NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第15節
2026年5月10日(日)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ 40-45 クリタウォーターガッシュ昭島
終わりと始まりの交錯。思いを受け継ぎ、つながっていく
ホストでの今季最終戦。中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)の3選手が現役ラストマッチを迎えた。
33歳の塚本奨平は、9番のジャージーを着て先発のフィールドに立った。
「今まで当たり前のように続けてきたラグビーが今日で最後になるのと、チームのみんなと戦えるのが最後だと思うと朝から悲しい気持ちになりました」
最近はけがに悩まされていたが、3月に1年ぶりに復帰し、最後は4試合連続のスタメン。「集大成として、みんなで楽しむ気持ちで試合に臨みました」という陽気なスクラムハーフは軽快なパスさばきを見せて後半13分まで戦い抜いた。
「しんどい時間帯もありましたけど、みんなとポジティブな言葉を掛け合いながらリラックスしてプレーできました」
36歳の前田恵輔は後半32分から途中出場した。「なんとも言えない緊張感と、やっと公式戦に出られるワクワクがありました」。ラストマッチは実に2年1カ月ぶりの復帰だった。
チーム最年長のプロップは昨季限りで引退するつもりだったが、けがで思うようなシーズンを送れず、「どういう結果でもあと1年だけしっかりやろう」と奮起。今季もけがと向き合う日々が続いたが、あきらめずに取り組み、出番をつかんで最後の勇姿を見せた。
「コーチも情で出してくれるような人じゃないので、スクラム練習でしっかりアピールできて、最後にメンバーに選んでもらえたのは良かったです。あっという間に終わったけど、最後のラグビーをかみ締めながら、楽しくやり切れました」
33歳の浅井佑輝は昨年4月を最後に試合から遠ざかり、ラストマッチもスタンドで見守った。
「家を出る前、試合に出ないのになんかすごく緊張していて、『もう終わりなんだ』という気持ちはありました。勝って終わってほしいという思いもありましたけど、みんなが頑張って戦う姿を見られて良かったです」
ムードメーカーのフッカーは今季出場機会がなかったが、「チームの潤滑油としてコミュニケーションを取って貢献しようと思っていた」と仲間のために動いてきた。プレーからは離れるが、「みんながチームのことを思って行動できる、そんなチームになってほしいです」とチームの未来に期待を込める。
終わりがあれば始まりもある。大卒ルーキーの下元大誠はこの試合でリーグワン初スタメンのチャンスをつかんだ。
22歳のセンターは初の舞台でも若さあふれる機動力で存在感を発揮。4月加入ですぐデビューを飾り、今季すでに3試合で場数を踏んだ。「この経験が自分の大きな糧になりますし、どれだけ生かせるかは自分次第なので、来季は必ずこの経験を生かしてチームに貢献したいです」と前を見て歩み出した。
チームは敗れたが、最後まで接戦を繰り広げ、好ゲームで3選手の引退試合を飾った。その試合で最初の一歩を踏み出した下元は、「終わりを迎えた選手もいた中で、僕は始まりだったので、これからいい歴史を作り上げるために頑張っていきたいです」と力を込めて言う。
チームを去る選手たちの思いは、チームに残った選手たちが受け継いでいく。そうやって中国RRのラグビーはつながっている。
(湊昂大)
中国電力レッドレグリオンズ
中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和監督
「まずは、クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)の皆さま、リーグ関係者の皆さま、本日はありがとうございました。ラストゲームに向けて心身ともに良い準備ができていましたが、勝たなければいけない試合でしたし、多くのお客さまにもご来場いただいた中で、最後は笑って終わりたかったというのが本音です。試合としては、ペナルティが流れを分けたと感じています。規律をもってプレーできていれば、違った結果になったと思いますし、敗因はそこに尽きると思います。要所でのミスはありましたが、チームでカバーできていた部分もありました。ただ、最もやられたくない展開になってしまったことが大きかったです。このような結果にはなりましたが、来季に向けて、できたこととできなかったことを見つめ直し、しっかり休んで、次のシーズンに向けて良い準備をしていきたいと思います」
──シーズン15試合を振り返って収穫と課題を教えてください。
「15試合をとおして非常にタフなシーズンでした。戦力や人数の面でも厳しい状況の中で、このリソースでどう勝つかを強く考えさせられました。アタック面では良い部分を伸ばすことができましたが、課題の修正が十分にできなかったと感じています。持ち味であるディフェンスは力を発揮できない試合も多かったので、そこは修正していかないといけないと思いました。サイズやフィジカルに優れた選手がそろっているチームではないので、この環境でどう勝つかをあらためて考えて来季に臨みたいと思います」
中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎主将
