2025.02.03NTTリーグワン2024-25 D3 第5節レポート(L戸田 6-36 狭山RG)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第5節
2025年2月2日(日)12:00 アースケア敷島サッカー・ラグビー場 (群馬県)
ヤクルトレビンズ戸田 6-36 狭山セコムラガッツ

現状打破は、100%を尽くした先に。リーグワンを知る男が、ブレずにけん引していく

かつては横浜キヤノンイーグルスでプレーしていたヤクルトレビンズ戸田の占部航典選手

トップイーストリーグ時代からの長年のライバル対決は狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)に軍配が上がった。狭山RGのスコット・ピアス ヘッドコーチは「後半にだんだんと(フィジカル面で)ドミネート(支配)できた」と振り返った。これで狭山RGは3連勝。首位のマツダスカイアクティブズ広島を猛追する。

一方、ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)は3連敗となった。河野嵩史ヘッドコーチは「セットピースであれだけマイボールをキープできないと勝ちにつながらない」と指摘。相手の外国籍選手たちのサイズに圧倒された部分もあり、今後の工夫が求められる状況だ。

「セットピースでプレッシャーを掛けられ、そのままずるずるといってしまった。チームに迷惑を掛けたし、僕たちフォワードの責任です」

L戸田のフランカー、占部航典は3連敗という結果を受け、「先のことは考えずに目の前の一つひとつの試合に集中することが大事。自分たちは一番下から上がってきたチームなのだから」と言葉に力を込めた。

占部はかつて20代前半から中盤にかけて横浜キヤノンイーグルスに所属した時期があり、リーグワンのタフで長いシーズンを経験している。一方で今季、リーグワンに初参戦したL戸田はこれからさまざまなことを経験していく立場にある。

「長いシーズンにはいろいろあるし、だからこそ、目の前の結果に一喜一憂せず、チームがやってきたことを信じて遂行すること、日々の練習から今までやってきたプレーの精度や質によりこだわりをもって取り組むことが大事だと思います。当時のイーグルスのベテランの選手たちはやることに一貫性があってまったくブレなかった。そしてあるべきチームの雰囲気づくりに力を注いでいたんです。今度はここで僕がそういう立ち回り方ができればいい。僕ももう若くはないので」

L戸田の主軸である占部はすでに覚悟が決まっている。この試合でも前半に強烈なタックルを見舞ったり、インターセプトからチャンスを構築したり、何度も見せ場を作った。自分がやるべきプレーに迷いがなかった。

「僕ができるプレーを100%で表現すること。それでチームにいい影響を与えることができるのであればそれが最高ですから」

これからもL戸田をピッチ内外で力強くけん引していく。

(鈴木康浩)

ヤクルトレビンズ戸田

ヤクルトレビンズ戸田の河野嵩史ヘッドコーチ(左)、多田潤平 共同キャプテン

ヤクルトレビンズ戸田
河野崇史ヘッドコーチ

「この雨の中、たくさんのお客さんに入っていただき、私たちにとって励みになりますし、選手たちの力になったと思います。ありがとうございます。試合に関しては、やはり、セットピースの部分であれだけマイボールをキープできていないし、その現状を変えなければ勝ちにはつながらないと痛感しています。フィールドの部分では相手に比べて体が小さいぶん、非常にハードワークをしているし、相手のラガッツさんのミスを引き出すところまでいけたことについては良かったです。われわれが課題としていた部分をクリアできたと思っています」

──セットピースの修正についてどう考えていきますか?

「高さの部分はいますぐには変わらないので、スピードだとか、オプションの使い方、サインの出し方などを改善していかないといけないと思っています。リフトやスローインのスキルは各個人でもフォーカスする必要があるし、チームと個人と両方の側面からアプローチしていきたいと思っています」

──後半に差が開いてしまったことはどう捉えていますか?

「やはり、セットピースの部分でマイボールをキープできないことは大きいと思っています。せっかく我慢しながらディフェンスをして、アタックにつなげて、ペナルティをもらって、敵陣のゴール前まで行ったとしても、セットピースでミスを犯してしまえば流れをつかめません。そこから再びディフェンスが始まるわけですが、そこで足が完全に止まってしまったと感じています。相手陣内に入ったときのセットピースでマイボールが継続できれば、得点につながる可能性は高くなりますし、体力面についてはだいぶ走り込んでいますので問題はないかなと思っています」

ヤクルトレビンズ戸田
多田潤平 共同キャプテン

「まずはたくさんの応援をいただき、本当に力になりましたし、試合ができて良かったと思っています。ただ、こういうゲームでノートライに終わってしまったことについては情けないですし、この現実をしっかりと受け止めて、次の試合に生かしていかないといけないと思っています。ヘッドコーチも言っているとおり、セットピースについてラガッツさんがあの高さで臨んでくることは分かっていたので、短い準備期間の中で自分たちがどれだけ準備できたのか。もう一度しっかり振り返って、次の試合に臨んでいきたいと思っています」

──ハンドリングエラーが多かった印象ですが、天候の影響もあったのか、そのあたりはいかがでしょうか?

