NTTリーグワン2024-25 見どころ&注目選手
[DIVISION 2]

栄光に向かって翔べ。D1で勝てるチームになるために

NECグリーンロケッツ東葛

今季のNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は、チームスローガンに『PLAY WITH PRIDE, FLY TO GLORY』(誇り高くプレーし、栄光に向かって翔べ)を掲げる。そこには、昨シーズン果たせなかった「ディビジョン1昇格という栄光に向かって翔ぶ」という意味が込められている。

バイスキャプテンを務める山本耕生は「ここまでの感触は良い」とプレシーズンを振り返る。田中史朗が昨シーズン限りで現役を引退し、レメキ ロマノ ラヴァもチームを離れた。一見すると大幅な戦力ダウンとも取れるが、「昨シーズンまではマノさん(レメキ)の力に頼ってしまっていたけど、今シーズンは一人ひとりの自責の念が芽生えた」(山本)と、国内トップクラスの実力を誇る選手の引退と移籍は、新チームにプラスの作用をもたらした。「誰かに頼るのではなく、自分がなんとかしなければいけない」。そんな責任感が増した選手たちは、グラウンド内外を問わず積極的にコミュニケーションを図り、プレー面の要求は格段に増えた。

昨シーズンに続き、チームを率いるのはウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ。かつてはウェールズ代表ヘッドコーチとして、2021年のシックスネーションズチャンピオンシップを制した指揮官は、幅を使ったスピーディーなラグビーをGR東葛に植え付けた。2シーズン目を迎えたピヴァック体制の継続もまた、チームの強みとなるだろう。

そしてそこに加わるのが、多彩な顔ぶれの新戦力たちだ。リース・パッチェルはラグビーワールドカップ2019に出場したウェールズ代表のスタンドオフであり、キックとランを駆使してチームのアタックを加速させる。さらに、ラインアウトやスクラムで抜群の存在感を示すパリパリ・パーキンソン、セブンズ日本代表のスピードスター・髙井良成といった個性豊かな選手が加わった。山本も「アタックのバリエーションは昨シーズンよりも広がっている」と新チームの仕上がりには自信を覗かせている。

ただD1に昇格することが目標ではない。D1でも勝てる強いチームを目指して、GR東葛の新たな挑戦が始まる。

(鈴木潤)

●注目選手 SH ニック・フィップス

オーストラリア代表72キャップを誇る、ラグビーワールドカップ2015準優勝メンバーの一人。巧みなハンドリングとスピーディーなパスで攻撃を組み立てるだけでなく、勇猛果敢なディフェンスでチームを引っ張るスクラムハーフだ。今シーズンは新キャプテンに就任し「自分の経験とラグビーへの熱意を生かし、チームをリードできるよう全力を尽くします」と意気込みを口にする。グラウンドでは常に熱くチームを鼓舞するリーダーは、同時に周囲へのリスペクトを抱く人格者でもある。

SH ニック・フィップス

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「D2で一番成長したチーム」が見据えるもの

九州電力キューデンヴォルテクス

ディビジョン3から昇格し、D2への挑戦となった昨季はレギュラーシーズンを2勝8敗。4~6位順位決定戦を経ての5位という成績に終わった。しかし、結果以上に中身は充実したものだった。レギュラーシーズンで喫した8敗のうち4敗は5点差以内。「チームのDNA」(ウォーカーアレックス拓也)である伝統の堅守は通用。「D2で一番成長したチーム」(山田章仁)と確かな自信を得た。

今季の目標は「トップ2に入り、D1への挑戦権を得る」(アレックス)というもの。昨季はシーズンテーマに『NEXT LEVEL』を掲げたが今季は『BE TOUGHER』を新たに掲げている。その解釈についてウォーカーは「二つある」と話す。

「一つはシンプルにタフになるということ。厳しい練習を乗り越える。試合の中の厳しい時間を乗り越える。もう一つは仲間に良い意味で厳しくなるという意味でのタフ。自分たちはチームメートとして互いのことをリスペクトはしているんですが、やっぱり仲良しクラブではいけない。仲間のことを思うからこそ、あえて厳しいことを言う」

