NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
D1/D2入替戦[D1 11位 vs D2 2位]第2戦
2026年5月30日(土)14:30 江東区夢の島競技場 (東京都)
浦安D-Rocks 57-19 清水建設江東ブルーシャークス
もがきながら戦い続けた新キャプテン。それでも「やってよかった」と言えるわけ
決して口数は多くない。器用か、不器用かで言えば、おそらく答えは後者。明るいか、シャイかと聞かれても、その答えは同じだろう。それでも、この男には、誰にも負けない泥臭さがある。必死さがある。言葉ではなくプレーで引っ張る覚悟があった。今季からキャプテンを務めた藤村琉士は、試合終了の瞬間、すなわち、ディビジョン1残留が決まった瞬間の心境を問われると、解き放たれたかのように言った。
「マジでひと安心でした」
それは、昨年12月にシーズンが開幕して以降、ようやく見ることのできた心からの笑顔だった。そこには安堵や喜び、解放感や安心感など、さまざまな感情がこもっていたように映ったが、シーズン中は葛藤や苦悩の連続だった。
「(12連敗中は)めっちゃきつかったですよ。自分もみんなも何をしたらいいか分からなくなっていましたね。今季はスタートが良かったぶん、余計にそういう雰囲気になってしまったと思います」
藤村にとっても初めての経験。そこにキャプテンとしての重責も乗っかったが、「絶対に落ちんとこ」という姿勢だけは貫いた。
「負けが続いていたときは、どういう声掛けをしたらいいのか考えました。でも、もう自分らしくやるしかないなと。あんまりうまいことは言えないのでプレーで見せるしかない。チームの雰囲気が下がり気味になったときに、自分も下がってしまうとキツいので、自分だけでも上げていこう。それだけは大事にしていました」
そうやって、もがき続けた日々が、気が付けば自らの成長を促していた。「すごくいい経験になりました。大人になれたんじゃないですかね」と頬を緩めた藤村は、リラックスした様子で今季を振り返る。
「キャプテンをやって良かったです。周りの人たちにも恵まれましたし、すごく楽しかったです。今まで以上にチームのことを第一優先に考えるようになりました。自分のプレーや振る舞いが『チームにどういう影響を与えるのか』ということを考えてプレーするようになりましたね。自分で言うのもあれですけど、ちょっとは成長したと思います」
苦しいシーズンであったことは間違いないが、チームとしても確かな成長を実感するシーズンでもあった。昨季よりも2勝多い5勝を挙げ、順位も12位から11位に上がった。入替戦への進出は望んだ結末ではなかったが、地力の差を示し来季もD1で戦う権利を自分たちでつかみ取った。
「着実に一歩ずつ良くなってきているし、自分たちのラグビーが分かってきて、勝てる試合も増えてきました。来季も一段、一段、階段をしっかりと上るつもりでやっていきたいと思います」
「(来季もキャプテンを任せてもらえるなら)やりますよ。だって、楽しいですもん」。最後に藤村はそう言って笑った。D1昇格3シーズン目となる来季、浦安D-Rocksは背中で引っ張る藤村を先頭に突き進んでいく。
(須賀大輔)
浦安D-Rocks(D1)
浦安D-Rocksのグラハム・ラウンツリー ヘッドコーチ(左)、藤村琉士キャプテン浦安D-Rocks
グラハム・ラウンツリー ヘッドコーチ
「今日、勝利できたことに満足しています。第16節を終えたときに入替戦に行くことが決定して、そのあとにチームへのメッセージとして『この先は全員で戦っていかないといけない』と話しました。今日はチーム全員で戦った結果が見られました。(第1戦から)何人かメンバーの入れ替わりはありましたけど、全員がよく戦ってくれて、最後にひと仕事してくれました」
──初めて日本で指揮を執るシーズンとなりましたが、どういうシーズンになりましたか。
「すごく楽しむことができたシーズンでした。もちろん、リーグワンというのはほかの国のリーグと比べても違う大会で、いろいろな面白さがある大会だと思います。その中で自分も違う文化などに触れ合うこともできましたし、このチームに来て、選手、スタッフたちが温かく迎えてくれたことがすごくありがたかったです。非常にタフなシーズンになりましたが、その中でも学びがたくさんあったシーズンでした。実際に来てみないと、どういうリーグなのか感じ取れない部分は多いです。選手たちのことやほかのチームのこと、リーグ全体のことをしっかりと感じ取れたので、それを踏まえて来季のプレシーズンへ向けた計画を詰めていきたいと思っています」
浦安D-Rocks
藤村琉士キャプテン
「第1戦目が終わったときに『まだハーフタイム』ということでこの第2戦にもしっかりと挑んでいきました。しっかりといいゲームができて終われて良かったと思います」
