NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦) 第2節 カンファレンスA
2023年12月17日(日)14:00 ヤマハスタジアム(磐田) (静岡県)
静岡ブルーレヴズ vs コベルコ神戸スティーラーズ
静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)
ターンオーバー世界一の名手、クワッガ・スミスが主将として目指す今季初勝利
静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)のキャプテン、クワッガ・スミスは、ラグビーワールドカップ2023フランス大会の個人スタッツで「ターンオーバー数No.1」に輝き、南アフリカ代表の2連覇に大きく貢献した選手だ。80分間フル出場は少なかったにもかかわらず、6試合で10ターンオーバー(ヒットしたディフェンスの42%でターンオーバー成功)を記録して世界のトップに立ったことは驚異的と言える。
そんな頼れる男は、ラグビーワールドカップから戻ってあまり日数がなかったために開幕戦は先発を外れたが、後半から出場して開始20秒で得意のジャッカルを披露してペナルティを獲得。家村健太のペナルティゴールに結び付けた。その後も、身長202cmの日本代表ワーナー・ディアンズを強烈なタックルではじき飛ばすなど別格の力を見せつけた。
そして今節のホストゲーム開幕戦では、7番のフランカーとして先発予定。昨季はNo8で出場することが多かったが、南アフリカ代表でもよく7番を着て出場しており、むしろ本職と言えるポジションだ。本人も「自分はこのポジションでラグビーをスタートしているので、すごく楽しみにしています」と言うように、彼の大きな武器であるタックルやジャッカルを見られる回数が増える可能性もある。
それに彼自身、最高の歓喜をつかんだラグビーワールドカップの経験を、リーグワンの舞台に還元することを楽しみにしている。
「ラグビーワールドカップで素晴らしいチームや選手たちとプレーすることができたのは、自分にとって本当に大きな経験だと思っています。それをブルーレヴズでもしっかりと生かしていくこと、今シーズンの試合で表現していくことが、自分にとっても重要だと感じています」
静岡BRの選手たちにどんなアドバイスをしているのか聞かれると、「自分は言葉で伝えるよりも、グラウンド上の行動として表すことで、ほかの選手たちがそれを感じてもらえたらと思っています」と答えた“南アの鉄人”。気になるコンディションに関しても、「前節で40分プレーして体を慣らすことができたので、今週はもう自分のトップフォームでやれると思っています」と自信を見せた。
開幕戦に敗れているだけに、ホストゲーム開幕戦は何としても勝たなければならない。「ヤマハスタジアムは自分にとって特別な場所なので、いつもプレーするのがうれしいです」と語るキャプテンが、前節を80得点で大勝したコベルコ神戸スティーラーズを倒すために、誰よりも力強くチームを引っ張ってくれるはずだ。
(前島芳雄)
コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスA)
山中亮平、感謝の思いを胸に100キャップ達成へ
ホストゲームだった開幕戦で三重ホンダヒートを80対15の大差で破ったコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)。今節はビジターで静岡ブルーレヴズと対戦する。キックオフは12月17日14時。立ち上がりから迫力満点にしかける“赤”の戦いぶりに注目だ。
「目標にしていたこと。今までの神戸Sの選手が100キャップを達成しているのを見て、『自分も達成したい』という気持ちがありました。コロナで試合がなかったこともあり、10年くらいかかりました。遅かったと思いますけど、すごくうれしいことだと思います」
そう語ったのは今秋のラグビーワールドカップ2023フランス大会での奮闘も記憶に新しい、神戸Sが誇るフルバックの山中亮平。今節出場すればジャパンラグビー トップリーグ時代を含めたリーグ戦通算100キャップに到達する。
「100試合出場を達成する選手がそんなに多くいるわけじゃないですし、自分にとってすごくいいラグビー人生を送れているんじゃないかなと思います」
当日は親など家族もスタジアムに駆け付けるという。ファンや関係者らを含めた人たちへの多くの感謝と思いを胸に山中はピッチに立つことになる。
その“鉄人”とも称される35歳は、開幕戦で早速、躍動感を発揮した。
“ボールを持って前に走った距離”を指す「ゲインメーター」でディビジョン1のトップとなる173mを記録。「まだ1試合目なので意識はしていない」と話した山中だが、同じく2位タイの18回を記録した“ボールを持って前に運んだ回数”を指す「ボールキャリー」にこだわりを見せた。
「今まで以上にボールキャリーは意識しています。自分で行けるところは『どんどん行こう』と思っているので、そこは試合で出していけたらと思っています」
計12トライの猛攻だった開幕戦。チームのアグレッシブさを最後尾から引き出した背番号15の存在感は大きかった。ただ、大勝にも浮かれる様子を見せず、「改善するところもある」と引き締めた山中。自らの役割遂行に視線を向ける。
「試合でしっかり良いプレーをすること」
シンプルな言葉に宿る、圧倒的なすごみ。100キャップという記念すべき試合でも、百戦錬磨のフルバックは不変のメンタリティーでチームの勝利に挑戦する。
(小野慶太)