NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第13節
2026年4月26日(日)12:00 AGFフィールド (東京都)
ヤクルトレビンズ戸田 17-38 クリタウォーターガッシュ昭島
生え抜きのベテランが示すチームの魂。「僕も、チームもまだまだやれる」
後半28分、ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)の“生え抜き”の35歳、スクラムハーフの多田潤平がグラウンドに立った。ここでL戸田のギアが一気に上がり、二つのトライを奪って一気に追い上げムードを高めたが、逆転には及ばず、ノーサイドの笛が鳴り響いた。
「あの時間帯に入ったら、テンポを上げてアタックし続けることが自分の仕事です。役割は果たせたと思いますね」
今季、多田は長年慣れ親しんだ『9番』ではなく、リザーブからの出場機会が増えた。
「そのぶん、身体的な負担は減っているし、チームを逆転勝ちに導く試合も作れている。年齢的な味は出せているかな」と、柔らかく笑った。
これで開幕から全13試合連続出場。L戸田がリーグワンに参入した昨季から数えると、実に28試合連続出場中だが、本人は数字を気にも留めていない。
「先の先を見て戦えるような選手じゃないし、目の前の1試合1試合に全力を尽くすだけ。数字は正直、覚えてもいません」
その継続の背景にあるのは、日々の地道な努力にほかならない。毎日のようにトレーナーのもとに通い、身体管理を欠かさない。他競技も含めて同年代のアスリートの活躍に刺激を受けつつ、自身が社員選手としてこの年齢になっても仕事とラグビーを両立できていることへの自負が彼を支えている。最大のモチベーションは「L戸田への還元」だという。
「自分の試合出場はどうでもいいんです。とにかくまたL戸田を勝たせたい。それだけです。今日も会社の方々や、たくさんのファンのみなさんが応援してくれている。そのみなさんに、力強い勝利を見せたいという思いが強いです」
L戸田がまだトップイーストで下位に低迷していた厳しい時代から、チームとともにはい上がってきた一人だ。それだけに、多田の思いは深い。「当時と同じように比べるのは難しいけれど」と前置きした上で、こう言葉に力を込めた。
「L戸田には負け続ける時代があり、そうしてはい上がってきていまがある。負け続ける中でも、自分たちで改善し、少しでも前進していく。それらの経験値をずっと伝えていかなければ。僕も、チームも、まだまだやれるはずです」
多田は今季、チームを統率する肩書からは外れた。それでも、変わらずL戸田の魂として、そこに在り続けている。
(鈴木康浩)
ヤクルトレビンズ戸田
ヤクルトレビンズ戸田の河野嵩史ヘッドコーチ(右)、土井將聖 共同キャプテンヤクルトレビンズ戸田
河野嵩史ヘッドコーチ
「試合開催にあたりご尽力いただいた皆さま、ありがとうございました。また、クリタウォーターガッシュ昭島の皆さまにも感謝申し上げます。今日の試合は、これまでの課題であった『ディフェンスを頑張ったあとのマイボールをどう継続していくか』にフォーカスして臨みました。チーム一丸となって『スイッチオン』を意識して準備をしてきましたが、その課題をクリアできず、自滅してしまう結果になったと思います」
──後半、アントニオ・ミカエリトゥ選手を投入した直後に初トライが生まれましたが、後半の流れをどのように見ていましたか。
「アンツ(アントニオ・ミカエリトゥ)を途中投入することは予定どおりでしたし、センター陣には前半から頑張ってほしいと伝えていました。あの時間帯で最低でも同点くらいのスコアにできていなければ試合にならないと感じていました。それまで劣勢が続いたことが、最後まで追い付けなかった原因だと思います」
ヤクルトレビンズ戸田
土井將聖 共同キャプテン
「まずは試合開催にあたりご尽力いただいた皆さま、ありがとうございました。また、クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)の皆さまにも感謝申し上げます。総括としては河野(嵩史)ヘッドコーチがお話ししたとおりです。自分たちのミスで自滅し、ペナルティを犯して自陣でプレーする時間が続き、WG昭島さんの勢いのままアタックされて止めきれず、自分たちの流れに持っていくことができませんでした」
──残り2試合に向けての意気込みをお願いします。
「残り2試合も必ず勝たなければいけないと思っています。中国電力レッドレグリオンズさんには今季1勝1敗ですが、昨季も含めると負け越しているので、まずは直接対決の戦績を五分に戻したいです。また、最後のルリーロ福岡さんにはやられっぱなしなので、必ず最後の2試合を勝利で終えたいと思います」
クリタウォーターガッシュ昭島
クリタウォーターガッシュ昭島の内山将文ヘッドコーチ(右)、中尾泰星キャプテンクリタウォーターガッシュ昭島
内山将文ヘッドコーチ
「本日はビジターでの試合にもかかわらず、たくさんの応援の方にご来場いただきありがとうございました。また、ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)の関係者の皆さまには、素晴らしい環境を整えていただき、良いゲームができました。感謝申し上げます。今節のテーマは、先週の敗戦からの立て直しでした。今季、L戸田さんには2試合とも逆転負けを喫しているので、いかに自分たちのラグビーを貫いて勝つかという部分にフォーカスして準備してきました。前回・前々回の対戦はミスが多く自滅する場面もあったため、コンタクトの部分を中心に修正を図ってきましたが、今日は選手たちがそれをうまく体現してくれたと思います」
──残り2試合に向けて、チームとしてどのようなことをやりたいと考えていますか。
「まずは現在の課題にしっかり目を向けたいと思います。自分たちのミスでリズムを崩してしまう場面があるので、どのエリアでどう戦えば自分たちの強みを発揮できるのか、もう一度共有し、強みを再確認しながら残りの試合を戦っていきたいです。新しいメンバーもどんどん出てきてくれていて、いい相乗効果が生まれています。雰囲気も良く、次につながる戦い方を一戦一戦続けていきたいと思います」
クリタウォーターガッシュ昭島
中尾泰星キャプテン
「今日は、(内山将文)ヘッドコーチがおっしゃったとおり、今季2試合とも逆転負けを喫していた相手との試合でした。そのため、もう一度ここで自分たちのプライドをしっかりもち、全員で戦おうと共有していました。今日は接点の部分で前に出られたことで、前半のスコアにつなげられたと思います。前半をシャットアウトで終えられたことは大きかったですが、敵陣に入ったときのスコアリングについては、実際に獲得した得点以上にチャンスの数があったと感じています。それがミスで終わってしまうシーンが多かったと思います。後半は入りの部分は修正できたと思いますが、その後にトライを重ねられてしまいました。最後にはラッキーなトライもありましたが、後半のスコアとしては五分五分だったかなと思います。80分間、特に後半40分も集中力を切らさずに出し切ることはまだ課題です。あと2試合ありますので、そこをしっかり修正していきたいと思います」
──残り2試合に向けて、個人的な目標があれば教えてください。
「個人的には、自分のプレースタイルである低くタックルし続けること、ボールの接点で絡み続けることを80分間やり続けることです。気温も上がってきてお互いしんどい時間帯もありますが、しっかり走り切ることを自分の中でもターゲットにしています。また、残り2試合では、D2/D3入替戦出場はありませんが、WG昭島の今後につながるような戦い方をしたいと思っています。そのためにも、自分が最前線で体を張り続けなければいけないと考えています。一戦一戦、全力で戦っていきたいと思います」



