昨季はクロスゲームを再三、演じてきたが勝ち切れなかった。周囲から掛けられる「良い試合だったね」という言葉はチームに、選手たちに悔しさを覚えさせた。良い試合ではなく、勝つために。今季のチームは「小さいところを詰めようという努力ができている」とウォーカーは自信を見せる。

チームのDNAである守備に自信があるからこそ、昨季勝ち切れなかった一因であるアタックの質向上にチームは意欲的に取り組んでいる。「22mラインの内側に入っていかに点を取り切って自陣に帰れるかというところが今季の大きなテーマ。アタックの部分で新たな武器を取り入れているのでその精度を高めていきたい」(ウォーカー)。

昨季の悔しさをバネに今季は練習の質も向上。シーズンテーマを全員が体現するようにタフな集団へと変貌を遂げつつある。良いチームから勝てるチームへ。今季の九州KVは変貌を遂げる。

(杉山文宣)

●注目選手 WTB 山田章仁

一昨季はインパクトメンバーとしてのプレー(途中出場)が中心だったが、昨季は先発の機会も増加。キレのある動きとトライへの嗅覚は健在で、昨季D2第4節・日本製鉄釜石シーウェイブス戦では地元・北九州でトップリーグ時代からの公式戦通算100トライを達成するという劇的なドラマも生み出した。来年の7月には40歳を迎えるが、世界を知る北九州のヒーローは「スプリントの質、量が上がっているのは事実でデータにも表れている」といまだ衰え知らず。今季はどんなドラマを生み出すのか、目が離せない。

WTB 山田章仁

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再び挑むD2のステージ。昇降格の先にあるレベル『UP』へ

清水建設江東ブルーシャークス

4年目に突入するリーグワンで、清水建設江東ブルーシャークスはこれまで昇格と降格を繰り返してきた。初年度にディビジョン3からD2へ昇格するも、2年目にD3へ降格。そして昨シーズン、D3で2位となり、見事に1年で復帰するという目標を達成した。しかし、「昇格することがゴールではなく、D2でいかに戦えるチームになるか」と、その先にも焦点を当てて取り組んでいる。

今シーズンはチームスローガンに『UP~Unit Pride~』を掲げた。心技体すべてのレベルを『UP』して、昇降格を繰り返す“エレベーターチーム”からの脱却を図る。

チームが得意とするのは、数的優位を生み出すアタックだ。他の強豪チームには体の大きさで劣る部分があるものの、それを人数で上回り、スピードと連係力で圧倒する。意識的に早く動く、体力面を強化してスピードを落とさない、といったシンプルな個々のプレーに加え、筆記テストやアプリを活用することで戦術理解をメンバー全員に浸透させてきた。「この次はこう動く」という明確な共通認識を持つことで、相手より早く動くことができ、全体のプレーにも一貫性が生まれている。

フォワード陣も万全だ。若手とベテランが混在しながらも、「誰が出ても勢いを出してくれる」と吉廣広征ヘッドコーチは胸を張る。さらに、「スクラム、モールなどのフォワードの戦いはどのチームにも絶対負けない、ということを強調してきた。プレシーズンも成果が出ている」という。一方、バックス陣は、元ニュージーランド代表(オールブラックス)の10番、リマ・ソポアンガを筆頭に、もともとアタックを得意とする選手が多く、ボールを動かす点を強みとしてきた。

キャプテン2年目となる白子雄太郎は、チームスローガン「Unit Pride」に触れながら「フォワードはセットピース、バックスはフェーズのアタックとディフェンスに力を入れて、時間をかけてやってきた」といい、各ユニットが一体となって取り組んできたことを語る。「自信はあります」と語気を強めた。

目標はトップ4。二度目のD2で他クラブに食らい付き、定着することはできるのか──。『ブルーシャークスラグビー』が試されている。

(奥田明日美)

