東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスB)
「お尻の強化」が好調の要因。
トライ王へ快走する尾﨑晟也がチームの推進力に
現在4連勝中の東京サントリーサンゴリアス。1月29日の第6節は今季初となる秩父宮ラグビー場での戦いだ。相手はディビジョン2からの昇格組でありながら、ここまで3勝1敗1分と堅調な三菱重工相模原ダイナボアーズ。前節も試合終了間際に同点トライを決めて引き分けに持ち込むなど、勢いと粘り強さは侮れない。
その強固な「緑の壁」の突破を狙うのは、両ウイングとフルバックの好調なバックスリー陣。日本代表でも活躍する松島幸太朗を筆頭に、第4節ではテビタ・リーが、第5節では4トライを決めた尾﨑晟也がそれぞれプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝く充実ぶり。加えて、大学時代から注目を集めてきた河瀬諒介と雲山弘貴の二人もデビューを果たすなど、さらなる層の厚みも見せている。
相手チームとの戦い以前に、このチーム内競争で刺激し合い、出場機会をつかむための修練に励むからこそ彼らは伸び続け、その姿勢がチームのさらなる推進力になるわけだ。
ここまで10トライとトライ王へ快走する尾崎は、「いま追求しているのは、地面を強く蹴るための足首の使い方の改善。そして、お尻を使った走りです。以前までは腿(もも)に頼りがちでしたが、(松島)幸太朗さんのように速い選手ほどしっかりお尻を使って走っているので、その強化に取り組んでいます」と、今季好調の要因を自己分析。前節の試合終盤、体力的にも苦しい場面で80m近くを独走して決めたトライは、まさにそのトレーニングの賜物と言えるだろう。
もちろん、目標とされる松島も肉体強化に余念がなく、「スピードは多少落ちたかもしれないけど、そのぶん、前に出る力は強くなっている」と、昨季までのフランス挑戦で6kg増量した体のさらなる強化に日々取り組んでいると明かす。
東京サントリーサンゴリアスのアドバイザーで、オーストラリア代表ヘッドコーチへの就任が決まったエディー・ジョーンズは、そんな選手たちの切磋琢磨こそが優勝へのカギになると話す。
「(敗れた)初戦と5戦目を比べても非常にいい進歩を見せています。ここからハードワークを怠らず、毎週毎週を振り返ってどこを伸ばしていくか。目指す優勝に辿り着くまで、まだまだ長い道のりの途中ですから」
(オグマナオト)
三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)
7名入れ替えで、まさに“総緑戦”。「後先を考えずにハードワークするのがDNA」(岩村昂太)
三菱重工相模原ダイナボアーズはスターティングメンバー7名を前節から入れ替えて、東京サントリーサンゴリアスに挑む。
7名のうち、佐藤弘樹と新加入のフィシプナ・トゥイアキが今季初キャップ。リザーブは大塚憂也、奈良望、中川真生哉の3人が今季初めてメンバーに入った。三菱重工相模原ダイナボアーズが「Turbos(ターボス)」と呼ぶ、これまで試合メンバー外だった選手、途中出場の選手がチームにどんな新風を吹かせるだろうか。今季二度目のスターティングメンバーに入った坂本駿介は「前に出るプレーの先に勝利が見える。チームを加速させることが自分の役割」と力を込める。
一方、前節に負傷交代したタウモハパイ ホネティとウォルト・スティーンカンプ、入団2年目で頭角を現した坂本侑翼らがメンバーから外れた。三菱重工相模原ダイナボアーズはディビジョン1参戦に備えて体づくりに取り組んできたが、世界クラスの屈強なメンバーがそろうチームとの連戦で選手たちの疲労はどうしても蓄積する。
組織力でいい流れをつかんでいる三菱重工相模原ダイナボアーズにとって最初の正念場になるかもしれないと危惧を抱くものの、同時に「第二の坂本侑翼」が登場するかもしれないという期待感もある。
岩村昂太キャプテンは「後先を考えずにハードワークするのがわれわれのDNA。出場したら持っているものを全部出す。自分はシーズンを突っ走りたいし、ほかの選手もそう思っているはず」と潔い。
東京サントリーサンゴリアスは現在4勝1敗の3位。2021年のジャパンラグビー トップリーグで、三菱重工相模原ダイナボアーズはこの強敵に7対75で大敗している。しかし、今季の三菱重工相模原ダイナボアーズはひと味違う。「先制されてリードされても、そこから崩れずに自分たちのラグビーを取り戻していけた」(岩村)という粘り強さで僅差をモノにする勝負強さがある。
不敵な笑みを浮かべつつ、岩村キャプテンは「われわれの強みであるディフェンスシステムが、東京サントリーサンゴリアスのアタッキングラグビーを止めることができるか本当に楽しみ。全員でハードワークしてしっかり止めていきたい」と意気込みを見せる。
猪突猛進の総緑(力)戦、恐れるものはなにもない。
(宮本隆介)