NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第3節(リーグ戦) カンファレンスA
2025年1月4日(土)12:00 Jヴィレッジスタジアム (福島県)
浦安D-Rocks 12-40 横浜キヤノンイーグルス
D1初勝利のために。浦安DRに求められるメンタリティーと規律
前日に雪が降ったJヴィレッジスタジアムで行われた一戦は、横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)に軍配。昨季4位のチームが、ようやく今季初勝利をつかんだ。
ホストゲーム連戦となった浦安D-Rocksとしては、またしても勝利が遠かった。これで開幕3連敗。試合後の会見に出席したグレイグ・レイドロー ヘッドコーチとヤスパー・ヴィーセ ゲームキャプテンは、そろって「規律」の面を課題として挙げた。
この試合も、80分間防戦一方であったかと言われればそうではなく、優勝候補の一角である横浜Eと互角を演じた時間帯はあった。スクラムでは堂々の押し合いを見せ、粘り強い守備も披露した。しかし、ラストパスがつながらずにトライを逃したシーンや、反対に数的有利の状況ながらあっさりとトライを許してしまう場面も散見。勝敗を分ける局面でのディビジョン1のレベルの高さを痛感している。
もがいているチームにとって、竹内柊平の言葉は初勝利に向けたヒントになりそうだ。プレシーズンには日本代表として世界を相手に戦ってきた男は「強いチームと勝ち切れないチームの差は、まさにそこですよね。自分たちの実力が大きく劣っているとか、やっていることが間違っているとかではなく、選手個人のメンタリティーだと思います」と檄を飛ばし、選手一人ひとりのさらなる自覚を促した。
「やっぱり規律のところです。ペナルティではないけれど、細かいところがプレーに出ている。それはチーム全体で取り組む部分もありますが、選手が各々で受け止めて、自分にベクトルを向けて、今日の試合を捉えられるかが大事。誰かがやってくれるではなくて、自分がやらないといけないし、試合前の準備段階から一人ひとりがもっとプロフェッショナルにならないとD1のチームやシーソーゲームには勝てないと感じています」
試合を重ねるごとに手ごたえは得ている。それをどう結果につなげていくか。次節こそは初勝利へ、自覚と責任をもって、また次の1週間に臨む。
(須賀大輔)
浦安D-Rocks
浦安D-Rocks
グレイグ・レイドロー ヘッドコーチ
「まず40失点というところを考えると、試合は難しくなってしまいます。その原因は大きく言えば規律の部分から来ていると思います。規律が乱れ、そこからエリア内に侵入されて得点を許してしまう流れを何とかして断ち切らないといけないです」
──前節後には厳しい言葉も聞かれた中で、今週はどんな準備をしてきて、今日の試合ではどのくらいその成果を出せましたか?
「良い準備はできていたと思います。このチームの成長の過程として一番大事な部分は、自信を付けることです。『強いチーム相手にも戦えるんだ』という自信をもち、そこでビビらずに、若い選手も受け身にならずに攻めにいく姿勢が重要だと思います。試合の中では流れを変えるような重要な局面がいくつかありましたが、そこでそういう姿勢を見せられなかったと思います」
──前節から多くのメンバーを入れ替えましたが、その理由を教えてください。
「先週の試合でパフォーマンスを出せていなかった選手がいたので、そういう選手に関してはヘッドコーチとして交代することは重要視しています。その意味ではほかの選手にチャンスを与えられることはポジティブに考えています。今日のチャンスをモノにした選手がいたことはポジティブだと思っています」
──ボールを奪ってからのアタックの評価について、どう感じていますか?
