NTTジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1(リーグ戦) 第15節 カンファレンスB
2022年4月30日(土) 13:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
リコーブラックラムズ東京 17-64 トヨタヴェルブリッツ
トヨタヴェルブリッツ
サイモン・クロン ヘッドコーチ
「非常に良い試合だったと思います。前半の立ち上がりも良かったです。ポゼッションコントロールも良かったですし、ブレイクダウンにも相手より早く行く、そういったところで全てのオプションを使うことができました。アタックとディフェンスの切り替えといった点でも非常に良かったですし、ディフェンスでも接点で相手を倒して、しっかり相手のラックをスローボールにすることができました。そこからディフェンスラインとして相手にプレッシャーを与えに行く、そういったことを繰り返すことで全体的には非常に良いパフォーマンスでした。しかしながら幾つか学びもあるので次節に向けて修正していきたいと思います」
──今日の試合は、攻めが多彩でこれまでに無いタイプだったように見えたが、それができた要因は? また次のサントリー戦に向けて意気込みを。
「今節においては特にFWのリロード、自身のポジションに入るところが早かった、という点が挙げられます。そういった結果、全員がオプションになることができていました。特に12・13番の間のコミュニケーションが非常に良くなっており、両名とも常に動きができている状態だったことが良かった。サントリー戦に向けては今節で反省した点を見返して次に集中して、引き続き奪うといった形でテイクのマインドセットを続けていきたいです。チーム一丸となってプレーをする、そこが大切だと思います」
──姫野選手の怪我の状態は?
「姫野に関してはハムストリングがタイトネスだったため、硬さが出たといった形だったが、ターンオーバーを出したり、良いプレーをしていました。状態に関してはチームのメディカルチームが評価をし、明日のリカバリーを考えてから、だと思います」
──試合の入りのところで姫野選手が怪我してしまった。凄く働いていた中で下がってしまったが、チームとして心象・影響は?
「姫野が負傷しても、共同キャプテンの茂野が全てを仕切ってくれますし、交代で入った佐藤穣司に関しても最高のプレーを見せてくれました。姫野がいなくても全員でやり切れたと思います」
トヨタヴェルブリッツ
茂野海人 共同キャプテン
「先週の試合で、自分たちが少し待ってしまい、前半なかなか思うようにゲームができなかったところがありましたが、今週はしっかりスタートから主導権をテイクしていく、というマインドセットをしてそれが上手く行ったのかな、と思います。ヘッドコーチが言ったとおり、自分たちがやりたいゲームができました。一人一人がしっかり役割を果たせたところが今日の試合の結果に繋がったと思います」
──次のサントリー戦に向けて意気込みを。
「サントリー戦に向けては、テイクのところ、自分たちでしっかり動くことを意識したいです」
──前節と比較して今日のゲームで良いパフォーマンスが出せた一番の要因は?
「自分たちからゲームを奪いに行くところのマインドセットと、そうすることで一人一人の仕事が明確になり、役割の実行力が上がっていたので、ブレイクダウンのところや、スクラムハーフの速い動き、色々なオプションを一人一人が役割として、テイクしに行くことで結果に繋がりました」
──そのテイクのマインドはどういう経緯で浸透した?
「静岡ブルーレヴズ戦が終わった後に、チームミーティングでスティーブ(ハンセン/ディレクター・オブ・ラグビー)から話があり、チーム全体に浸透しました」
──チャーリー・ローレンス選手、今日含めて良いプレーをしているがどういう選手か。
「常にハードワークし続けている選手です。身体は小さいけどパワータイプで、身体を張ってチームを引っ張ってくれる存在です」
──試合の入りのところで姫野選手が怪我してしまった。凄く働いていた中で下がってしまったが、チームとして心象・影響は?
「姫野はいつもハードワークで体を張ってチームを引っ張ってくれる存在ですが、今週の試合に関しては姫野がいなくなっても、全員一人一人がチームを引っ張ろうとする意識を持ってやりました。姫野がいなくなっても士気が下がるということはなかったです。姫野としても、後半もベンチでチームを引っ張ろうという気持ちがあり、それは皆に伝わっていたと思いますし、チームとしても動揺はなく、次の仕事をしっかりしましょう、ということで意識しました」
──暫定4位についてはどんな感想を持っているか?
「結果に左右されたり、意識すると自分たちのプレーに集中できないので、他のチームがどうか、ではなく自分たちのチームがどうしたいか、まずは自分たちがやるべきことをしっかりやりたいと思います」
──リーグ4位に入るためには大量点が必要になるが、それは試合前に意識しているか?
