NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第4節
2026年1月17日(土)13:00 AGFフィールド (東京都)
クリタウォーターガッシュ昭島 24-59 狭山セコムラガッツ
リーグワン最年少トライを記録。無限に広がる19歳の未来
「日本で自分の名前をみんなに知ってもらうための第一歩になった。これが始まりです」
その瞬間は、前半30分に訪れた。クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)がラインアウトからテンポ良くフェーズを重ねると、最後にパパセーア・マテラウがボールを受けた。迷いなく前へ出ると、力強いボールキャリーでディフェンスを押し切り、そのままトライゾーンへ飛び込んだ。若き才能の現在地を示す、力強い一撃だった。
このトライにより、マテラウは19歳7カ月9日でリーグワン最年少トライ記録を更新。これまでワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)が保持していた19歳8カ月28日を上回り、新たな歴史を刻んだ。もっとも、本人は記録達成にも冷静だった。
「トライはうれしいですが、チームとしては負けてしまったので、残念な気持ちがあります」
無理もない。WG昭島にとっては連敗を止めたい一戦だった。マテラウのトライで一時は同点に追い付いたものの、後半は狭山セコムラガッツのフィジカルの前に6連続トライを許し、力の差を見せ付けられる形で今季3敗目を喫した。それでも、19歳のバックローは視線を前に向ける。
「グラウンド内で、ちょっと静かになってしまう瞬間がある。お互いにもっと励まし合って、よりハードワークしていく必要があると思います」
チーム内でも最年少のため、周囲からは愛称の「パパ」と呼ばれ、かわいがられる存在でもある。その彼が次に見据えるのは、世界のトップ選手になることだ。一つの到達点として名前を挙げるのが、東京サントリーサンゴリアスのテビタ・タタフ。猛烈なボールキャリーを武器とする、日本を代表するバックローの一人である。その目標に近づくため、課題も明確だ。
「スクラムから素早くボールをセットすること。ボールキャリーをもっと低くすること。そこは、まだ足りないと思っています」
リーグワン最年少トライという記録は、ゴールではなく通過点にすぎない。「目標は25トライ(笑)」と上機嫌にスタジアムを去っていった、19歳のバックローの未来は、無限に広がっている。
(匂坂俊之)
クリタウォーターガッシュ昭島
クリタウォーターガッシュ昭島の内山将文ヘッドコーチ(右)、北條耕太バイスキャプテンクリタウォーターガッシュ昭島
内山将文ヘッドコーチ
「ホストゲームということで、多くのファンのみなさんに応援していただき、本当に感謝しています。ありがとうございました。勝利を届けたかったのですが、結果としては残念な形になりました。前半はわれわれのプランをある程度遂行できたと思いますが、後半は小さなミスから相手の勢いを止めきれず、特に6連続トライを許した場面は大きな反省点です。3連敗という結果ではありますが、選手もスタッフも全力で取り組んでくれています。もう一度、クリタウォーターガッシュ昭島らしいラグビーを取り戻すために、2週間しっかり準備して次節に臨みたいと思います」
──次節までに具体的にどういう準備をしていきたいですか。
「セットピースが安定すれば、自分たちのラグビーの形は作れます。ボールキープ、ディフェンスのコネクションをあらためて見直し、ディフェンスからトライを取れるよう意識して準備していきたいです」
クリタウォーターガッシュ昭島
北條耕太バイスキャプテン
「ホストゲームということで多くの方に来ていただいた中、勝利を届けられず、最終的に大きな点差になってしまったことは悔しいです。前半は良い戦いができましたし、狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)さんは非常にフィジカルなチームなので、フォワードが重要になると意識して試合に入りました。そこは一定の手ごたえがありました。ただ、後半に点差が開いた要因は、コミュニケーションやディフェンスのコネクションが80分間続かなかったことだと思います。これは出場している選手の責任です。リーダー陣が中心となって、80分間コミュニケーションを取り続け、規律とフィジカルを維持しなければ、今後、昇格や優勝は見えてきません。選手自身が意識を変える時期にきていると感じています」
──後半に点差が開いた具体的な要因をどこに感じていますか。
「オフロードパスを多く許してしまった点です。オフロードされるということは、1対1で負けているということ。一人目のタックルでしっかり耐えること、そして抜かれたあとのリアクションも含め、個々の責任が問われます。そこを止められなければ、連続して苦しい状況になってしまいます」
狭山セコムラガッツ
狭山セコムラガッツのスコット・ピアス ヘッドコーチ(右)、フェトゥカモカモ・ダグラス バイスキャプテン狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ
「前半と後半で、まったく別の試合になりました。立ち上がりの6分間でペナルティが3つ続き、非常に厳しい入りでした。ハーフタイムには、この試合に限らずペナルティが多い点を共有しました。ラインアウトのミスやスクラムのペナルティが減れば次のレベルに上がることができると思います。後半は、ボールキャリーに対するサポートのテンポを上げることを意識しました。相手のフィットネスの詳細までは分かりませんが、前半終盤に相手のパフォーマンスがやや落ちているように見えたので、そこに圧力を掛けられると考えました。開幕戦は決して良い内容ではありませんでしたが、先週、今週と選手一人ひとりがしっかり責任をもってプレーしています。試合中にコーチから細かい指示を出さなくても、選手同士で判断し、修正できている点は非常に頼もしいです。経験ある選手がパフォーマンスで引っ張ってくれていますし、まだ課題はありますが、今日は素晴らしい試合をしてくれました」
──3連勝となりましたが、今後積み上げたい部分を教えてください。
「自分たちで自分たちを苦しめている場面が、まだあります。プレッシャーをもっと正しい形で受け止め、選手自身が責任をもたなければいけません。もちろんスタッフもサポートしますが、最終的にグラウンドに立つのは選手です。試合が拮抗した場面では、経験ある選手の声が自然と周囲に伝わりますし、われわれも外から支えます。チームは確実に良くなっていますが、毎回大きくレベルアップするというより、先週より5%、10%でも前進することが大切です。スコアだけでなく、メンタル面の成長が伴えば、さらに強くなれると思います」
狭山セコムラガッツ
フェトゥカモカモ・ダグラス バイスキャプテン
「スタッフのみなさん、そして運営やイベントに関わってくださった方々のおかげで、素晴らしい環境の中でラグビーができたことに感謝しています。試合を振り返ると、立ち上がりは決して良い入りではありませんでしたが、セットピースに関しては、相手が明確なプランをもってきた中でも、ある程度は自分たちのやりたい形を遂行できたと思います。そこは以前から自分たちの強みとしてきた部分でもありますし、今週も全体として良いパフォーマンスが出せたと感じています。後半はマインドセットを切り替え、まずはダイレクトに、フィジカルで勝負することを意識しました。その中で相手が消耗してきた場面をうまく突き、攻め切れたのではないかと思います」
──3試合連続プレーヤー・オブ・ザ・マッチのダニエル・ウェイト選手のパフォーマンスについてどう感じていますか。
「オフフィールドでは兄弟のような存在で、本当に人間性の素晴らしい選手です。グラウンドに立つと非常に賢く、ラグビーIQが高く、戦術面でもチームをリードしてくれます。フィジカルも強く、パワーのあるダイレクトプレーができる一方で、プレーの引き出しも多い選手です。今季はリーダーとしての役割も果たしてくれており、3試合連続で受賞できたことは本当に素晴らしいことだと思います」



