──キャプテンとして過ごした初めてのシーズンはどうでしたか。
「5シーズンプレーしてきて、初めてキャプテンをやって、周りの選手がしっかりとサポートしてくれました。ヘッドコーチを含めてスタッフからのサポートがあり、すごくやりやすい環境でやらせてもらって感謝しています。結果の部分で言えば、11位と昨季よりも1個上がって、着実に力は付いてきていると思います。これをどう来季につなげるかが大事だと思うので、プレシーズンからしっかりとやっていきたいと思います」
清水建設江東ブルーシャークス(D2)
清水建設江東ブルーシャークスの仁木啓裕監督兼チームディレクター(左)、安達航洋キャプテン清水建設江東ブルーシャークス
仁木啓裕監督兼チームディレクター
「普段、われわれのホストスタジアムとして使わせてもらっている(江東区)夢の島競技場ですけど、今回、初めてビジターで夢の島競技場を使わせていただいて、また本当に素晴らしい雰囲気を作っていただいて、この試合に関わったすべての方に感謝します。本当にありがとうございました。
チームとして出せることはすべて出し切った試合の結果だと思っています。結果に関してはしっかりと受け止めないといけないと思いますが、ブルーシャークスは苦しい試合や場面を乗り越えて成長してきているチームです。みんなも『来季は必ずやり返す』という顔をしていましたので、本当に私自身もかなり悔しいですけど、勉強してまだまだ強くなって、まだまだ頑張らないといけないとあらためて思いました。ただ、壁はそこまで高くないと思っていますので、必ず来季はこの場に来て(ディビジョン1に)昇格したいと思います」
──「高い壁ではなかった」ということですが、その中でも感じた課題はどういうものでしょうか。
「やはり、差はあったと思っています。上に上がれば浦安D-Rocks(以下、浦安DR)さんよりももっともっと強敵がいる中で、毎週、同じチーム力を維持することには慣れていないところとまだまだな部分が浮き彫りになったと思っています。1戦目はしっかりと準備できましたので戦えましたけど、この2戦目のときに中1週間で選手のコンディションを含めて維持しながら、勝つベクトルにもう1回向けることは、層の厚い浦安DRさんのほうが1枚も2枚も上だったと思っています。とは言いながら、戦えたことは全員が認識していると思うので、この差も埋まってくると思っていますし、来季に向けて6月からも仕事とラグビーの両立で、仕事しかしない選手はたぶん誰もいないと思うので、ここを経験したからこそ早めに一歩目を踏み出して、準備して、この差と壁を来季は必ず乗り越えたいと思っています。さっき、(安達)航洋が言っていましたけど、目指す場所がここだったので、(今季は)ここを目指して戦いました。
来季はD1昇格を目標に、むしろD2で全勝優勝するくらい圧倒しないとこの壁は越えられないと思います。結果だけを見れば、D1とD2の差は開いて、D2とD3の差は縮まっていますので、入替戦に出た以上はこの差を縮める、埋める、乗り越えることが絶対だと思っています。全員がめちゃくちゃ悔しい顔をしていましたので、来季は期待してもらえれば、必ずやり返したいと思っています」
清水建設江東ブルーシャークス
安達航洋キャプテン
「ありがとうございました。第1戦は自分たちのプランどおり先制してこちらから仕掛けていくことを実践できて、第2戦もまずは最初の10分でプレッシャーを掛けていこうと話していました。ゴール前までは攻めることはできましたが、ミスで終わってしまい、そこから相手のペースになってしまったことが今日の試合のすべてだと思っています。今季はこの入替戦に来ることを目標にシーズンを戦ってきましたが、来季はここに来ることが目標ではなく、ここで勝つことをしっかりと目標にして、来季もD2で戦いますけど、この入替戦を見据えたシーズンにしていかないとここでは勝てないと思いました。それは1対1のフィジカルもそうですし、セットピースのところももっともっとレベルアップしていかないといけないと感じたので、チームとしてレベルアップして戻ってきたいと思います」
──監督から「そこまで高い壁ではなかった」という言葉がありましたが、D1のチームと戦ってみて、感じた壁とはどのようなものでしたか。
「自分たちが100%、120%を出せているときはしっかりと戦えているところはあったので、それを出せるかどうかというところだけだと思います。第1戦の70分まではしっかりと対等に戦えていたということで、そこからの残り10分と今日の試合に関してはそれができませんでした。そこにD1との差があると感じたので、自分たちのスタンダードを上げていかないと勝てないと感じています」




























