2026.06.01NTTリーグワン2025-26 プレーオフトーナメント準決勝レポート(埼玉WK 24-26 S東京ベイ)

NTTジャパンラグビー リーグワン2025ー26
プレーオフトーナメント準決勝
2026年5月31日(日)14:05 秩父宮ラグビー場 (東京都)
埼玉パナソニックワイルドナイツ 24-26 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

届かなかった2点。その悔しさを携え、次の80分へ

埼玉パナソニックワイルドナイツの齊藤誉哉(さいとうたかや)選手。「試合後にはバンジー(ベリック・バーンズ バックスコーチ)たちから『よく頑張った』と温かい言葉を掛けられて、優しい人たちだなと思いました」

「優勝を目指していたので……。一番には“ノンメンバーたちの思い”が、“僕の一つのプレー”によって終わってしまった、というのが最初の感情でした」

試合を終えた齊藤誉哉が口にしたのは、仲間への思いだった。

背番号23をつけ、プレーオフトーナメント準決勝のメンバー入りを果たした齊藤。出番は、スタンドオフ・山沢拓也の負傷によって想定よりも早く訪れた。

後半開始時からグラウンドへ。事前のプランどおり、タクトを振った。「今週1週間、外で勝負しようと準備してきました。やることもシンプルでしたし、頭もクリアになっていた」と口にする。山沢からは「周りがサポートしてくれるから頑張って」と言葉を掛けられたと記憶する。

試合の流れを左右する場面が訪れたのは、後半22分のこと。トライゾーン中央に決めたトライ後のコンバージョンキックを、クボタスピアーズ船橋・東京ベイのハラトア・ヴァイレアによってチャージされた。

8点差を6点差に詰めるべく齊藤は蹴り込んだが、ボールが激しくはじかれる音が秩父宮ラグビー場には響いた。

かの場面を振り返れば「(ヴァイレアが)目には入っていた」と齊藤は言う。

「ボールをセットしてから(ヴァイレアが)いるな、と。でももう(セット位置について)動けない状態だったので、急いで蹴ったつもりだったのですが……」

決して、油断していたわけではない。これが、プレーオフトーナメントなのだ。

その後、埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)は2トライを返し、24対26と2点差に迫った。80分を告げるホーンが鳴ったあとに組まれた、マイボールでのセンタースクラムでは、逆転への望みを懸け「ディラン・ライリーとモーリス・マークスにボールを預けて外で勝負する」ことを選択した。しかしその左外でタッチに押し出されノーサイド。頂を目指した旅路は、2点届かなかった。

試合後、目に光を宿した齊藤は言う。

「シーズンを終わらせてしまった。僕が2点を決めておけば、こんなことにはならなかった」

だが、金沢篤ヘッドコーチは言った。

「最終得点は、すべてのプレーがつながってのもの。なので、あのコンバージョンゴールだけが原因ではありません。結果として2点差だったのでクローズアップされる気持ちは分かります。ただ、チャージに行った相手選手が素晴らしかったということに尽きます」

坂手淳史キャプテンも、その言葉に頷いた。

幼きころから野武士軍団に憧れ育った齊藤。これが、埼玉WKのエンブレムを胸にして初めてプレーしたプレーオフトーナメントだった。

「相手のプレッシャーも、スタンド中の両チームのファンの方々の声の響き方も全然違いました。すごい環境でした」

届かなかった、あと2点。この悔しさを消化するには、ただただ時間が必要だろう。だがいま、ここで立ち止まるわけにはいかない。

「今季引退される方がいます。チーム関係者、家族、そして何よりファンの皆さまに勝利を届けることが僕たちの仕事です」

昨季順位を超えるため。今季最後の80分、3位決定戦へと向かう。

(原田友莉子)

埼玉パナソニックワイルドナイツ

埼玉パナソニックワイルドナイツの金沢篤ヘッドコーチ(左)、坂手淳史キャプテン

埼玉パナソニックワイルドナイツ
金沢篤ヘッドコーチ

「予想していたとおりのすごくタフなゲームになりました。どちらに流れが転がるか分からない状況で少し離されたところはありましたが、最後あそこまでもっていった選手たちを誇りに思います。最後のアタックを見ると、自分たちが求めていたもの、やろうとしていたものを選手たちはしっかり出してくれたと思っています。

勝敗はつくものなのでいまは消化するのがなかなか難しいですが、来週もう1試合あるので、そこに向かっていきたいと思っています」

──トライがキャンセルになり相手にイエローカードが出たあと、2トライ2ゴールを取らないと追い付かない状況でした。数的優位を生かして端にトライを取りに行った判断は、チームとしてどのように考えていますか?