「もちろん天候の影響はあったと思いますし、ボールが落ちてしまうシーンはありました。そこでうまくつながっていればチャンスにできたシーンはたくさんあったと思います。ラガッツさんが前に出てくる圧力は受けていましたが、その点については十分にバックスがコミットできていたと思います。そこのつながりは継続してやっていきたいし、自分たちが理想に掲げるつなぐスタイルを貫いていけば、必ずトライにつながると思っています。そこは継続してやっていきたいところです」

──アースケア敷島サッカー・ラグビー場での初めてのゲームでしたが、感想をお願いします。

「いろいろな競技場で戦ってきましたが、(グラウンドと)スタンド席が近いことはいいなと感じました。声援を聞くことができるし、歓声が力になると感じました。このような天候でしたがグラウンドの水はけもよく、試合はしやすかったです」

狭山セコムラガッツ

狭山セコムラガッツのスコット・ピアス ヘッドコーチ(左)、飯田光紀キャプテン

狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ

「ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)さんの特徴はよく知っています。毎年、春先には練習試合を行いますし、フィジカル面もだいたい把握している相手です。ただ、今日のゲームについては、前半にディフェンス面でペナルティが多すぎたと思います。ハーフタイムにその話を選手たちに伝えました。そのフィジカル面は後半にだんだんとドミネート(支配)できたところで相手にどんどんプレッシャーを掛けられたと思います」

──L戸田とはこれまで競ったゲームを展開してきましたが、今日のゲームでは後半にフィジカル面で相手を制圧できたと思います。その理由をどう考えますか?

「これまで(トップイーストリーグ時代の)私たちはあまり外国籍選手がいない状況でした。そして60分過ぎにフィジカル面の課題が出てしまう試合が散見していました。今日のゲームについては、(60分を過ぎても)最後までプレッシャーをキープしなければいけないと強調しました。勝ち切るためにはそういう規律が必要になるとずっと考えてきました。それと不用意なペナルティも注意する必要がありました。相手のチャンスはわれわれのペナルティから生まれたものだったからです。そしてもう一つのポイントは、幅の使い方です。われわれには外国籍選手たちを中心にサイズがあるので、激しく狭いゲームもできる中で、毎試合、幅を使ったバリエーションに富んだ攻撃もできるので、相手からすると読みにくいところがあるのだと思います。今日については、雨という天候を考慮しつつ、狭いエリアでの攻防をドミネートしていけたので、幅のある攻撃も生きたのだと思います」

──今日のゲームで5試合が終わりました。次のサイクルに向けて伸ばしたいところはありますか?

「まずはどの試合でもディフェンスの力が落ちないように規律を大事にする必要があります。また、われわれはリーグワンに昇格したばかりのチームなので、このリーグに慣れるためのメンタルの準備も大事になります。今後はメンタル面、そして規律が不可欠になると思っています」

狭山セコムラガッツ
飯田光紀キャプテン

「まずリーグワン関係者の皆さま、グラウンドを貸してくださった関係者の皆さま、L戸田の皆さま、本当に今日はありがとうございました。今日は勝ち切れて良かったのですが、前半に何度かチャンスがありながら自分たちのミスでなかなか得点に結びつけられなかったことは反省点です。ただ、タフに攻め続け、後半になって多くの得点を奪えたことはチームとして良かったところです」

──今日で一巡目の対戦が終わりました。今後、より良くなるために何が必要なのか、考えがあれば教えてください。

「最初のクリタウォーターガッシュ昭島戦は勝ち切れたのですが、そのあとのマツダスカイアクティブズ広島戦は相手のフォワードのコリジョンが激しく、そこで圧倒されたことが負けにつながったと思っています。われわれとしては、コリジョンは伸ばさないといけないと思っているし、ブレイクの激しさ、ディフェンスの幅などを直していきたいと思っています。ただ、全体的にリーグワンでもやれている感触はあるし、結果にも出ていると思います。まだまだ伸ばしていかないといけない部分があるし、チームとして戦いながら伸ばしていければと思っています」

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