2026.05.04NTTリーグワン2025-26 D2 第13節レポート(日野RD 35-22 釜石SW)

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第13節
2026年5月3日(日)12:00 太田市運動公園陸上競技場 (群馬県)
日野レッドドルフィンズ 35-22 日本製鉄釜石シーウェイブス

1年ぶりの出場で示した覚悟。弱気を吹き飛ばすアタッキングマインドが呼び込んだ今季初勝利

日野レッドドルフィンズが今シーズン待望の初勝利。これはまた土肥恵太選手にとっても、大きな勝利となった

日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)が待ち望んでいた今季初勝利をつかんだ。

ノーサイドを告げる笛が鳴った瞬間、土肥恵太は「本当に長かったな…」と、苦しみ、耐え続けた日々を思い出していた。

土肥はこの日、今季初出場にして、スタンドオフとして、チームをコントロールするという重責を担った。昨年4月11日の九州電力キューデンヴォルテクス戦以来、約1年ぶりの出場だった。

「最初は慣れなくて、緊張していると感じましたが、とにかく自分のやるべきことを果たそう、と集中はできていました」

土肥は前半の入りから飛ばした。「チームは『ボールを動かす』ことを掲げて臨んだのですが、まさにそれは自分のプレーの特長そのものだ、と。そこはしっかりイメージし、プランどおりに展開できたと思います」。

土肥はボールを介して仲間と気持ちを通じ合わせ、何度も相手陣内に攻め込んだ。「今季、全然(出場の)声が掛からずナビゲーター(控え組)としてずっとドライバー(主力組)との練習に臨んでいたのですが、『自分がスタンドオフに入れば、もっとボールを動かして良いアタックができるはず』と自分に言い聞かせ、プレーをイメージし続けていました。アンドレ(・プレトリアス バックス)コーチとも明確に直せる部分などはずっと話をしてきました。アンドレコーチも南アフリカ代表の10番として戦ってきた方なので、10番のマインドセットなども聞いて、そこから自分にできることだけを意識して、トレーニングを続けてきました」。

ナビゲーターとして1年以上、チームのために献身を続けてきた土肥。そして、その思いを司令塔としてこの日、プレーに昇華させた。

前半、日野RDは21対7でリードして折り返したが、後半に入ると日本製鉄釜石シーウェイブスの反撃を許し、19分には19対21と2点差まで詰め寄られる。今季ここまでの日野RDは、前半が良くても後半に崩れるパターンが続いてきた。「また、押し切られるのか?」という弱気が頭をもたげる選手もいたかもしれない。しかし、土肥の腹は決まっていた。

「点差を意識してキックなどに逃げていたら、良いアタックはできない。アタッキングマインドは変えずにとにかく『攻めよう』、と。その1点にフォーカスしていました」。

その思いは後半31分に結実する。「左に相手が2枚しかいなくて、『これは勝負したらいける。パスせずに絶対に自分で行く』と決めていました」。

ゴールポスト近くの密集から、土肥自らが切り込んで、最後はトライエリアに飛び込む。土肥のトライでフィニッシュしたこのフェーズは、チーム全員の思いが詰まった、まさに値千金のアタックだった。

「この勝利は本当に価値のある1勝。でも、ここで終わりではない。次節、そして、D2/D3入替戦の厳しい戦いに向けて、この流れを切らさず継続していきたい。入替戦の相手が決まった中でも、もっと自分にできることがあると思っています。今日のようにボールを動かせれば、やっぱり良いアタックもできるし、相手のスキもどこかで突けると思うので、これからも自分にしかできないプレーを見せていきます」

ディビジョン2残留を果たすために。土肥はその献身で、日野RDをさらに前進させていく。

(関谷智紀)

日野レッドドルフィンズ

日野レッドドルフィンズの苑田右二ヘッドコーチ(左)、中鹿駿キャプテン

日野レッドドルフィンズ
苑田右二ヘッドコーチ

「今季は、私たちにとっても、サポーターのみなさんにとっても苦しいものとなりましたが、その中でも選手たちはシーズンをとおして自分を変えよう、チームを変えようと試行錯誤を重ね、努力を続けてきました。その積み重ねが、今日の(レギュラーシーズンの)ホストゲーム最終戦での勝利につながったと感じています。本日の勝利を非常にうれしく思いますし、全員の力でつかみ取った結果だと受け止めています。これまでのチームの努力を誇りに思います」