「それはチーム全体に通すと言うよりは、ゲームマネージャーの意識ではないかなと思います」
トヨタヴェルブリッツ
古川聖人選手
「絶対勝たないといけない試合が続いている中で、全てにおいて自分たちでテイクしにいくマインドを意識していました。前半の最初から相手に対して積極的にアクションを掛けていくこと、今週の試合でしなければいけないことはできたと思っています」
──今日は非常にふっきれたように見えたが、変わる要因はあったか? ブルーレヴズ戦がきっかけになったのか?
「プレーが変わったと言うより、マインドセットが変わったからではないかと思います。このチームは一人一人が良い人間、良いプレーヤーである中で相手から『受けてしまう』状況が多かったのですが、そこでマインドセットを変えて、しっかり自分たち主導で相手から奪いに行く、アタックしていくという意識を持つ、こういったマインドセットが変わったことが要因ではないかと思います」
──次回サントリー戦で勝たないとプレーオフは難しい状況ではないか。次戦に向けて勝つために必要な要素は?
「自分たちでやってきたことを信じて、一人一人が役割をやり切る。そして、その役割一つ一つに価値を持ってチームのためにやり切ること、だと思います」
──シーズン終盤、ここに来て改めてマインドセットを意識した理由は?
「良い選手・良いコーチングスタッフが集まっている中でも、うまくいかないことがありました。ここ数試合、勝てなかった試合も、勝ってはいてもうまくいっていなかった試合がありました。うまくいかない状況においてはチームではなく個人個人でプレーしてしまったり、自分がコントロールできないところにチームがフラストレーションを溜めてしまうところがありましたが、その中での気付きによって自分たちで試合をコントロールしていく、相手から奪いにいく、コントロールされずにテイクしにいく、というマインドセットにいきついたのでは、と思います」
トヨタヴェルブリッツ
パトリック・トゥイプロトゥ選手
「まず全体的には試合のできに満足しております。10点満点中で言えば9点かと思います。残りの1点は幾つか課題も残っています。
先週からは集中面でコーチ陣が明確にしてくれました。どのような状況においても決して満足せず、戦い続けるというマインドセットで今節に臨むことはできました。もちろん他の試合結果次第で影響が出ることも承知していますが、次節に向けては良い試合だった思っています」
──今日の試合評価の残り1点は何が足りなかったのか?
「大きく挙げるとディフェンスが少々細切れになってしまった点、でしょうか。ラグビーにおいて完璧な試合はありませんが、相手にスコアはされたくありません。最後の1分に関しては我々が練習してきたディフェンスが体現できなかったですし、もっと良い判断ができたのでは、と思うシーンがありました。キャリーするのか、パスするのか、キックで外に出すのか。またはリロードのスピードであったり、小さなディテールではありますが、そこが積み重なることで10点満点を自分に与えることができるのかなと思います。常にベストになるためにハードワークをしているので、こういった小さなディテールを日々やっていきたいと思います。しかし、先ほど聖人が言ったとおり、自分たちのマインドセットの変化は皆さんに見ていただいて分かっていただけたのでは、と思います」
──シーズンの途中からスティーブ・ハンセン氏(ディレクター・オブ・ラグビー)がチームに加わったが、チームへの影響は?
「スティーブはオールブラックスでも私のコーチでしたし、オールブラックスで初めて選手に選んでくれたのもスティーブでした。そういった意味でも彼は私の人間性をよく知ってくれていますし、私にとって何がモチベーションになるかも理解してくれているので非常に良い関係を築けていると思います。プレーヤーとしても彼から大きな影響を受けました。トヨタに来る決断をしたのもそれが一つの理由でしたし、良い判断だったと思っています。誰一人として最高のラグビープレーヤーになるのは難しいことですが、日々切磋琢磨することはできます。自分自身はサイズが大きいのでスピードを武器にすることは難しいところですが、最初の5mや地面から起き上がるスピードを強化するよう、スティーブはプッシュしてくれています。日本人のプレーヤーは足が速い、テンポが速いラグビーをするので、自分にとっては良いチャレンジです。シーズンがもうすぐ終わってしまいますが、日本に来て良かったですし、あまり帰りたくないと思う気持ちもあり複雑です。スティーブはシーズン中盤からではありましたが、チームに対して全体的に良い影響を及ぼしてくれていると思います」
リコーブラックラムズ東京
ピーター・ヒューワット ヘッドコーチ
「タックルのミスが多すぎました。正しいエリアでプレーしようというプランがあり、それはできていたのですが、トヨタの勢いを止め切ることができませんでした。折角エリアコントロールができていたのに相手に簡単に抜けられてしまったと思います。でもこのチームは見ていただいて分かるように若い選手が多いので、今後も彼らは諦めないでファイトし続けます」
──勝ち星的には苦しんでいるものの、シーズンの中で若手の成長をどの辺りに感じているか? 手応えはあるか?
