NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第14節
2026年5月9日(土)13:00 サンディスクスタジアムきたかみ (岩手県)
日本製鉄釜石シーウェイブス 10-31 清水建設江東ブルーシャークス
苦しみ抜いたキャプテンが貫いた初心と自らの軸。あと2試合、最後までこの責任を背負う
レギュラーシーズンを7位で終え入替戦を戦うことになった日本製鉄釜石シーウェイブスの河野良太キャプテン。「「残り2試合を勝って、来季もD2で戦うことにフォーカスしたいです」「何が正解なのか、分からなくなるときもありました」
日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)のキャプテン・河野良太は、苦しみ続けたシーズンをそう振り返った。
第14節、釜石SWは清水建設江東ブルーシャークスに敗れ、レギュラーシーズンを8連敗で終えた。前半はペナルティが重なり、自分たちの時間を作れない苦しい展開。それでも後半は規律を修正し、ボールを動かしながら反撃の形も見せた。2週間後にはD2/D3入替戦が待つ。敗戦の中にも、次へつながる感触は残った。
そのシーズンを、河野は初めてキャプテンとして戦い続けてきた。今季、彼が直面したのは、自分自身だけを見ていれば良かったころとの決定的な違いだった。
「キャプテンじゃなかったときは、自分のプレーだけにフォーカスしていればよかった」
しかし、キャプテンになった瞬間から、視線はチーム全体へ向くようになる。誰が苦しんでいるのか。どうすれば流れを変えられるのか。どうすれば勝てるのか。常に頭の中で考えなければならなかった。
「自分のパフォーマンスよりも、チームがどうやったら勝てるのかを一番に考えないといけない。それが一番大きく変わったところであり、難しいところでした」
3月からは連敗が続き、その難しさはさらに増していった。チームを勝たせるためには、自分が誰よりも体を張らなければならない。一方で、自分のプレーにだけ集中していては、チーム全体は見えなくなる。その狭間で、河野は何度も葛藤した。
「負けが続くと、自信もなくなりますし、何が正解なのかなって思うときもありました」
自分のメンタルの揺れがチームに影響を与えてしまう。だからこそ、苦しくても前を向かなければいけない。キャプテンという立場は、河野にこれまでとは違う責任を突き付けた。
それでも、最後まで変えなかったものがある。
「どんな状況でも、率先して体を張って態度で示すことが一番大事だと思っています」
初心は原点であり、最後まで自身の軸だった。言葉だけでは変わらない。だからこそ、自分が先頭でぶつかり、走り、倒れる。その姿勢で示し続けるしかなかった。
連敗の中でも光明はある。この試合でも後半、規律を修正したことで、自分たちのアタックは再び形を取り戻した。チームはまだ終わっていない。残されているのは、ディビジョン2残留を懸けた2試合だ。
「もう切り替えるしかない。残り2試合を勝って、来季もD2で戦うことにフォーカスしたいです」
今季限りでチームを離れる選手もいる。このメンバーでラグビーができる時間は、もう長くない。
「このチームで、このメンバーでラグビーができるのはあと2試合しかない。最後は、いい形で送り出せるように勝って終わりたいです」
苦しみ抜いたシーズンだった。迷い、悩み、自信を失いかけたときもあった。それでも河野良太は、キャプテンとして最後までチームの先頭に立ち続ける。
(髙橋拓磨)
日本製鉄釜石シーウェイブス
日本製鉄釜石シーウェイブスのトウタイ・ケフ ヘッドコーチ(右)、河野良太キャプテン日本製鉄釜石シーウェイブス
トウタイ・ケフ ヘッドコーチ
「またしても残念な結果になってしまいました。ただ、この試合でポジティブだったことを挙げるとすれば、最後まで戦い続けたことだと思っています。後半はトライライン目前まで攻め込み、本当にあと一歩という場面もありました。あそこで取り切れていれば、さらにチャレンジできて、勝てるところまでもっていけた試合だったと思っています」
──レギュラーシーズンは3勝11敗の7位という結果になりました。この結果や試合内容をどう総括しますか。
「今季を振り返ると、やはり残念な結果だったと思います。8連敗もありましたし、当初の目標はD2/D3入替戦を回避することだったので、それができなかったのは非常に残念です。