●注目選手 PR 野村三四郎

今シーズンのキーとなるフォワードで、スクラムリーダーを担う24歳。昨シーズンで5kg増量し一回り大きくなったフィジカルと、「何でも耐えられる」(白子雄太郎)という強いメンタルでチームに安定感をもたらす。普段は優しい性格だが、ラグビー中の鬼気迫るプレーは必見。チームメートの間では歌唱力も高く評価されており、よく歌うのはVaundyの「怪獣の花唄」。

PR 野村三四郎

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届かなかった勝点「1」。“お膝元”で悲願達成を

豊田自動織機シャトルズ愛知

昨季はディビジョン2を2位で勝ち抜き、三重ホンダヒートとのD1/D2入替戦に臨んだ豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)。その入替戦では勝利数で並んだものの、勝点差で「1」届かず。昇格を逃した。今季はより強い覚悟で昇格に挑むシーズンになる。

そんな今季のスローガンは『SEAMLESS WE ARE ALL CONNECTED "OUR BEAT"』。徳野洋一ヘッドコーチ体制6年目を迎え、これまで積み上げてきたスタイルをブラッシュアップし、それをつなぎ目なく発揮できるかどうかがカギになる。また、選手、コーチ陣、スタッフなど、チームとしても一体となってD1昇格を目指す。

D2は今季より6チームから8チームに拡大し、D1との入替戦への出場枠も3枠から2枠に減った。より厳しいシーズンになることは間違いない。ケレビ ジョシュアは「昨季のチームは良いときと悪いときの波が目立った。今季は良い調子をキープできるようにしたい」とシーズン中のコンディション調整をキーポイントに挙げる。昨季チーム最多タイの6トライを奪い、セブンズ(7人制ラグビー)日本代表としてパリ五輪にも出場した副将は、「試合間隔が空くときもあるし、連続して試合が続くこともある。同じリズムで試合に臨めることができるようにしたい」と意気込んだ。

また、これまで拠点としてきたパロマ瑞穂ラグビー場が改修工事を行うため、今季は愛知県刈谷市にあるウェーブスタジアム刈谷に戦いの場を移す。S愛知にとっては、練習場や母体となっている豊田自動織機の本社がある、まさにお膝元だ。そんな地元で多くの人に観戦してもらえるよう、選手たちの躍動を期待するのはもちろんのこと、クラブとしてもさまざまな施策でファンを獲得していきたい。

昨季の悔しさを経験しているからこそ、より強い渇望に変わったD1昇格という目標。それに向かってクラブの総力を挙げて突き進んでいくことができれば、きっと笑顔でシーズンを終えられるはずだ。

(齋藤弦)

●注目選手 FL/NO.8 鄭兆毅

U19台湾代表の経験を持つ、天理大学より加入した台湾出身の25歳。大学の先輩であるケレビ ジョシュアからも「努力の人」と称されるほど、練習からアピールを続ける向上心の塊だ。ディフェンスにこだわりを持ち、80分間全力でプレーできるのが特長。プレシーズンマッチで多くの出場機会を得て経験を積み、「若い選手でもリーダーシップを張れるように」(鄭)と常に上を見据える。今季の目標は「レギュラー奪取」。

FL/NO.8 鄭兆毅

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過去にないほどの期待感。鋼のように強い波を起こす

日本製鉄釜石シーウェイブス

昨季と一昨季は入替戦に勝利してディビジョン2残留を勝ち取ってきた日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)だが、今季はD2トップ4入り、そしてその先にあるD1昇格を目指すシーズンとなる。

今季のスローガンは『STEEL WAVE』。クラブの象徴的なワードである『鉄』『波』を組み合わせた造語には、ピッチ上で「強い決意と勇気を胸に、鋼のような波を起こす」という思いが込められている。

