NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1 第6節(交流戦)
2023年1月29日(日)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
東京サントリーサンゴリアス 51-13 三菱重工相模原ダイナボアーズ
突き上げと競争。その刺激と循環が東京SGに新風を起こす
4連勝中の東京サントリーサンゴリアスと、昇格組ながら台風の目になっている三菱重工相模原ダイナボアーズという好調同士による第6節。前半途中までは両チームとも粘り強い守備を見せ、こう着状態が続いた。
だが、東京サントリーサンゴリスは守りながらも自分たちの強みである「アタッキング・ラグビー」を徹底。前半34分にテビタ・リーが60mを走り切ってトライ。さらに後半9分には松島幸太朗が80mの独走トライと、秩父宮ラグビー場に吹いた一陣の風のように見事なカウンターアタックを見せ、三菱重工相模原ダイナボアーズの粘りを一蹴。終わってみれば51対13と東京サントリーサンゴリアスが完勝し、5連勝を飾った。
そんな試合のハーフタイム、「アタッキング・ラグビー」のDNAを受け継ぐべく、4人の新たな東京サントリーサンゴリアス戦士の入団発表が行われた。アーリーエントリー登録をした3名、帝京大学の髙本幹也、早稲田大学の相良昌彦、明治大学の大賀宗志、そして大東文化大学のサイモニ・ヴニランギだ。
4人を代表してマイクの前に立った相良は、昂る気持ちをこう表現した。
「早稲田で一緒に戦った先輩たちもいま、ピッチに立っている。早く同じ舞台に立ちたい」
この試合、まさにその早稲田大学の先輩たちが存在感を示した点も印象深かった。相良の3学年上で、ともに大学日本一を経験した齋藤直人はチームのタクトを振るい、その齋藤と同期の中野将伍は見事なトライ。2学年上の下川甲嗣は攻守に渡って激しいワークレイト(運動量)を見せ、1学年上の小林賢太は初スタメン初トライ。同じく1学年上の河瀬諒介は『デビューから3試合連続トライ』と存在感を発揮した。
小林は「下からの突き上げ、そして競争こそが東京サントリーサンゴリアスらしさ」と、後輩の加入に刺激を受けていると語る。
「相良もそうですが、ほかの大学からもいい選手が入りました。自分もまだまだ1年目と変わりありませんが、下からの突き上げと競争こそが東京サントリーサンゴリアスの強み。ハングリーさを忘れず、自分も先輩たちにプレッシャーを掛けていけるように取り組んでいきたいです」
先輩たちのプレーからいかに学ぶか。そして後輩たちの存在にいかに刺激を受けるか。その循環こそ、東京サントリーサンゴリアスに新たな風を起こすはずだ。
(オグマナオト)
東京サントリーサンゴリアス
東京サントリーサンゴリアス
田中澄憲監督
「三菱重工相模原ダイナボアーズさんは勢いがありますし、本当にタフでハードワークができる素晴らしいチームなので、簡単なゲームにはならないだろうと理解して臨みました。そのとおりのゲーム内容だったと思いますし、最終的に点数は開きましたが、内容的にはそこまでの差はなかったかなと。ただ、やはりハードワークするといったらわれわれ東京サントリーサンゴリアスしかない。そういうプライドは持っていますので、そこで何とか相手を上回ることができた。それが今日の結果だったと思います」
──後半9分、松島幸太朗選手の見事な80m独走トライがありました。あれはどれくらい計算どおりなのか、あるいは計算以上だったのか?
「『マツ(松島)のああいうトライは久しぶりに見たな』というのが正直な感想です。本人も今日のこういうプレーをきっかけに、もっともっと調子を上げてほしいと思います。ただ、これまでも各試合、要所でいいランニングデータを残していますし、ゲインラインを切るといったプレーはしてくれています。いかにみなさんのマツに対しての期待が大きいか。ある意味、いつも高いレベルでプレーしているかだと思います」
東京サントリーサンゴリアス
齋藤直人キャプテン
「勢いのある三菱重工相模原ダイナボアーズを相手にしっかり80分間耐え切ること、あとはTゾーンでのアタックのバリエーションを意識して試合に臨みました。序盤はスコアがあまり開かなかったものの、ディフェンスでは集中して我慢強く守り切り、後半30分過ぎから少しずつ得点できたのはいい形だったと思います」
──前半34分、自陣右ゴール前スクラムから松島幸太朗選手がブレイク。左に展開して中村亮土選手のキックパスからテビタ・リー選手が決めたトライはいい形だったのではないでしょうか?
「最初はイグジット(自陣からの脱出)の話をしていたんですけども、いい判断をしてくれました。あのシーンは、一度(スクラムを)組み直しになるまでは競っていたので、『攻められるかも』という話もしていました。試合をとおして状況に応じて判断し、イグジットの場面でも全員が攻めるオプションを持ちながらやれていたので、その結果だと思います」
三菱重工相模原ダイナボアーズ
三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ
「前半はいい戦いができていました。自分たちの精度、アタッキングプレーで課題はあったものの、39分まではしっかりいい粘りができていたと思います。ですが、前半40分に決められたトライと、後半開始早々のトライ。ここを切り抜けられるかどうかが自分たちにとってすごく大事な場面でした。そこを今週経験できたので、来週につなげられるようにしていきたいです」
──ここまでの試合で非常に活躍していた坂本侑翼選手やウォルト・スティーンカンプ選手などがベンチ外と、今節は大幅にメンバー変更がありました。コンディション不良や疲れなどがあったからでしょうか?
「先週までで(同じカンファレンスと戦う)最初の5節が終わり、シーズンも一区切り。全16試合、ずっと同じメンバーを出せないことはシーズン前からわかっていたことですので、そこは合理的に判断しました。また、これまでの試合で出ていなかった選手、ずっとアピールをしていた選手も多く、ちゃんとチャンスをあげたいという側面もありました。いまのラグビーは先発の15人だけ、ベンチメンバーの23人だけで戦うのではなく、チーム全員で戦うことがとても重要です。その大事な経験を今日は積むことができたと思います」
三菱重工相模原ダイナボアーズ
岩村昂太キャプテン
「グレン・ディレーニー ヘッドコーチも言っていたように、前半までは戦えていたと思います。ただ、後半の入り、システムエラーからすぐにトライを決められ、そこから少しずつ崩れてしまいました。そこは反省点ですし、今日の試合結果を左右する大きな場面だったと思います」
──前半最初の場面で、粘って粘って作ったチャンスがありました。ただ、そこでトライが取れなかったことはどう振り返りますか?
「フィジカルの部分で相手より優位に立てなかった部分もありますし、あとは遂行力のところでクオリティに欠けるところがありました。そこがトライを取れなかった要因かなと思います。疲れは関係なく、われわれのラグビーをグラウンドでしっかり表現できなかった。そこが一番の要因だと思います」