2023.04.16NTTリーグワン2022-23 D1 第15節レポート(埼玉WK 25-44 静岡BR)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(リーグ戦) 第15節 カンファレンスA
2023年4月15日(土)16:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ 25-44 静岡ブルーレヴズ

「It’s a rugby, it’s a life」
王者は負けてなお強くなる

埼玉パナソニックワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督

埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)が負けた。積み上げてきたトップリーグから合わせての連勝記録は『35』、公式戦の連続無敗記録は『47』でストップする結果となった。

静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)のパワーラグビーに対して、坂手淳史の技ありトライでリードを広げたものの、そのあとは、後手を踏む展開。それでも、長田智希が2トライを挙げるなど食らいつき、後半11分に同点へ追いつくと、“ラスボス”・堀江翔太を投入して逆転へのスイッチを入れにかかる。

勝利の方程式。埼玉WKのファンは最後まで逆転を信じていたが、どうしても流れがつかめなかった。そして、静岡BRの圧倒的な勢いに飲み込まれた。マロ・ツイタマ、交代出場の庄司拓馬、日野剛志にトライを許して25対44で敗れた。過去4シーズン、解けない難問はなかったが今ゲームではどうしても『解』が導き出せなかった。

埼玉WKは今節、ベン・ガンター、ルード・デヤハー、ジャック・コーネルセン、ディラン・ライリーらを欠く戦いだったが、王者として言い訳はできない。選手たちは、ノーサイドの瞬間、ピッチに崩れ落ちた。

試合後、ロビー・ディーンズ監督は、いつもと同じように穏和な表情で会見場に姿をみせた。百戦錬磨の智将は「われわれの戦績を数えている記者さんもいると思うが、連勝はチームの中では意識しないようにと伝えていた。選手たちが積み上げてくれた、ここまでの連勝という偉業を誇りに思う」と、連勝の重圧の中で戦ってきた選手たちを称えた。

そして、「この敗戦をどう受け止めるか?」という質問に対して、「No problem. it’s a rugby, it’s a life. (気にしていないさ。これがラグビーであり、人生だ)ラグビーでは勝ち続けることはないし、勝つことは当たり前ではない、この負けが選手たちをさらに成長させてくれる。次に何をするかが重要だ」と、人生にたとえて敗戦の意味を伝えた。この敗戦も埼玉WKが強くなるための過程。敗戦を糧に進化していく。

ロビー・ディーンズ監督が、勝者・静岡BRに対して賞賛を惜しまなかったことも記しておく必要がある。「静岡BRさんにおめでとうと伝えたいし、今回は、ブルーレヴズ(静岡BR)さんを賞賛したい」。試合後、スタンドのファンたちが激闘を演じた両チームの選手たちに拍手を送った。埼玉WKはホストゲーム最終戦で勝つことはできなかったが、互いの闘志がぶつかり合う最高のゲームだった。

(伊藤寿学)

埼玉パナソニックワイルドナイツ

埼玉パナソニックワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督(右)、坂手淳史キャプテン

埼玉パナソニックワイルドナイツ
ロビー・ディーンズ監督

「熊谷(スポーツ文化公園ラグビー場)での試合でしたが、われわれは良いゲームができませんでした。これまでのゲームの中でも、良い試合ではなかった。静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)さんを称えるといいますか、静岡BRさんが非常に良いプレーをしたと思います。われわれの戦績を数えている記者さんもいると思います。チームの中では『(連勝記録は)意識しないように』、と伝えていました。連勝が続いていましたが、それが終わったのが、今日で良かったと思います。数字はみなさんにお任せしますが、ここまでの連勝という偉業を誇りに思います。これからチームがどう成長していくかが楽しみで仕方がないです。布巻(峻介)、竹山(晃暉)選手らが試合に出てプレーできたことは良かったですし、チームのプラスになると感じています。静岡BRさんに『おめでとう』と伝えたいですし、『グレートなパフォーマンスだった』という言葉を伝えたいと思います。今回は、静岡BRさんを賞賛したいと思います」

埼玉パナソニックワイルドナイツ
坂手淳史キャプテン

「静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)さんがフィジカルで強かったですし、ゲームのターニングポイントで強みを引き出させてしまいました。僕たちとしては、次に何をするかが大切。悔しい気持ちをエネルギーに変えて、さらに強くなれるチームだと思います。次へ向けても良いレッスンだったと思います」

──スクラムで苦戦していた。

「ゲームの前からスクラムでプレッシャーを掛けてくるのは分かっていました。雨のスリッピーなコンディションで、スクラムが非常に重要になるという認識でした。修正はしていったのですが、(静岡BRの)伊藤平一郎選手、日野剛志選手の組み方がさすがだったと思います。あのスクラムに対して、どうするかをしっかりと考えていくことで、自分たちのスクラムももっと良くなっていくと感じています」

──静岡BRに対しての苦手意識はあるのでしょうか?

「苦手という意識はないですが、すごく接戦が多く、今日は僕たちが負けてしまいました。後半20分過ぎまではどちらが勝つか分からないゲームでしたし、相性としてはあるのかなと思いますが、それほど意識はしていなかったです」

静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズの堀川隆延ヘッドコーチ(左)、大戸裕矢ゲームキャプテン

静岡ブルーレヴズ
堀川隆延ヘッドコーチ

「埼玉パナソニックワイルドナイツさん(以下、埼玉WK)に勝点5という結果は、素晴らしいパフォーマンスだったと思います。勝つなら、今日だろうということで1週間、準備してきました。僕らは過去2戦、1点差で最後に敗れています。セットピースで優位性を保てていたことがわれわれの自信になっていました。雨の天候で、われわれに有利な状況があったと思います。自分たちのラグビーを信じて勝ち切ってくれた選手を誇りに思います。次節、地元のヤマハスタジアムでの最終戦で、トヨタヴェルブリッツさんと戦います。しっかりと準備をしてファンのみなさんに勝利を届けたいと思います」

静岡ブルーレヴズ
大戸裕矢ゲームキャプテン

「本日は、このような天候の中で試合を開催していただき、ありがとうございました。スタジアムの雰囲気がお祭りのようで楽しかったです。試合内容としては、勝つなら、こういうゲームだと思っていました。雨の中のフォワードゲームだったので、自分たちのスタイルがすごく出たと思います。とはいえ、まだまだ課題はありますので、最終戦のトヨタヴェルブリッツ戦へ向かって、チームとして強くなっていきたいと思います」

──埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)という相手について、勝つためにどこにポイントを置いていたのでしょうか?

「タフなゲームにはなると思っていました。埼玉WKさんに対しては、ペナルティをどれだけ減らすか。3点を刻まれたら埼玉WKさんのペースになると思うので、自陣でのペナルティをなくすことを意識しました。どこに優位性があるかを考えたら、セットピースだと思うので、そこで戦えたと思います。相手は焦っているとは感じませんでしたが、経験豊富な選手がいて、試合巧者の相手ですので、最後までしっかりと戦うことを心がけました」

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