上位進出を実現すべく、須田康夫ヘッドコーチが提唱するのが『WAVE rugby』だ。このハイプレッシャーを基軸とする新スタイルは、相手の考える時間を削り、判断とプレーの質を低下させながら、波のごとく相手を飲み込むような支配力が真骨頂だ。このスタイルは順調にチームに浸透しており、プレシーズンマッチでも成果を挙げている。D1の静岡ブルーレヴズに敗れたものの、そこからD2、D3の相手と対戦し5連勝。須田ヘッドコーチは今季始動の際、「WINNING CULTUREを身に付けたい」と勝ち癖の重要性を話していたが、開幕前の段階ではこれを現実のものとしており、「プランどおりに進んでいます」と充実の時間を過ごしている。

阿部竜二も「ミスをしてもいいから、スタイルを徹底することをチームで共有してきました。勝っているので、改善を進める中でもポジティブなマインドで取り組めています」と確かな手ごたえを強調。内容的に収穫の多い試合を経て、チームの好調な仕上がり具合を見せている。

新加入選手ではキッカーも務めるスタンドオフのミッチェル・ハントがプレシーズンマッチで存在感を発揮。さらにチームビルディングに刺激を与えているのが今季加入した若手選手たちだ。非常に真摯でハングリー。彼らの立ち居振る舞いがチームのカンフル剤となり、競争力をもたらしている。

また、11月にはクラブハウスが新設され、従来のものから大幅なグレードアップを果たした。選手たちが本格的に利用するのは1月からになりそうだが、設備面でも充実度が増し、コミュニケーションやコンディションの面でも大きくプラスに働くはずだ。

戦力、仕上がり、そして向上心。順調に歩みを進める今季は過去にないほどの期待感を背負って、勝負のシーズンに臨む。

(髙橋拓磨)

●注目選手 SH 村上陽平

2021年に加入した宮城県気仙沼市出身の村上陽平は、今季、キャプテンに就任した。「これまでは副キャプテン人生だったんですよね(笑)。しゃべるのも得意なタイプではないですし」と明かすが、「率直に思ったことをチームに発信していきたい」とチームをリードする気概は十分。スクラムハーフとして俊敏かつ正確なパスで試合のリズムを構築する26歳には須田康夫ヘッドコーチも「久しぶりの社員キャプテンでもありますし、彼らしくチームの力になってほしい」と期待を寄せる。

SH 村上陽平

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D1再昇格へのチャレンジ。注目は充実のハーフ団

花園近鉄ライナーズ

D1/D2入替戦で敗れ、3シーズンぶりにディビジョン2を戦う花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)。シーズン終盤には強豪相手にも互角の戦いを見せる試合もあり、確かな成長を見せながらも、要所でのミスや甘さに泣き、D2からの出直しを余儀なくされた。

日本ラグビーフットボール選手権大会で過去3回の優勝経験を持つ古豪に課せられるミッションは、言うまでもなく1シーズンでのD1復帰である。今季のチームスローガンは「All Attack(オールアタック)」。昨季に続いて引き続き指揮を執る向井昭吾ヘッドコーチは「D1に必ず上がる目標がある。昨季はトライが取れなかった。トライを取りに行くラグビーをやってきている」と攻守両面でアグレッシブな姿勢を追求するチームの方針を口にした。

2シーズン連続の最下位には終わったものの、昨季のD1では「二枚看板」でもある元オーストラリア代表のクウェイド・クーパーとウィル・ゲニアに頼らないチームづくりを見せ、シーズンの終盤には河村謙尚ら若手も台頭。主力の大半が残留し、日本代表でもあるサナイラ・ワクァやラグビーワールドカップ出場歴もあるセミシ・マシレワも健在だ。

チームは確かな上積みを見せてきたが、1年でのD1復帰に向けてクラブも本気のテコ入れを図ってきた。

新加入選手は8人だが、国内外から即戦力級クラスが加わった。最大の目玉は元オールブラックスで22キャップの経験を持つアキラ・イオアネだ。また、トヨタヴェルブリッツから加わった丸山凜太朗は「出場機会を求めてきたし、このチームと一緒に成長したい」と意気込みを口にしている。ウィル・ハリソンもU20オーストラリア代表の経験を持つ逸材で、元オーストラリア代表のレジェンド二人を筆頭にハーフ団の陣容もD2屈指の顔ぶれになった。