「どの場面でも真ん中にトライするに越したことはありませんが、あの場面ではそもそも5点を取って点差を詰めていかないといけないところでした。もし逆転していれば(端にトライをしたことを)正当化されたと思いますし、どちらにしても空いているところが外で、数的優位があったのでそこを取りに行けたのは選手の力だと思います。真ん中にトライに行かなきゃ、という判断は特にないですね。彼らが空いているところをうまくアタックしたと思っています」

埼玉パナソニックワイルドナイツ
坂手淳史キャプテン

「ゲームの中では常に勝ち筋を見つけていく作業をしていましたし、どこで前に出ていくかとアプローチして、それに選手一人ひとりが応えてくれていました。相手のプレーの質が高かったのでこういう形になりましたが、ゲームが最後までどちらに転がるか分からないところまでもっていったことは誇りに思います。最後勝ち筋を見つけて、少ない、小さな隙間を狙いにいくプレーも精度高くやってくれました。結果は悔しいですが、みんなで一緒に悔しさを消化しながら、次に向かっていければと思います」

──準備してうまくいったところと、うまくいかなかったところを教えてください。

「スクラムや自分たちが用意したモールのアタック、特に前半の最初に相手エリアに入っていくようなプレーなど、準備したものが出せたと思っています。しかし、そこで取り切れなかったのが自分たちの未熟なところで、ゲームの大きなところを決めてしまったと感じています。相手のフィジカルが強いことや、キックを蹴ってくることが多いのは分かっていて準備もしていましたが、点差が離れたときにああいうプレーになったことは少し焦ってしまったなと思います。

ディフェンスに関しては、一瞬スイッチが切れてしまったような前半の最後のトライなどはありましたが、チームとしてゲームをとおしたディフェンスはすごく良かったと思っています。 アタックについては、敵陣に入るところは良かったですが、そこで取り切れなかったところ、最後トライを取りに行くエクスキューション(遂行力)の部分が少し足りなかったと思っています」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイのフラン・ルディケ ヘッドコーチ(左)、マキシ ファウルア キャプテン

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ

「選手のパフォーマンスに感謝しています。最後まで勝敗の分からない試合になると想定しており、過去3シーズンの対戦を考えてもテリトリーの戦いになると思っていました。スマートなキックやエリアの取り方、ディフェンスでプレッシャーを掛けることで多くのチャンスを作れました。相手のアタックを好きなようにさせなかったのが勝ち切れた要因です」

──前半30分過ぎまでトライが遠かったですが、その時間帯はどういうことを考えていましたか?またプレーオフトーナメント準々決勝で良いプレーができたことは、1週間多く休むよりもプラスになったのでしょうか?

「そこ(前半30分過ぎまでトライが取れなかったこと)も試合のレベルと強度の高さを示していると思います。リーグ1位のディフェンスをする相手に対して、我慢が必要でした。それでもハードワークを続けたことで裏へのキックからトライが取れ、確実に後半のモメンタム(勢い)につながったと思います。

また長いオフがあればリカバリーもできますが、連戦をできることで暑さや80分間とおしてプレーすることに慣れます。大事な場面でスキルを出すことができたのも、それが反映されたと思います。準々決勝ではできていなかった修正点をしっかり修正して、タフなゲームにもっていくことができました」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
マキシ ファウルア キャプテン

「基本的には敵陣でプレーし、キックを使うなどスマートにプレーしようと話していました。敵陣に入ったらどんどんプレッシャーを掛けてスコアし、チャンスがあればペナルティゴールを狙い、トライを取り切るなど、リーダー陣を含めてうまくコントロールできました」

──プレーオフトーナメント準々決勝では敵陣22mに入ってからのフィニッシュに課題がありましたが、1週間かけて選手同士でどう話し合って修正したのでしょうか?

「東芝ブレイブルーパス東京戦の振り返りとして、フィニッシュに課題がありました。今週はそこを修正しました。敵陣に入ったら必ずスコアして前に進もう、どんどんスコアしていこうと話していました。具体的には自分たちのディシジョンメイキング(判断)のところを修正しました。もっとよくできるところがあったので、今日はその判断がうまくできました」

試合詳細

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