「今の状況はチームにも伝えましたが、水曜のセッションの際、メンバーを19人選ぶことができませんでした。さらには(キャプテンの)日向がいないため20人になりました。多くのリーダーがいない状況ですが、若い選手たちは苦しい状況を通じて良い経験を積むことができているのかなと、これを乗り越えた時にはチームが良い状態になるのでは、と思います。
シーズン当初にどういうメンバーで行くか? と聞かれたら、今日のメンバーではなかったと思いますが‥‥若い選手は良い経験を積めているのではないでしょうか。ルーキー2人、南(昴伸)や山本(秀)を始め、スタッツでも若い選手を一番長い時間使っているチーム、というデータも出ています。経験は急に得られるものではなく、苦しい思いもしながら積んでいけるものかなと思います」
──武井日向選手が出られなくなった理由は? 次以降の見通しは?
「膝(裏の辺り)を怪我しています。今週も無理して出場させることはできなくはなかったのですが‥‥来週は使いたいですね」
──選手に怪我が増えた理由はどういうところにありますか?
「良い質問ですね。怪我も全てチェックしました。膝・脳振盪・肩等、プレシーズンも含めキープレーヤーに長期の怪我が多く、アマナキ(ロトアヘア アマナキ大洋 )や今年加入したハリー・マリンダーもまだプレーできていません。でもそれを言い訳にしたことはありませんし、日々ハードトレーニングしている選手を誇らしく思っています」
リコーブラックラムズ東京
マット・マッガーン ゲームキャプテン
「ヒューイが言ったのと同意見です。最初の50-60分は正しいエリアでプレーできていたと思いますが、相手はパワーゲームで知られているチームで、タックルを決め切れませんでした」
──今までのトヨタと比較してプレーの速さ、フィジカルの強さ等、違った印象はあるか?
「イメージはプレビューどおりです。でもやはりラグビーは『衝突』の部分で勝てないと、試合にも勝てないなと思います」
リコーブラックラムズ東京
柳川大樹選手
「絶対勝ちたい試合でしたが、トヨタのフィジカルにやられ、タックルを決められずペースを掴めませんでした」
──シーズンを通してハードワークが続いていると思うが、何をどうすれば良くなるか?
「我慢し続けることをチームにも言い続けること、ボールキープをキーワードにやっていくこと、継続することだと思います」
──持ち前の良さが前半出ていた場面もあったと思います。ご自身のプレーへの総括と、チームとして若い選手が多くけが人も多い中、ベテラン選手としての心がけは?
「自分の総括としては、役割を全うしたところだけです。ラインアウトだったりボールキャリー、ブレイクダウンだったり、チームに求められているクオリティでやっていくということが大事だと思っています。チームとして若い選手が多いですし、けが人も増えている中、ベテランとして若い選手にどういう『姿勢』を見せられるか、ということを意識しています」
──最終節、入れ替え戦を回避するためには絶対に負けられないと思いますが、そこに向けてどのような修正、どのような戦いをするか。
「今日の修正点であるタックルは、絶対修正しなければならないところです。勝つためには今までのリコーのラグビーを信じてやり続けるしかないと思います」
──この時期にけが人が多い原因は? ベテランとしてどう思うか。
「これだけ多いケースはこれまで経験は無いです。原因はアクシデントだと思いますが、コンカッション(脳振盪)も厳しくなっています」
リコーブラックラムズ東京
池田悠希選手
「相手のフィジカルを活かしたタックルで乗っかられる時間が続いてしまい、結果タックルを決め切れずスコアを取られてしまったと思います」
──シーズンを通してハードワークが続いていると思うが、何をどうすれば良くなるか?
「ディフェンスにおいては自分たちのコネクションを切らさないということ、コミュニケーションを取って連携し続けること、その上で一人一人がタックルを決めること。今日はそれができなかったかなと思います」
──最終節、入れ替え戦を回避するためには絶対に負けられないと思いますが、そこに向けてどのような修正、どのような戦いをするか。
「ディフェンスの部分でこれだけ乗っかられて得点を重ねられてしまうと勝てる試合ではなくなってしまう。ディフェンスで一人一人がタックルをしっかり決めること、コネクションを切らさない、ということを修正しなければならない。アタックも柳川選手の言ったとおり、自分たちのやってきたことを信じて実行する、やり切りたいと思います」