NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第8節
2025年3月1日(土)12:00 AGFフィールド (東京都)
ヤクルトレビンズ戸田 12-56 クリタウォーターガッシュ昭島
本来の姿が戻ってきた司令塔。その存在がチームを高い基準へと導く
ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)が、AGFフィールドにクリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)を迎えた一戦。リーグワン参入後、ホストゲームとしては過去最多となる1,090人の観客が詰めかけ、多くのファンの前で勝利を手繰り寄せたかったL戸田だが、WG昭島のパワーゲームに翻ろうされ、12対56で敗れる結果に。L戸田も先制トライを挙げるなど、前半の入りはいい流れを作ったが、その後のシンビンによる数的不利、さらには、この試合でL戸田での公式戦50試合出場を達成した共同キャプテンの小川正志の負傷交替もあり、最後までゲームの主導権を握ることができなかった。
一方で、「なかなかウイングがトライを取れない試合は、ちょっと機嫌が悪くなっちゃうかも(笑)」と、ユーモアを交えて話したのは、WG昭島の司令塔、ピアーズ・フランシス。
「WG昭島は左右どちらからでもアタックできるチーム。僕の役割は選手たちがトライを取るための環境を用意すること。だから、トライを取れないと、ちょっとね」
けがから復帰して3戦目にして、ようやく本来のフランシスの姿が戻ってきた。アタックでは相手をギリギリまで引きつけてからのパスで好機を演出。ディフェンスでは要所で体を張り、何より的確な指示で試合をコントロールする戦術眼が光る。WG昭島にとっては替えの利かない存在だ。それと同時に、イングランド代表として世界トップレベルを経験してきたプレーヤーとして、チームメートに求めるスタンダードは自然と高くなる。
「これから強い相手と対戦する中で、前半の入り方は改善しなければなりません。前に出るときのプレーはとてもいいので、入替戦までに、さらに磨きを掛けていきたいです」
フランシスをはじめ、攻守の核となる選手たちが戻ってきたいま、WG昭島の戦力は整った。第8節終了時点で4位、2位との勝ち点差は6。これまで以上にチームのコミュニケーションを深めながら、スタンダードを高く持ち続けることができるか。シーズン後半戦の巻き返しに期待したい。
(匂坂俊之/Rugby Cafe)
ヤクルトレビンズ戸田

ヤクルトレビンズ戸田
河野嵩史ヘッドコーチ
「多くのファンに見に来ていただきまして、われわれとしては、良いメンタルで試合に臨めたと思います。最初の15分は、しっかり得点も重ね、準備してきたプレーができましたが、やはりあのシンビンからの前半残り20分で、ゲームが壊れてしまいました。個人がシンビンになってしまったものの、チームとして崩れてしまったというのが一番の課題で、そこを修正して次節に臨みたいと思います」
──次節までにどこを改善していきたいですか。
「アタックに関しては取り組んできたものができてきているので、最後の詰めの部分です。ディフェンスに関しては、コミュニケーションを取って、組織でのディフェンスをやっていくしかないと思っています」
ヤクルトレビンズ戸田
多田潤平 共同キャプテン
「多くのファンに来ていただいて、声援がすごく力になりました。試合の流れとしては、ヘッドコーチからもあったような形だと思います。選手としてそれを受け止めて、次にどうやって生かしていくかというところが大事だと思っています。次節は(前回の対戦で)負けている相手(マツダスカイアクティブズ広島)になるので、メンタリティーが非常に大事だと思います」
──クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)には前回の対戦では勝っていますが、今日の試合は印象が違いましたか。
「(WG昭島は)けがをしていたプロ選手が復帰してきたというところが、大きかったかなと思います。プロ選手がいいメンタルをもって連続でアタックしてくるのに対して、われわれが止め切れずに、相手のオフロードパスや、崩す形をきれいに作られてしまったのが一番の敗因かなと思います」
──今日の反省点を踏まえ、次節までにどこを改善していきたいですか。
「(自分は)後半からの出場でしたが、試合を決められるような選手として入れてもらっていると思いますが、まだトライという形につながっていないところがあります。もう一度、チームに勢いを与えるような戦い方というところも意識していきたいです」
クリタウォーターガッシュ昭島

クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ
「スタートが悪く、タックルを決め切れない部分がいくつかありました。前半はキックアウト(自陣からキックを使って脱出する)できない部分があって、相手にトランジションのところでやられてしまいました。ただ、そこからセットピースを起点にアタックして脱出する、という形に変えることで、相手にプレッシャーを掛けることができ、トライにつなげることができたと思います。後半に関しては、最初の20分間はゼロの状態が続いていましたが、チャンスが来たときにトライを取ることができたと思います」
──優勝のためには負けられない試合が続きますが、どういった上積みが必要だと思いますか。
「ディフェンスではタックルの精度を上げていく必要があると思います。アタックに関しては何かを変えるというわけではなくて、いまのものをより伸ばし続けていくということが大事だと思います」
クリタウォーターガッシュ昭島
中尾泰星キャプテン
「試合の入りが良くなくて、先制点を取られてしまいました。その理由は一つひとつのタックルでミスが多かったことだと思っています。前半は風下でエリア的にもしんどかったですが、アタックを継続して、我慢しながらトライを取れたところで、相手が(メンタル的に)落ちたところが見えて、そこでたたみ掛けられたことがよかったです」
──中尾選手はチーム内で最多トライ数ですが、意識して狙っているのでしょうか。
「トライを取ろうと思って取りにいっているわけではないです。モールでのトライは僕のトライというよりも、フォワードのトライだと思っていますが、そういうふうに言われると(今後は)意識してしまうかもしれません(笑)。僕自身のプレーは今日、全然ダメだったなと思います。2、3本スティールされて取られてしまうところがありましたし、ブレイクダウンで相手に下に入られてプレッシャーを掛けられてしまうシーンもありました。見直していきたいです」
──優勝のためには負けられない試合が続きますが、どういった上積みが必要だと思いますか。
「これからは本当に負けられない試合が続きますし、さらにはボーナスポイントもしっかりと取っていかないといけないと思います。自分たちの強みはアタックだと考えていますので、シェイプを作って、いいキャリーをしていけばトライは取れると思います。ディフェンスの部分では強い相手に対しても、しっかりタックルして、2人で(相手の攻撃を)シャットダウンし切ること。その精度を上げれば、勝ち切れると思います」