2026.05.11NTTリーグワン2025-26 D2 第14節レポート(九州KV 31-25 日野RD)

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第14節
2026年5月9日(土)13:00 KUROKIRI STADIUM (宮崎県)
九州電力キューデンヴォルテクス 31-25 日野レッドドルフィンズ

刻んだ足跡は、文化へと姿を変えて。涙の先に託された、次代へのバトン

この試合で現役を終えた九州電力キューデンヴォルテクスの高井迪郎選手

「あぁ、終わったんだな」

後半13分、選手入替を示す電光式ボードに『6』という数字が灯った。訪れた観衆はそれが最後だと理解していた。これが現役最後の試合となった高井迪郎には大きな拍手が送られる。それは高井自身に“終わり”を認識させる光景だった。選手として張りつめていた気持ちのタガが外れたのか。ピッチを出た高井はチームスタッフ、チームメートたちと次々と抱擁を交わしていったが、その表情には涙が浮かんでいた。

「結果は付いてくるもの。まずは求められる役割を全うする」

チームに常に言い続けてきた言葉であり、それが高井の選手としてのプライドだった。現役最後の試合でも信念は貫いた。

「さすがに気持ちがちょっと乗っていたのか、やり過ぎた感じもあるかな(笑)。でも、与えられた役割を遂行できたし、自分が出るからにはアタックで何か残したかった。ちょっとは見せられたと思うので、合格点かな」

試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、それは高井が選手として過ごしてきた時間が終わった瞬間でもあった。そして、胸に去来したのは感謝の思いだった。

「ラグビーに出会わせてくれた両親、3人の兄。そして、妻、子供たち、職場のみなさん、ファンのみなさん。本当にすべての人たちに感謝しかない。父親には『お前は周りの人たちに恵まれている』とよく言われていましたが、引退という節目で本当に強く思えたことです」

仲間たちへの感謝もまた同じだ。入替の瞬間は寂しさが心の内を占めたが、試合後には格別な瞬間が待っていた。仲間たちと勝利の喜びを分かち合う時間だ。試合後のロッカールームでは歓喜のチームソングが大きく響いていた。

「みんなが笑って終われるというのはすごくありがたいし、自分も本当にたくさんの言葉を掛けてもらったので、寂しさよりもうれしさ、感謝の気持ちのほうが大きかった。勝って、笑顔で終われるというのは本当にスペシャルです」

そして、これからも戦い続ける仲間たちに託した思いもある。

「このチームに自分が残せたと思えるものがあるとしたらブラザーフッドかな。ラグビーをするときは助け合うし、チームメートになったらそれはもうブラザーフッドとしての血が流れているということ。その関係性は一生あり続けるものだろうと思っています。そういう思いをもってプレーしてくれる選手が一人でも増えれば、このチームはさらに面白くなっていくんじゃないかなと思います」

高井が「本当にスペシャルだった14シーズン」にわたって九州電力キューデンヴォルテクスというチームに注いできた情熱は確かなカルチャーとして根付いている。高井自身が先人たちの背中を見てこのチームの伝統を受け継いできたように、今度は高井の背中を見てきた次代の選手たちがそのバトンを受け継ぐ番だ。“高井迪郎”という選手は引退した。しかし、刻んだ足跡は文化、そして、伝統へと姿を変えていく。ピッチ上にその姿はなくとも高井はこれからもこのチームとともに歩み続けていく。

(杉山文宣)

「本当にすべての人たちに感謝しかない」

九州電力キューデンヴォルテクス

九州電力キューデンヴォルテクスの今村友基ヘッドコーチ(左)、古城隼人キャプテン

九州電力キューデンヴォルテクス
今村友基ヘッドコーチ

「本日は開催にあたり、ご尽力いただいた関係者の皆さまに御礼を申し上げます。本当に素晴らしい環境の中でラグビーができたことをうれしく思いますし、レギュラーシーズン最後のゲームを勝利で終えられたことは良かったと思います。

ただ、今季積み上げてきたものすべてを最終戦で出せたかと言われれば、満足はできませんでした。それでも、来季につながるラグビーは構築できたと思っていますし、来季はさらに上を目指して成長していけるように頑張っていきたいと思います。本日はありがとうございました」

