ジャパンラグビー リーグワン ライジング2025
2025年9月28日(日) 熊野市山崎運動公園多目的グラウンド
三重ホンダヒート 31-21 トヨタヴェルブリッツ
リーグワンライジング プレーヤーエピソード[三重H]
約1年ぶりとなった“15人制”の復帰戦。勇敢さを胸に、二刀流のシーズンへ
「実は昨年大きなけががあって、ほぼ1年ぶりの復帰だったんです。少し緊張したところはあったんですが、結果的に勝利できて本当に良かったです」
三重ホンダヒート(以下、三重H)の宮坂航生は、何か吹っ切れたような表情でそう答えた。今年7月から7人制日本代表(セブンズ)の一員として活動してきた彼であるが、15人制の試合に出場するのは久しぶりだったのだ。
7月28日に三重県熊野市の山崎運動公園で行われたトヨタヴェルブリッツとの『ジャパンラグビー リーグワン ライジング2025』でプレーした宮坂は、2024年に専修大学からアーリーエントリーで加入したものの、けがの影響もあってまだリーグワンでの出場機会はゼロである。
その中で、彼が挑んだのが2028年に行われるロサンゼルスオリンピックに向けて活動を続けるセブンズだ。日本ラグビー協会から声がかかった彼は、チームと相談の上で代表への参加を決意した。
7月の合宿で、男子セブンズ・デベロップメント・スコッドのトレーニングメンバーとなった宮坂は、9月20、21日に中国で開催された『アジアラグビーエミレーツセブンズシリーズ2025』で正式に日本代表のメンバー入り。シンガポール戦と中国戦でトライを奪取して、準優勝に貢献する活躍を見せた。
この挑戦を支えたのが、三重Hの同僚である植村陽彦の存在だった。彼は大学時代からセブンズの一員として活動しており、この夏の合宿や大会でもともに招集されていた。
「植村さんは7人制の経験が豊富な選手なので、本当に心強かった。三重Hのチームメートと一緒に戦えたので、とてもやりやすかったです」と宮坂は振り返る。
一方で、三重Hには7人制日本代表の元主将である本村直樹(昨季限りで引退し、パートナーシップ担当に転身)、リオデジャネイロオリンピックの日本代表であるレメキ ロマノ ラヴァもいるが、「自分がセブンズになってから本村さんとはしゃべる機会がなくて。宇都宮に行ったら会えるので、その機会があればアドバイスをいただけたらなと思っています」と宮坂。レメキについても「もちろん経験豊富な方なんですが、フィジカル面などで選手としてのタイプが全然違いますから、助言をもらいながらいいところを取り入れていきたいです」と語る。
セブンズでの濃い経験はどう生きているのか。「実は……それほど実感はないんです。まだ、セブンズも探り探りでやっているところもあるので」と控えめに答える宮坂に、15人制に戻った印象について聞くと興味深い答えが返ってきた。
「全然違う雰囲気がありましたね。コンタクトの強度も高いですし、試合の序盤は受けに回ってしまった部分もありました。ただ、後半からは慣れてきて、かなりいいディフェンスもできました。そこは良かったところだと思います」
新シーズンの開幕を3カ月後に控えた宮坂は、自身の武器をこう分析する。「僕はほかのリーグワンの選手たちと比べると、体も小さいですし、スピードという部分でチームに貢献したいと思っています」。
一方で、課題も明確に見えている。「まだ積極性という点は乏しいとも感じています。コーチの方からも言われたのですが、もっと自分からいろいろアクションを起こしていける選手になりたいです」。
そんな宮坂がいま、最も大切にしている言葉がある。
「チームでもよく言われているのですが、大事なことは『勇敢さ』。勇気を持ってプレーするということが非常に大事だと僕自身も思っているので、そこを意識しながらやっていきたいと思います」
セブンズで感じた新しい空気と、1年ぶりの復帰戦で得た手ごたえ。宮坂航生の“二刀流”への挑戦が、いま本格的に始まろうとしている。
(籠信明)




























