2025.12.15NTTリーグワン2025-26 D3 第1節レポート(狭山RG 26-40 SA広島)

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第1節
2025年12月13日(土)13:00 足利市総合運動公園陸上競技場 (栃木県)
狭山セコムラガッツ 26-40 マツダスカイアクティブズ広島

敗戦の中の光。初キャップと初トライをつかんだ若手がチームを突き動かす

リーグワン初出場を果たした狭山セコムラガッツの水野陸選手

狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)の水野陸がリーグワンデビューを果たし、自慢のアジリティーを生かして初トライを記録した。

「トライも取れて、何回かいいタックルも決まったのですが、コミュニケーションエラーもありました。相手にボールを取られてしまうことやボールキャリーの部分でいいブレイクができなかったので、悔しい気持ちのほうが強いです」

ルーキーイヤーだった昨季は、一度も公式戦に出場できず、スタンドから仲間たちのプレーを見ていた。チーム関係者が「ボールを持つと何かやってくれそうな予感がすごくある選手」と話すなど、素質は高い。しかし、けがに悩まされるなど、心技体がなかなかそろわぬまま、1年目のシーズンを終えた。水野自身は、「自分の甘さがあった」と口にする。今季を前にトレーニング方法を見直し、食事の改善などにも着手。自分をよりアピールするための努力を続けて、開幕戦での先発出場にこぎつけた。

「試合前の練習のときからすごく鳥肌が立って、めちゃくちゃ緊張していたんですが、いざ笛が鳴ったら、自分のプレーに集中できたのは良かったと思います」と言い、自身のデビュー戦の内容を「60点」と評した。

小学5年生のころにタグラグビーに触れ、中学1年生から本格的にラグビーを始めたという水野。ここまで続けてこられた要因を聞くと「一番はラグビーが大好きということ。あとは、家族やチームメート、指導者など支えてきてくれた人たちに恩返しではないですけど、頑張っている姿を見てもらいたいという気持ちが強いです」と答えた。

狭山RGのウイング陣は個性豊かな選手がそろっており、先発争いも熾烈を極める。だからこそ「いっぱい声を出して、自分からチャンスを作り出そうという意識を強くもつ。もっと信頼を勝ち取って、たくさんボールをもらって活躍できるような選手になりたい」と言葉に力を込める。

チームは初戦で敗れ、ディビジョン3で唯一勝点を逃してしまった。しかし、リーグ戦は始まったばかり。水野のように昨季から力を伸ばしている選手も多くそろっているだけに、あとは浮上するのみと言えるかもしれない。

(松野友克)

狭山セコムラガッツ

狭山セコムラガッツのスコット・ピアス ヘッドコーチ(左)、飯田光紀キャプテン

狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ

「最初の20分は悪くありませんでした。でも、ペナルティが多すぎます。後半は少なくなったし、プレッシャーをキープできるならよかったのですが、ペナルティでキープもできなくなってしまいました。前半、相手は3トライを決めていますが、チェイス(チェイス・ティアティア)の後ろへのパスミスがなければ、もうちょっと違う展開になっていたかもしれません。もう少しプレッシャーも掛けられればよかったですけど、開幕戦ですし、まだ14試合残っています。ラックのシステム(の影響)もありますが、同じ仕事を二人でやっているから手間が多くなってしまいました。ただ、これから修正はできると思いますので、来週に向けて頑張っていきます」

──ハーフタイムでは、選手たちにはどのような指示を出したのでしょうか。

「プロセスを信頼しなさいということです。前半30分ぐらいまでは本当に素晴らしいディフェンスをやっていました。でも、リードしているのにペナルティが多くなって相手に攻められてしまった。ラックのことも言いましたけど、展開の判断もしなければいけません。ただ、この試合からいろいろと学べることは多かったと思います。エラーも多かったですし、これからどうするのかが大事なので、来週に向けてどうするのかが重要になってくると思います」

狭山セコムラガッツ
飯田光紀キャプテン

「まずは、リーグワン関係者のみなさん、グラウンド運営のスタッフのみなさん、本当に素晴らしいグラウンドを提供していただきありがとうございます。今回の試合は、入りの部分はすごくよかったのですが、そのあとの自分たちのペナルティ、規律の部分でミスを犯してしまって、中盤でのターンオーバーで自陣に入られてトライを取られてしまうような形が多くなってしまったので、自滅してしまったゲームだったと思います」

──先程、自滅という言葉もありましたが、前半30分にトライを奪われてからは、少し緊張の糸が切れたような感じもあったように思うのですが、どうでしょうか。

「守り切れたはずのシーンはけっこうあったと思うのですが、トライを取られてからコネクションの部分とペナルティの部分で相手にチャンスを与えてしまったかなという印象はあります」

マツダスカイアクティブズ広島

マツダスカイアクティブズ広島のダミアン・カラウナ ヘッドコーチ(左)、嘉納一千ゲームキャプテン

マツダスカイアクティブズ広島
ダミアン・カラウナ ヘッドコーチ

「今日勝利できたことはうれしいです。昨日は長い移動があった中で、選手がいいパフォーマンスを出してくれたことは、すごく誇りに思います。でも、今日の試合では、われわれがもう少しコントロールできただろうとも思っています。立ち上がりに相手に簡単にスコアを許してしまい、流れを与えてしまいました。そして、われわれの規律の部分がアタック、ディフェンスともに足りなかった部分があると思います」

──イヤな流れの時間帯もありましたが、前半30分に反撃のトライを挙げてから、選手がようやく気持ちの整理がついたような印象も受けました。そのあたりはどのように感じていますか。

「先ほども言ったように、立ち上がりにミスがいろいろとあったので、見ていてイライラしていたのは事実です。でも、開幕戦なので、そういった小さいミスは簡単に改善できると思います。来週の試合では、もっと強いチームになっていると思います」

マツダスカイアクティブズ広島
嘉納一千ゲームキャプテン

「ヘッドコーチが言ったように、まず勝てたことは、すごくチームとして大きな1勝だったと思います。試合の状況としても僕としては簡単なミスが少しありましたが、そこに対してチームがリアクションでカバーしてくれたので、今日はみんなで勝ち取ったという印象です」

──イヤな流れの時間帯もありましたが、前半30分に反撃のトライを挙げてから、選手がようやく気持ちの整理がついたような印象も受けました。そのあたりはどのように感じていますか。

「開幕戦でみんなが少し硬くなっていた部分もありましたので、そういう状況が起こり得るというのは、ゲームメーカーとして試合前から予想していたことです。僕自身、今週の試合ではキャプテンもやらせていただきました。特にファーストトライを取るまでの時間はなかなか得点できなくて、フラストレーションも溜まる状況だったのですが、しっかりチームの中でコミュニケーションを取って、ファーストトライにつなげられました。そこから自分たちの流れになっていったので、良かったのかなというふうに思います」


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