12月7日に行われた、D1所属のコベルコ神戸スティーラーズとのプレシーズンマッチでは36対36で引き分け。伝統的にスクラムの強さには定評を持つ花園Lは、D1昇格を最優先の目標にしながらも、D1でも通用するチームベース作りという「二兎」を追うシーズンになる。

(下薗昌記)

●注目選手 NO8 アキラ・イオアネ

ラグビーワールドカップに出場した世界的スターも数多い花園Lに、新たな名手が加わった。ニュージーランド代表(オールブラックス)で21キャップの経験を持ち、7人制ラグビーでもリオ五輪に出場したアキラ・イオアネである。「若手の成長をサポートしたい。あとは自分のプレーでもインパクトを残したい」と11月の新体制会見で決意を語ったが、向井昭吾ヘッドコーチも「ディフェンスを切り裂く選手がウチには少ない。ボールを前に持っていくプレーをしてほしい」と期待を寄せる。

NO8 アキラ・イオアネ

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D2に再挑戦。バージョンアップした『エキサイティングラグビー』

日野レッドドルフィンズ

昨季は10勝1分1敗という驚異的な成績でディビジョン3優勝を果たした日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)。チームスローガンは今季も『EXCITING NEW CHALLENGE』を継続して掲げる。「D2に戻った形ですが、選手の意識はまったく違う。ボールをつなぐエキサイティングラグビーをさらにバージョンアップした『新しいチーム』としてチャレンジします」と笠原雄太キャプテンは熱い思いで今季に臨むと宣言した。

苑田右二ヘッドコーチ体制となって2年目。強敵居並ぶD2においても昨季から取り組む“人もボールもハイスピードで動いてどこからでも攻撃が飛び出す、観る者をワクワクさせるラグビー”を繰り広げて、ファンの心をわしづかみにする。

笠原キャプテンは「ラインアウトはじめセットピースを重視して練習を重ねているが、新外国人選手を始め、新戦力がとてもフィットしている」と、夏から進めているチーム作りの手ごたえを口にする。ニュージーランドとトンガの代表歴があり変幻自在なパスを出すオーガスティン・プル、高さを武器にラインアウトで相手を圧倒する元オーストラリア代表のローリー・アーノルド、正確なキックが武器のサイモン・ヒッキーの3人は残留しチームの軸となるほか、新戦力としてレッドハリケーンズ大阪からジョシュ・フェナーが加入。南アフリカのシャークスからマリー・コスターが加わり選手層は厚くなった。またセブンズ(7人制ラグビー)日本代表に専念していた福士萌起の合流でウイングのポジション争いもより熾烈に。スクラムハーフでは昨季バイスキャプテンを務めた橋本法史が浦安D-Rocksに移籍したが、「畑田康太朗も伸びているし、日野RDで2年目となる篭島優輝もさらに充実したプレーでしっかり穴を埋めてくれています」(笠原)と不安はない。

「目標はもちろん優勝です。開幕から白星を奪って勢いをつけ、昨季同様に序盤から一気に上昇気流に乗っていきたい」と笠原キャプテン。選手同士の結束力は相変わらず強固だ。チーム一丸となって勝利を積み重ね、そしてD1へと駆け上がる。

(関谷智紀)

●注目選手 FL 中鹿駿

昨季は9トライを挙げてディビジョン3優勝に大きく貢献。速くテンポの良いパスをつないで相手陣に攻め込む『エキサイティングラグビー』の核となる存在だ。攻撃でも守備でも常に体を張り、豊富な運動量で献身的に走り回る。笠原雄太キャプテンも「いつも元気な姿でチームに勢いをもたらしてくれる存在。フォワードをまとめる高いリーダーシップも持っている」と絶大な信頼を寄せる。ゲインラインを力強く突破しトライを“決め切る力”にも磨きがかかった。D2の舞台でも得点源となる。

FL 中鹿駿平

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もっと大阪に根ざしたクラブへ。軸とするのは『タフ』『規律』『絆』