「本日はありがとうございました。最終戦に多くの方に応援いただき、本当にうれしく思います。試合については、前半は規律の部分で相手にスコアを重ねられてしまいました。ただ、自分たちが敵陣に入ったときにはしっかりスコアできていたので、その点は評価できると思います。僕らがやりたいフェーズでのディフェンスは機能していましたし、強力な外国籍選手に対してもしっかり二人で止めていて、ディフェンス自体は良かったと感じています。一方で、規律の部分を改善しなければ、勝利につなげるのは難しいと考えています。ディビジョン3の3位から6位は拮抗していて、どのチームが勝ってもおかしくない状況です。自分たちにもチャンスはあると思っていますし、来季トップ2を目指すためには、この中から一歩抜け出さなければいけないので、またチームが始動したときにはさらに強くなって戻ってきたいと思います」
──シーズン最終戦で退団・引退する選手と同じグラウンドに立った心境を教えてください。
「それぞれに多くの思い出があり、試合後は思わず涙が出ました。特に(エドワード・)カークは6年間にわたってチームの底上げに大きく貢献してくれましたし、そのプロフェッショナルな姿勢がチームに与えた影響は非常に大きかったと感じています。プレー面はもちろん、人としても尊敬できる存在です。引退する選手たちは、仕事とラグビーを両立しながら過ごしてきた仲間でもあり、話し出したらキリがないほどの思い出があるので、寂しいの一言です。本当にいろいろなところでお世話になった先輩ですし、(引退する選手と)自分の年齢も近くなってきているので、寂しい気持ちでいっぱいです。ただ、残る自分たちとしては、さらに成長した姿を見せて、また一緒に喜びを分かち合えればと思っています。来季に向けて、しっかり取り組んでいきます」
クリタウォーターガッシュ昭島
クリタウォーターガッシュ昭島
内山将文ヘッドコーチ
「本日は中国電力レッドレグリオンズの皆さま、ありがとうございました。また、会場では敵味方関係なく多くの方に応援いただき、素晴らしい環境の中でプレーできたことをうれしく思います。試合については、相手がフィジカルで勝負してくることは予想しており、受けに回らずしっかり体を当てていこうという意識で入りました。前半の立ち上がりはうまく対応できましたが、追い上げられる中で受けに回ってしまい、流れを相手に渡してしまいました。ハーフタイムにはキャプテンを中心に修正点を整理し、それを後半で体現できたことで、逆転勝ちにつながったと思います。選手たちを誇りに思います」
──前半は9点差をつけられ、後半も僅差の展開が続く中で勝ち切れたことをどう評価していますか。
「まずはペナルティを減らすこと、自分たちのミスから崩れている点が明確だったので、そこに立ち返ることを伝えました。また、どのエリアで戦うべきかを整理し、それを選手たちがしっかり体現してくれたと思います。自分たちのラグビーでどこなら勝てるのか、何を修正すべきかを選手自身が考え、試合の中で修正できた点は大きな成長です。シーズンをとおして、キャプテンを中心に戦うエリアやペナルティの要因について選手同士で話し合う場面が増え、スタッフと選手が同じイメージを共有できるようになってきたことも、今日の修正力につながったと感じています」
クリタウォーターガッシュ昭島
中尾泰星キャプテン
「今日の試合で良かった点は、最後に勝ち切れたことです。前半の序盤はスコアを重ねられましたが、終盤には相手のアタックに対して受けてしまい、自分たちのミスから失点する場面もありました。ただ、そこを修正できた点は評価できると思います。ポイントとしてはボールキープです。ノットリリースザボールのペナルティが多かったため、ボールキャリアーの倒れ方やサポートのスピード、質を見直しました。
後半はシンプルに強いキャリーとオーバーを徹底できたことで、スコアにつなげることができました。また、今日は引退する選手もいましたが、そのためだけに戦うのではなく、まずはグラウンドに立つ15人がジャージーを着てプライドをもって戦うことを大事にしました。その点はある程度体現できたと思いますし、最終戦を勝利で終えられたことが何より大きいと感じています」
──シーズンをとおしてチームの成長を一緒に取り組んできた中でどう感じていますか。
「15試合を戦う中で、開幕戦には勝利できたものの、そのあとは6連敗と苦しい時期がありました。リードしていても終盤で逆転されたり、自分たちのミスでフラストレーションの溜まるラグビーをしてしまう試合もありました。その中で、メンバー外の選手たちが日々の練習で高い強度を保ち、『Aチームを倒すんだ』という強い気持ちで取り組んでくれたことが大きかったです。それに対して当初はやられっぱなしのところがありましたが、『このままではいけない』という意識がチーム内に生まれ、それが2週目ぐらいからプレーとして表れてきたと感じています。
その中でも、上位チームには負け越しており、まだ力不足であることも全員が認識しています。今日の勝利は大きいですが、個々の力をもっと伸ばしていく必要があると体で当たって感じました。来季に向けて、チームも若くなるので、新しいチームになるチャンスでもあります。我慢が必要な時期もあると思いますが、選手全員で話し合いながら、切磋琢磨しながら戦っていきたいと思います」



