「すごくいい質問だと思います。詳しくは映像を見返さないといけないですが、ターンオーバーをたくさん取れたことはポジティブな点だと評価しています」
──今日のスクラムとディフェンスの評価をそれぞれ教えてください。
「スクラムに関してはフラストレーションが溜まる部分がありました。前半は明らかに圧倒しているシーンを見せられていたと思うのですが、レフリーとうまくかみ合わず相手にプレッシャーを掛け切れなかったところもあったので、そこに対してはレビューしていかないといけないです。
ディフェンスについては良い部分がたくさんあったと思います。でも、良いディフェンスができていてもその時間が長くなってしまうのはペナルティに理由があると思います。ペナルティを重ねてしまうと正しいエリアでプレーできずにディフェンスの時間が長くなってしまいます。あとは、自陣でモールやアタックを止め続けることは難しいので、ペナルティをどう減らしていくかは、レフリーの判断をよく見極めてやっていかないといけないと思っています」
浦安D-Rocks
ヤスパー・ヴィーセ ゲームキャプテン
「グレイグ(・レイドロー ヘッドコーチ)が言ったとおり、(敗因としては)規律の部分が大きいと思います。不運なけがもありましたが、そこを言い訳にはできないので、規律をしっかりすることで失点を許さないところからまた始めたいと思います」
──ゲームキャプテンとして大事にしたことやチームメイトに発信したことがあれば教えてください。
「グレイグも言っていましたが、重要な局面で集中力に欠けてしまったことは大きかったと思います。そこは開幕からの2試合でも課題として感じていたので、チームに対しては『恐れずにプレーしよう。待たずに果敢に攻めていこう』という話をしていました。このチームには若い選手もたくさんいる中、自信を積み上げていくことがこの先の課題になっていくと思います。かと言って、12対40で負けてしまったことの言い訳にはしてはいけないと思うので、これから引き続き自分たちのことを信じ続けて、チームを上に上にと引き上げていきたいと思います」
横浜キヤノンイーグルス
横浜キヤノンイーグルス
沢木敬介監督
「福島での開催ということで、昨日は雪が降った中、試合を開催できるようにしてくれた関係者の皆さんに感謝したいと思います。
試合の内容的には素晴らしいプレーも、良くないプレーもありながらも、自分たちが目指しているラグビーが要所、要所ですごくポジティブな感じで出ていたので、ここからまたチームとして次のステップにレベルアップしていかないといけないと思うようなゲームでしたね。ありがとうございました」
──連敗スタートとなってしまった中、年末年始でネジを締め直したところがあれば教えてください。
「(開幕戦の)東芝ブレイブルーパス東京戦に関して言えば、本当に勝てたゲームだったので、チームもそこで少しショックと言ったらおかしいが、そういう出来事がありました。それで(前節の)コベルコ神戸スティーラーズとのゲームでは、全然自分たちのラグビーができなくて、今日、どういう振る舞いをするかというところでした。過去は変えられないし、これから自分たちがどういう振る舞いをして未来を作っていくか、と。不細工なラグビーでもエナジーやパッション的なものが伝わった試合だったと思うので、来週に向けてもう1回いい準備をしていきたいと思います」
横浜キヤノンイーグルス
梶村祐介キャプテン
「今日に関しては、試合前に選手たちには『自分たちのラグビーを取り戻そう』と伝えてゲームに入りました。内容的には、もう少し自分たちでコントロールしてスコアをできたようなシーンもありましたし、もちろん勝利できたことはチームとして喜びましたけど、改善しないといけないところはたくさんあったと感じました。来週以降もタフなゲームが続くので、今日の結果に満足せずにしっかりともう一度自分たちにフォーカスして次の試合に臨んでいきたいと思います」
──連敗スタートとなってしまった中、年末年始でネジを締め直したところがあれば教えてください。
「最初の2試合に向けた準備を振り返ったときに、満足いく準備はできなかったということは僕だけでなく選手も感じていました。だからこそもう一度、自分たちの準備のクオリティーを求めようと今週1週間は過ごしてきました。練習を振り返ってみても、今週は本当にいい準備ができて、いい攻撃ができて、それがゲームにつながったと感じています。もちろん対戦相手は変わりますが、根本のところは自分たちが大事だと思うので、そこにしっかりとフォーカスをして毎試合準備していきたいと思います」
──次節の相手は開幕3連勝の静岡ブルーレヴズですが、どんなイメージをもっていますか?
「やっぱりセットピースを強みにしてくると思います。今季はアウトサイドに力強い選手がそろっていますし、最初に流れを与えてしまうと引き戻すのはなかなか難しいと思うので、いかにプレッシャーを掛けながら自分たちのペースでゲームを進めていくかが大事だと思います」
──「自分たちのラグビーを取り戻そう」という言葉がありましたが、具体的にどんなシーンでそれを感じられましたか?
「分かりやすいところで言えば、ペナルティからのクイックアタックです。本来ならラインアウトを選択するようなところを、とにかくボールのテンポを上げていきました。走り勝てる自信を常にもっているので、自分たちのフィールドに相手を引きずり込みたいと思い、クイックアタックを多く選択しました。もちろんそれは自分たちにとってもタフですが、相手も相当しんどかったと思うので、そこでプレッシャーを掛けられたと思います」
──今季初勝利の思いを聞かせてください。
「勝てたことはうれしいですが、まだ試合は続いていくので、今日の結果は今日で終わりにして、また明日から次の試合に向けて準備していくことを毎週のように繰り返していくことが重要だと思います」
──福島県、そしてJヴィレッジスタジアムでの試合を行った感想を教えてください。
「グラウンドコンディションも素晴らしかったですし、観客の方との距離がすごく近くて声援を身近に感じました。本当に素晴らしい環境でラグビーをさせてもらえたと思っています」