ただ、パフォーマンス面では良い試合もありました。一方で、自分たちのエラーや規律を守れなかったことで、勝てる試合を落としてしまった部分もありました。今後はそこを改善していくしかありません。少しずつですが、チームは成長していると思いますし、実際に勝てた可能性のある試合もありました。来季こそは、必ずD2/D3入替戦を回避したいと思っています」
日本製鉄釜石シーウェイブス
河野良太キャプテン
「本日の試合結果については、本当に残念に思っています。今日はフィジカル、そして、ハングリー精神の部分でアタックでもディフェンスでも激しく体を当てていこうとフォーカスして試合に臨みました。そこはできていた部分もあったと思います。ただ、前半からペナルティがかなり多く、自分たちがボールを持ってアタックする時間がほとんどありませんでした。厳しい試合になってしまったと思います。後半はボールを持つ時間もありましたが、そこで自分たちのミスによってスコアすることができず、結果として敗戦になってしまったので、非常に残念です」
──8連敗でD2/D3入替戦に臨む形となりました。メンタル面の切り替えも含め、この2週間をどのような期間にしたいですか。
「まずは3連戦を戦ったので、しっかり体を休めてリフレッシュしたいと思っています。その上で、オフ明けからD2/D3入替戦に向けて、特別に新しいことをするわけではありません。今季やってきたことを再確認して、どれだけ精度高くプレーできるかが大事になると思っています。そこを意識して準備していきたいです」
清水建設江東ブルーシャークス
清水建設江東ブルーシャークスの仁木啓裕監督兼チームディレクター(左)、安達航洋キャプテン清水建設江東ブルーシャークス
仁木啓裕監督兼チームディレクター
「まず、大槌町の森林火災で多くの方々が大変な状況の中、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)さんを含め、みなさんのご尽力によって本日の試合を開催していただいたと思っています。本当にありがとうございました。
レギュラーシーズン最終戦ということもありますが、われわれはこれまで釜石SWさんにシーズンで2勝したことがありませんでした。今季初めて2勝するという中で、しっかり今日勝ち切れたことに関しては、チームの成長を感じていますし、選手たちが本当にたくましくなったなと思いました。
もちろん、後半を含めてまだまだ課題はあります。ただ、そこもしっかり反省しながら、課題を克服していきたいと思います。本日はありがとうございました」
──レギュラーシーズン全体を振り返っての総括をお願いします。
「昨季はリーグ戦終盤で引き分けや敗戦が続き、D2/D3入替戦に回って、ギリギリでディビジョン2残留を決めたシーズンでした。その悔しさを受けて、今季は選手、コーチ、スタッフ全員で課題を克服しようとスタートしました。特にフィジカルやセットピースの積み上げに取り組んできました。
今季は接戦も多かったですが、昨季なら負けていたであろう試合を勝ち切れたところは、着実に成果が出てきた部分だと思います。ただ、われわれの目標はD1/D2入替戦に進むことだったので、明日の結果待ちという立場にいること自体は非常に悔しいです。もし次に進めるのであれば、さらに上を目指したいですし、もし今日が最終戦になったとしても、今季達成できなかった課題を来季につなげ、必ずD1昇格を手繰り寄せたいと思っています」
清水建設江東ブルーシャークス
安達航洋キャプテン
「はじめに、この試合開催にご尽力いただいた関係者の皆さま、ありがとうございました。
絶対にボーナスポイントを取って勝たなければいけない、プレッシャーの掛かる試合でしたが、前半にいい形で先制し、立て続けにトライを取れたことで、自分たちらしいラグビーができたと思います。ただ、シーズンをとおして80分間、一貫してクオリティーの高いプレーをする部分は、今日もまだ課題として感じました。D1/D2入替戦に進めるかどうかは明日の結果次第となるので分かりませんが、来季に向けて、もっと成長しなければいけない部分だと思っています。本日はありがとうございました」
──今季、チームとして成長を感じた部分はどこになりますか。
「昨季は、シーズン終盤の接戦を勝ち切れずに終わりました。でも、今季は厳しい試合が続く中でも、最後に勝ち切れたところが一番成長した部分だと思います。敵陣22mライン内に入ったあとにしっかり取り切れることや、ディフェンスでもゴール前で粘れることなど、メンタリティーの部分も含めて、フィジカルを積み上げてきた成果が試合に出たと思います」



