──チームを離れる選手もいる中でこのメンバーで試合をするのはこれが最後になりました。今季のメンバーについてはどんな思いをもっていらっしゃいますか。

「毎年思うことですが、本当にこのチームは『Brotherhood』というスローガンを掲げている中で、選手同士の仲もいいですし、お互いを高め合える集団になっていると思います。私が来る前からそういった文化がありましたし、シーズンの苦しいときも良いときも前を向いて、みんなでチームを構築していくことに対して、感謝の気持ちがあります。このチームでヘッドコーチをさせていただけていることに感謝と誇りをもたせてもらえる、そういうチームです。それは選手だけでなくスタッフもそうなんですが、そんなチームでヘッドコーチができて幸せな気持ちです」

九州電力キューデンヴォルテクス
古城隼人キャプテン

「今季も宮崎での試合開催を楽しみにしていました。今日の試合がレギュラーシーズンの最終戦ということでチームとして良いフィニッシュをしようと話して臨みました。試合内容としては反省する点も多かったんですが、しっかり勝利してシーズンを締めくくることができたのはポジティブなことだと思っています。また、来季に向けて、今季積み上げたものをスタートから発揮して、チームをビルドできるように頑張ってまいります。また来季も九州電力キューデンヴォルテクスの応援をよろしくお願いします」

──古城選手としてはキャプテンを務めたシーズンでした。どんなシーズンだったと振り返っていますか。

「シーズンの前半戦は接戦で勝ち切れない試合があったり、自分たちのラグビーを表現できていなかったりしたときはかなり悩んだ時期もありました。ただ、シーズンの後半戦に入って徐々にチームがコネクトできるようになって、それに伴って勝利という結果も付いてくるようになりました。自分たちのやるべきことをそれぞれが分かるようになって、みんながつながることができるようになったのが良かったと思っています。

僕も『Brotherhood』というところでシーズンが始まる前に『良いときも苦しいときもみんなで支え合おう』という話をしました。苦しいときもあったんですが、選手もスタッフもともに上を向いて一つずつ、進んでいくことができたので、本当にみんなに感謝していますし、良い経験をさせてもらったと思っています。チームは大きく変われていると個人的には手ごたえがあるので、来季はスタートからそれをしっかり発揮できるようにオーガナイズしていきたいと思います」

日野レッドドルフィンズ

日野レッドドルフィンズの苑田右二ヘッドコーチ(左)、堀江恭佑ゲームキャプテン

日野レッドドルフィンズ
苑田右二ヘッドコーチ

「今日がリーグ戦の最終戦ということだったんですが、この素晴らしいグラウンドで試合ができたことに感謝申し上げます。

われわれとしては今季、苦しい戦いが続いたんですが、選手たちは何度転んでも立ち上がって非常に努力を続けてくれました。選手たち、スタッフ含め、本当に誇りに思っています。残り2試合(D2/D3入替戦)あるんですが、われわれ、日野レッドドルフィンズらしくエキサイティングなラグビーができるように良い準備をして、試合に臨みたいと思います」

──レギュラーシーズンの成績が出ましたが、どのように受け止めていらっしゃいますか。

「先ほども申し上げましたが、本当に今季は苦しいシーズンで(レギュラーシーズンでは)1勝しかすることができなかったんですが、その中でも選手たちは努力を続けてくれたので、この努力がいつか報われるときが来ると思っていますし、この努力を続けていきたいと思います。われわれにはまだ試合が残っていますし、そこで2試合、ベストなラグビーをしたいと思います。そのための準備をみんなで一つになって行って、マツダスカイアクティブズ広島戦に臨みたいと思います」

日野レッドドルフィンズ
堀江恭佑ゲームキャプテン

「僕も今日、このKUROKIRI STADIUMで初めて試合をしたんですが、素晴らしいスタジアムで素晴らしいファンのみなさんの前でラグビーができて幸せでした。結果は残念でしたが、チームが最後まであきらめずに結束力を高くもって戦えたんじゃないかなと思います。まだD2/D3入替戦の2試合が残されていますし、あと3週間で今季が終わりますので、しっかりと結果が出せるように最後まであきらめずに戦っていきたいと思います」

──敗戦の中でも最後は連続トライで意地を見せることができたかと思います。D2/D3入替戦までの2週間でどんなことを大事にしていきたいですか。

「今日の試合のように最後まであきらめずに動き続けて、ボールを動かしていく。自分たちのラグビーを信じて、最後まで戦い抜く。それを磨き続けていきたいと思います」

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