浦安D-Rocks(D2)
開幕戦から大幅にメンバーを入れ替えた理由とは
記念すべき新チームの初戦、今季のディビジョン2開幕戦に見事勝利した浦安D-Rocks。しかし会心の内容とはいかず、課題と反省の残るゲームになった。後半途中から出場した西川和眞は「みんな固いというか、開幕戦だなという感じは受けていました」とベンチから戦況を見つめていた。
前半に比して後半は動きの少ない試合展開となったが、「ミスをするなど自分たちで崩れてしまうと相手に流れがいってしまうなと感じていたので、簡単なペナルティーをしないとか、簡単なオフサイドをしないようにという意識でやっていました。それがチームに浸透していたのが、勝ち切ることにつながったんじゃないかと思います」と西川は語る。苦しみながらも、チームは最初の一歩を踏み出した。
今節は、その開幕戦から大幅に先発メンバーを変更した。特にフォワード陣は、竹内柊平とヴィンピー・ファンデルヴァルトを残して総入れ替えとなる。それができるのも、厚い選手層ゆえだろうか。開幕戦から一転、メンバー外となった金正奎はこう語る。
「いまは誰が出ても同じくらいの実力だと思うので、プレシーズンに頑張ってきたみんなにチャンスを与えようと、いい形でローテーションができていると思います。もっとフッカーで経験を積みたいので、試合に出たかったですが、僕がコントロールできない部分なので。選ばれなくても準備をしておくだけですし、特に大きくメンタルを揺さぶられることはなかったです」
今回、チャンスを得たメンバーは燃えている。「開幕戦に出られず悔しい思いをしたメンバーたちが今回入っているので、いいエネルギーで迎えられていると思います」とは、開幕戦はリザーブだった西川の弁だ。チーム内では非常にいい競争ができているという。
対戦相手の清水建設江東ブルーシャークスを「フォワードとバックスがしっかり連係しているチーム」(柳川正秀)と警戒しつつも、あくまで向き合うのは自分たちだ。それは決してディビジョン2を侮っているからではなく、目標を高く置いているから。
「(気持ちが)抜けることはないですし、ディビジョン2だから、相手がどうだからということはなくて、自分たちがこうありたい、こうなりたいというところに向かってやっています。抜けるとしたら、最後の試合に勝ってからですね」(金正奎)
次戦は大阪の地にて、“ホスト開幕戦”に臨む。
(沖永雄一郎)
清水建設江東ブルーシャークス(D2)
強豪との対決へ。「特に注目してほしい」選手とは…?
今季からディビジョン2で戦う清水建設江東ブルーシャークスは、12月24日(土)に浦安D-Rocksとの第2節に臨む。舞台は大阪府のヨドコウ桜スタジアムで、初戦に続いてビジターゲームとなる。
開幕戦は豊田自動織機シャトルズ愛知に敗れ、黒星スタート。セットピースやブレイクダウン(モールやラックなどボール争奪局面)の部分で課題が見つかったものの、フィジカル面で同等に戦えたこと、スクラムに関して試合中に修正できたことなど、「選手たちが100%以上応えてくれた」と大隈隆明監督は手ごたえも感じたようだ。
その大隈監督は浦安D-Rocksの印象について、「体が大きくフィジカル面の強さがあり、セットピースは強烈。ただ、特別に戦い方を変えるわけではない」と話している。
自分たちの強みであるボールを早く動かす攻撃を行いながらも、ブレイクダウンで負けずに戦えるかは試合のポイントになりそうだ。昨季、ディビジョン1で戦っていた相手と、ディビジョン3に属していた清水建設江東ブルーシャークスの一戦。各選手が「楽しみのほうが大きい」と口をそろえたディビジョン2でのシーズンであり、全力でぶつかるのみだ。
中でも、バイスキャプテンの臼井礼二朗が、「アタックは強く、プレー面も器用なところがある。特に注目してほしい」と話した、明治大学から加入のフッカー田森海音の活躍に期待したい。練習中も自らのプレーについて常に考えている田森は、チームメートと積極的にコミュニケーションをとり、アドバイスを聞く姿勢を見せているという。リーグワンデビューとなった開幕戦でもフル出場。攻守で存在感を示したい。
大隈監督は試合前までの1週間の準備期間では「セットピース、ブレイクダウンの部分を修正するものの、一番大切にしてほしいのはコンディション」と話していた。
“仕事とラグビーの両立”を掲げて取り組む選手たちは、平日フルタイムで働いている。初戦の翌朝から仕事に励み、金曜の仕事後に大阪へ移動して土曜の試合に臨む選手も多くいる。限られた時間での練習を行う“サラリーマンであり、ラガーマン”の彼らが奮闘し、今季の初勝利を手繰り寄せられるか。
(山村燿)