──D2/D3入替戦に向けて、今日シーズン初勝利を挙げられたことはチームにとってどんな意味がありますか。

「後半に先に2トライを奪われ、21対19まで追い上げられましたが、その局面を乗り越えられたことは、チームにとって非常に大きな経験になったと感じています。注意していたものの、後半開始から10分以内でトライを許し、選手の中には『またか』と感じた者もいたと思います。それでも2点差から再び得点して相手を突き放し、勝ち切ることができました。この経験はチームにとって大きな自信になるはずです。さらに成長した状態で、最終節と(D2/D3)入替戦に臨みたいと思います」

日野レッドドルフィンズ
中鹿駿キャプテン

「本日は(レギュラーシーズンの)ホストゲーム最終戦ということで、多くの日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)のファンの皆さまに応援していただく中で今季初勝利をつかむことができたことを大変うれしく思っています。試合の中で見つかった課題はいくつかありますが、まずはこの勝利をチーム全員で分かち合いたいと考えています。最終節、そしてD2/D3入替戦と試合は続きますので、今日と同様の戦いを継続し、必ず勝利できるよう取り組んでいきます」

──今季は、前半は良くても後半に崩れるパターンが多かったですが、今日はそこを耐えることができました。その要因についてどう考えていますか。

「最終的に勝利することはできましたが、後半の入りは今日もあまり良くありませんでした。ただ、これまでとの違いとして、相手の攻めに対して選手同士の距離が詰まり過ぎることがなく、バランスよくディフェンスのポジションを取ることができていました。また、互いに良い形でフォローし合えていた点も良かったと思います。練習から、各自がやるべき役割を明確に意識してプレーすることに取り組んできましたが、それを試合で遂行できたことがディフェンスで崩れなかった要因だと考えています」

日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブスのトウタイ・ケフ ヘッドコーチ(右)、河野良太キャプテン

日本製鉄釜石シーウェイブス
トウタイ・ケフ ヘッドコーチ

「まず日野RDさんの勝利を称えたいと思います。苦しいシーズンだったと思うのですが、今日の勝利という結果は彼らにふさわしいものだと思います。彼らはわれわれよりもはるかに強い意志をもっており、あと一歩を踏み出そうとする姿勢が感じられました。試合後に選手たちとも話しましたが、今日の試合については『非常に悔しく、恥ずかしい内容だった』という声が多く聞かれました。原因はメンタリティーの部分にあり、ハングリーさが不足していました。私自身も恥ずかしい試合をしてしまったと感じています」

──レギュラーシーズンの最終節、そして、D2/D3入替戦に向けてどうチームを立て直していきますか。

「戦術以前にランやタックルといった局面で相手のほうがよりハードに戦っていたと受け止めています。また、ペナルティは15回ほど取られた一方で、日野RDさんはその半分程度にとどまっており、規律の面で大きな課題があったと考えています。さらに、チャンス自体は作れていたもののターンオーバーが多く、そこからカウンターを受ける展開になっていました。これらの点をしっかり修正し、次戦に臨みたいと思います」

日本製鉄釜石シーウェイブス
河野良太キャプテン

「ヘッドコーチに話していただいたとおりで、特に前半は日野RDさんのほうがハングリーさをもって戦っており、私たちは受けに回る形になってしまいました。前に出てくるディフェンスに対して、自分たちのエラーやペナルティを誘発され、思うようなラグビーができなかった点が今日の課題だと考えています」

──19対21と後半には2点差まで詰め寄りましたが、勝ち切れなかったのは何が要因だったのでしょうか。

「後半は良い形で試合に入ることができ、2トライを奪えました。その流れを維持したかったのですが、簡単なエラーによって得点を取り切れず、逆に相手に流れを渡してしまいました。その結果、自分たちのプレーを勝利に結び付けることができなかったと考えています。現在の成績はシーズン当初の目標には届いていませんが、気持ちを切り替えて、まずはレギュラーシーズンの最終節、そして(D2/D3)入替戦の2試合に勝つことに集中します。来季もディビジョン2の舞台で戦えるよう、そこにフォーカスしていきます」

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