NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第15節(リーグ戦)カンファレンスB
2026年4月18日(土)14:30 豊田スタジアム (愛知県)
トヨタヴェルブリッツ 24-38 コベルコ神戸スティーラーズ
100試合の歴史が物語る“あるべき選手像”。日本屈指の名手から受け継がれる意思
力強く蹴り出された楕円球がゴールポストの間を通過した瞬間、80分の経過を告げるホーンが鳴り響いた。コンバージョンキックを決めた松田力也は「残り20秒ほどあったので、普通なら『いける』と思ったけど、体力的にキツかったので(髙橋)汰地にボールを持ってきてもらった」と振り返る。普段であれば呼吸を整え、60秒をフルに使うコンバージョンキック。しかしこの場面では素早く蹴り切り、それを成功させたトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)は、ギリギリで“もう1プレーできる”権利を手にした。
このとき、トヨタVが狙っていたのは勝利ではなく、7点差以内で得られるボーナスポイントの『1』だった。結果として目標には届かなかったものの、松田は「トヨタVのラグビー、最後まであきらめない姿勢はスタジアムに来た全員に見せられたと思う」と胸を張った。
この試合は松田にとって公式戦通算100試合出場の節目でもあった。スティーブ・ハンセン ヘッドコーチは、チーム全体の奮闘を称えた上で「高いレベルを保ちながら成長意欲を持ち続けており、若手の模範になっている」と松田を評価した。
その松田から最も影響を受けている存在が小村真也だ。日々の練習では最後までともにキックを重ね、技術を磨き合う。試合でも背中から学ぶことが多いという。「最後のトライも松田さんのキックコールで生まれたもの。キックの精度もゲームコントロールもリーグ屈指の選手です。日頃からお世話になりっぱなしだからこそ、100試合の節目で勝ちたかった」と、小村は悔しさをにじませた。
松田は昨季、股関節脱臼骨折という選手生命を脅かす大けがを負った。それでも復活を果たし、この節目にたどり着いた。試合後には家族や対戦相手も交えた記念撮影が行われ、その光景は彼の人望の厚さを物語っていた。それを間近で見た小村は語る、「将来はこんな選手になりたい」と。日本屈指のスタンドオフは、勝敗を超えて“あるべき選手像”を示していた。
(斎藤孝一)
トヨタヴェルブリッツ
トヨタヴェルブリッツ
スティーブ・ハンセン ヘッドコーチ
「まず、松田力也の(公式戦通算)100キャップについて触れたいと思います。このレベルで長期間プレーし続けていることは非常に素晴らしく、チームを代表して敬意を表したいです。
試合については、勝てる可能性があっただけに残念な結果です。ただし、選手たちの努力を疑うことはありません。コベルコ神戸スティーラーズのような強豪との試合では、一つひとつのプレーを確実にモノにする必要がありますが、それができなかった場面がいくつかありました。また、チームとして落ち着きを欠く時間帯もありました。ゴールライン前5メートルのラインアウト(でトライ)を取り切れなかったことや、インターセプトから失点につながった場面は大きなポイントでした。こうした試合では細部が勝敗を分けますが、それらはチームにとって大きな学びでもあります。
一方で、選手たちは勝っているときも負けているときも、努力や感情、強い意志を見せてくれましたし、さらに成長しようとする姿勢も感じています。それがチームの原動力になると考えています。自信と信念を失わず、次に向けて課題と向き合いながら、良い部分を伸ばして成長していきたいと思います」
──松田力也選手がチームにもたらしている影響について、教えてください。
「彼はキャリアをとおして高いレベルを維持し、日本ラグビーに大きく貢献してきた選手です。ゴールキックの精度に加え、スピードやフィジカル面でも高い水準を保っており、ゲームの組み立てにも優れています。また、常に成長意欲を持って取り組む姿勢が若手の手本となっており、小村真也のような若い選手にとって非常に良いロールモデルになっています」
トヨタヴェルブリッツ
彦坂圭克バイスキャプテン
「80分をとおして多くの時間帯で、自分たちが準備してきた戦術やフィジカルを発揮することができました。ただし、一部の時間帯で相手に流れを渡し、得点につなげられてしまった点は反省が必要です。良い時間帯をさらに増やせるよう、来週に向けて修正していきたいと思います。残り3試合ありますし、プレーオフトーナメント進出の可能性もあると考えているので、引き続き取り組んでいきます」
──ラインアウトの修正について、どのように考えていますか。
「次戦に向けて、確実に獲得できるよう修正していきたいと思います」
コベルコ神戸スティーラーズ
コベルコ神戸スティーラーズ
デイブ・レニー ディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ
「チャンスは非常に多く作ることができましたが、得点し切れない場面も多くありました。トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)さんはスクランブルディフェンスで粘り強く対応してきましたが、私たちもそれに対応しながら、最終的にはトライまで持ち込むことができました。イエローカードが2枚出た中でも、対応は問題なくできたと思います。全体として内容は良かった一方で、ペナルティについては改善が必要だと感じています」
──今日の試合で最も良かった点を教えてください。
「トヨタVさんにとっては、トップ6入りに向けて非常に重要な試合であり、松田力也選手の100キャップという節目も重なり、モチベーションの高い状況だったと思います。その中で、私たちはさらに一段階レベルを上げ、自分たちの意図するプレーの精度やハードワークの質を高める必要がありました。試合としては、もう少し早い段階で突き放すべきだったと感じていますが、努力の部分は非常に評価できる内容でしたし、今後に向けても重要な要素だと思います」
コベルコ神戸スティーラーズ
ブロディ・レタリック共同キャプテン
「勝ち点5を獲得できたことは良かったと思います。一方で、ターンオーバーや本来フィニッシュすべき場面で決め切れなかったシチュエーションが多かった点は課題です」
──相手のラインアウトを何度も奪えていましたが、振り返っていかがでしょうか。
「事前の分析の成果に加え、試合に出ていない選手たちが、相手の想定される動きをトレーニングで再現してくれたことで、良い準備ができました。それが大きな要因だと思います。ラインアウトディフェンスについては、シーズンをとおしてさらに成長させていきたいと考えています」



