レッドハリケーンズ大阪

大阪府大阪市をホストエリアとする、レッドハリケーンズ大阪。2023-24シーズンに刷新したユニフォームでは、背面襟元の『OSAKA PRIDE』の下に大きく大阪市内の区の名称が記されていることが話題となった。昨季は先発メンバーの背番号1から15まで連携協定を締結した順に区名が記されていたが、今季は開幕までに23区との連携協定を締結(12月9日現在)。クラブスローガンには『大阪UP』と掲げ、リザーブメンバーの背番号23までがそれぞれ連携協定を結んだ区を背負い、愛する大阪のため、大阪の街になくてはならない存在になっていくため、戦ってゆく。(なお、大阪市には全部で24区あるが、“残り福”の24区目にはファンナンバーの背番号24を使用する予定で当初から計画を進めている)

今季は、これまでコーチングコーディネーターなどを歴任してきた松川功がヘッドコーチに就任した。キャプテン3季目となる杉下暢がチームをけん引し、バイスキャプテンには、若手からフッカーの島田久満とルーキー・山口泰輝、キャプテン経験もあるベテランの茂野洸気が就いた。クラブキャプテンは、鶴田馨が務める。

泥臭く戦える勤勉な選手が多いことを踏まえた上で、チームの軸とする3つのワードは、『タフ』『規律』『絆』。ピッチ内外問わず、この3つを重んじながら「これまでのチームの文化を引き継ぎ、より向上させていきたい」(松川ヘッドコーチ)。

初めてディビジョン2を戦った昨季、第10節には9,171人の観客数でD2の最多入場者数を記録。レギュラーシーズンのホストゲーム5試合では、平均入場者数が6,000人を超えた。区民アンバサダーなど地域貢献・社会貢献活動を通じて出会った人たちからの声援は、大きな支えと励みになった。

一方で、目標としていた順位には1段届かず、4位で終えた。ディフェンス面、特にコリジョン(接点)に課題が表れたことから、今季はシーズン前の合宿からS&C(ストレングス&コンディショニング/体づくり、パフォーマンス向上を図るトレーニング)に取り組む期間を長く取り、改善に努めてきた。プレシーズンマッチでも手ごたえを得て、開幕に向かっている。目指すは、「D2のトップ2入り」(杉下)。昨季は叶わなかった、D1との入替戦に挑みたい。

(前田カオリ)

●注目選手 WTB 西川賢哉

明治大学から加入のルーキー。シーズン前の合宿でMVPを獲得した勢いそのままに、プレシーズンマッチでは4試合中3試合でチームのファーストトライを挙げたウイング。「スピードがあるので、狭いスペースでも勝負でき、攻守の切り替えの際にもすぐに顔を出せるところ」(杉下)は強み。今季チームで意識しているというボールやスペースを”ハンティング”することにも、その強みを生かして貢献できそうだ。ハリケーンの目となるか。

WTB 西川賢哉

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Teams

DIVISION 1

  • 浦安D-Rocks
  • クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
  • コベルコ神戸スティーラーズ
  • 埼玉ワイルドナイツ
  • 静岡ブルーレヴズ
  • 東京サンゴリアス
  • 東芝ブレイブルーパス東京
  • トヨタヴェルブリッツ
  • 三重ホンダヒート
  • 三菱重工相模原ダイナボアーズ
  • 横浜キヤノンイーグルス
  • リコーブラックラムズ東京

DIVISION 2

  • グリーンロケッツ東葛
  • 九州電力キューデンヴォルテクス
  • 清水建設江東ブルーシャークス
  • 豊田自動織機シャトルズ愛知
  • 日本製鉄釜石シーウェイブス
  • 花園近鉄ライナーズ
  • 日野レッドドルフィンズ
  • レッドハリケーンズ大阪

DIVISION 3

  • クリタウォーターガッシュ昭島
  • 狭山セコムラガッツ
  • 中国電力レッドレグリオンズ
  • スカイアクティブズ広島
  • ヤクルトレビンズ戸田
  • ルリーロ福岡
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