
中学生でラグビーを始めてからは、父と過ごす時間が日常の一部となる。父の解説を聞きながらのスーパーラグビーのテレビ観戦。仕事終わりに合流しジムでのトレーニング、そしてランニング。その毎日が、確かな土台を築いていった。
「基礎のところはしっかり父が教えてくれたと思います」
その歩みを誰よりも近くで見てきた父は、吉川が当時トップリーグの日野レッドドルフィンズ入りを果たした年、早期退職という決断を下す。息子のプレーを見届けたいがためだ。以降、吉川がメンバー入りしたときは、欠かさずスタジアムに足を運び続け、その姿は常にスタンドにある。
多くを語るタイプではない。それでも、トップリーグ入りが決まったとき、初めて握手を求められた。その一瞬に込められた思いは、いまも心に残っている。
今季、吉川は前十字靭帯断裂という大けがから復帰。長いリハビリ期間を経て、再びグラウンドへと戻ってきた。
「リハビリはメンタル的にもすごくキツかったけど、だからこそプレーする喜びやノンメンバーがチームを助けていることの重要性を強く実感しました」
その言葉の裏には、積み重ねてきた時間と、それを支えてきた存在への感謝がある。そして、彼は原点へと立ち返る。
吉川遼のラグビーの原風景。
それは自宅の一室で、クッションを抱えて構える父の姿だ。
何度もその胸元に体をぶつけた。ラグビーの基礎は、特別な環境ではなく、日常の中で育まれてきたものだった。
いまグラウンドで見せる一つひとつのプレー。その根底には、父と積み重ねてきた時間がある。スタンドから見守る視線を背に、吉川遼は走り続ける。その現在は、過去から確かにつながっている。
(髙橋拓磨)
日本製鉄釜石シーウェイブス
日本製鉄釜石シーウェイブスのトウタイ・ケフ ヘッドコーチ(右)、河野良太キャプテン日本製鉄釜石シーウェイブス
トウタイ・ケフ ヘッドコーチ
「ご覧のとおり、残念な結果となりました。前半は選手全員がよく頑張ってくれたと思います。ただ、豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)さんのモメンタム(勢い)が出てきて、フィジカルの強いボールキャリアーが前に出てくる状況になると、止めるのは非常に難しくなりました。結果として、S愛知さんが勝利に相応しい試合をしたと感じています」
──シーズン序盤から3月7日の第7節までは一貫性のあるディフェンスができていましたが、直近は失点が増えています。この要因をどう考えていますか。
「一貫性については、さまざまな要因があると考えています。ディフェンスが良くないのはそのとおりです。今日は前半を見る限り、決して悪くなかったと思いますが、後半に簡単なトライを許してしまった点、ターンオーバーのところが課題です。また、相手の強いキャリーやプレッシャーも影響しています。この1カ月、うまくいかない試合が続いているのは事実ですが、それを改善するために取り組みを続けています。シーズンの終盤は、開幕時のような良い状態に戻していい形で終えたいと思っています」
日本製鉄釜石シーウェイブス
河野良太キャプテン
「前半は風下という状況で、チームとしては我慢して戦うことを共有して試合に入りました。前半はそのとおり我慢して終えることができたと思います。しかし後半、風上という状況にもかかわらず、自分たちのエラーが続き、相手の強いボールキャリーに対して受けてしまいました。そこから失点が重なってしまったと思います。こうした相手に対しても、しっかりとしたディフェンスができるように、次の試合に向けて修正していく必要があります」
──シーズン序盤から3月7日の第7節までは一貫性のあるディフェンスができていましたが、直近は失点が増えています。この要因をどう考えていますか。
「ディフェンスの観点では、タックル成功率の低下が一つの要因だと思っています。シーズン序盤はタックルの精度が高かったですが、ここ数試合はそこが落ちています。もちろんシステムや相手への対応も重要ですが、まずは個々のタックル成功率を上げることが、ディフェンス全体の改善につながると考えています」
豊田自動織機シャトルズ愛知
豊田自動織機シャトルズ愛知の徳野洋一ヘッドコーチ(右)、鄭兆毅 共同キャプテン豊田自動織機シャトルズ愛知
徳野洋一ヘッドコーチ
「本日は風の強いコンディションの中、多くのファンの皆さまにお越しいただき、その中で試合ができたことに感謝しています。試合としては、勝ち点5を獲得できたことが非常に大きく、われわれが描いていた結果を得られたことをうれしく思います。前半は風上に立ちながらも、なかなかテリトリーを取れずスコアにもつながらない苦しい展開でしたが、後半にしっかりリカバリーすることができました。ハーフタイムでのリーダー陣の働き、そして、それに応えた選手たちの実行力は素晴らしかったと思います。選手たちの努力を評価したいです」
──うまくいかなかった前半から、スコアを重ねた後半でしたが、グラウンドでの変化をどのように感じていますか。
「強風、そして風上に立つ中、前半はテリトリーの取り方について、選手間で少し迷いがあったと感じています。蹴るべき場面でボールを動かそうとするなど、意思統一が十分ではありませんでした。一方で後半は、風下という状況もあり『ボールを保持して動かすしかない』という判断が明確になり、選手全員が同じイメージを共有できていました。その点が前半と後半の大きな違いだったと思います」
豊田自動織機シャトルズ愛知
鄭兆毅 共同キャプテン
「本日は多くのファンの皆さまに応援いただき、ありがとうございました。試合に関しては、前半は風の影響もあり思うようにスコアできず苦しい時間帯が続きましたが、後半に修正して良い形で巻き返すことができたと思います。今後に向けては、前半の入りの部分が課題だと感じているので、そこをしっかり修正していきたいと思います」
──強風の中で、グラウンド上ではどのような点を意識してプレーしていましたか。
「前半は風上だったこともあり、エリアを取ることを意識していましたが、相手のプレッシャーもあり、難しい選択をしてしまった場面もありました。後半は風下という状況の中で、しっかりボールを保持して動かすことを意識し、自分たちのスタイルでプレーできたと思います」



























