2024.03.14NTTリーグワン2023-24 第10節 トヨタV vs 東京SG-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第10節
2024年3月16日(土)14:30 豊田スタジアム (愛知県)
トヨタヴェルブリッツ vs 東京サントリーサンゴリアス

トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)

心も体も整える。アーロン・スミスが示す
一流としての細かな気配り

トヨタヴェルブリッツのアーロン・スミス選手。「ニュージーランドにも日本と一緒で、『(使った場所を)来たときよりもきれいにして返す』というカルチャーがあります」

前節、前年度王者のクボタスピアーズ船橋・東京ベイに競り勝ったトヨタヴェルブリッツ。今節は現在3位につける東京サントリーサンゴリアスとの対戦だ。上位が相手でも勝ち点4以上を積み上げなければ、苦労して得た前節の勝利が水泡に帰してしまいかねない。

その大一番に向けた準備は前節、試合後のロッカールームから始まっている。中心にいたのは世界NO.1スクラムハーフとの呼び声も高いアーロン・スミス。ロッカールームで自らほうきを手に取り、率先して掃除を始めた。

「ニュージーランドにも日本と一緒で、『(使った場所を)来たときよりもきれいにして返す』というカルチャーがあります。試合後のロッカールームが少し汚かったので、ほうきを探していましたが、リーダーとして人に伝える前に自分自身がやることが大事かなと思って掃除を始めました。すると、そのあとにみんながついてきて一緒に掃除をすることができました」(アーロン・スミス)

日本チームの使ったあとのロッカールームがきれいで、外国人が驚いているという報道をよく目にするが、アーロン・スミスは世界一流の選手でありながら、いや、一流の選手であるからこそ、そういう細かな気配りができるのだろう。姫野和樹やニュージーランド代表オールブラックスで世界一の監督となったスティーブ・ハンセン総監督兼ディレクターオブラグビーも相当なきれい好きだそうである。

今週はアーロン・スミスが人格者だと感じさせられる出来事がもう一つあった。14日の練習前、訪れていたU20日本代表選手にパスの出し方などを実技指導。忙しい時間の中でもイヤな顔は一つもなく笑顔で教えていた。

「教える理由は、まずラグビーを愛しているからです。そして、これまでプロとして長い期間プレーをしてきましたが、そこで得た自分が知っていること、栄養学もそうですし、フィットネスも然り、マインドセットも然り。どうすればこのようなレベルで一貫したパフォーマンスを発揮できるのか、そういったコツや知見を周囲の成長のために常に伝えていきたいと考えています。いまこうやって日本に来ることになり、そういった意味で日本に還元できることを今後も続けていきたいと考えています。それに、若い彼らの目を見ていると意欲的な姿勢が伝わってきましたし、それが自分の刺激にもなるんですよ」

そう言って笑ったアーロン・スミス。心も体もしっかりと整えて大一番に臨む。

(斎藤孝一)

東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスA)

「準備がすべて」。その先に待つ会心のプレーで
流大はファンを魅了していく

東京サントリーサンゴリアスの流大選手。今年も対戦相手の姫野和樹キャプテンと共同でファン招待企画を実施した

3月16日、東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)が豊田スタジアムに乗り込んで戦う第10節の相手は、ちょうど1年前に敗れたトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)。それまでトヨタV戦で続いてきた連勝記録が「12」で途切れる悔しい敗戦だった。

そんな1年前の対戦、そして今回の対戦で、東京SGの流大とトヨタVの姫野和樹の帝京大先輩後輩コンビが共同で取り組む施策がある。スタジアムへのファン招待企画だ。今年はペア10組、計20名の枠に955組の応募があったという。

「親子でもカップルでも、ラグビーを観に来てくれるきっかけになれば。そして、ラグビーをとおして少しでもその人の生活が楽しくなればいいなと昨年から始めて、今年も継続できました」

招待企画の狙いをそう明かす流。こうした取り組みを共同でできる点からも、流と姫野の深い関係性が見て取れる。ラグビーワールドカップ2023フランス大会ではキャプテン(姫野)・副キャプテン(流)として支え合った二人が、今度はグラウンドで真剣勝負を繰り広げるのは、たまらないマッチアップだ。

「いい後輩であり、いい友人で、戦うのは楽しみです。でも、大事なことは自分たちのゲームプランに集中することです」

注目のマッチアップという意味ではスクラムハーフ対決も。トヨタVのスクラムハーフには、ニュージーランド代表キャップ125を誇るアーロン・スミスがいる。

「アーロン・スミス選手は世界一のスクラムハーフだと思っているので、戦うのは楽しみです。ただ、さっきの答えと一緒で、誰が相手かよりも、自分たちのゲームプランにいかにフォーカスするかを大事にしています」

流が信条とするのは、誰と戦うか以前に、自分たちの設定したスタンダードに見合う一貫したパフォーマンスができているかどうか。そしてその一貫性は、練習でこそ培うことができる。

「すべての解決策は自分たちの練習の中にある。コーチ陣が提示してくれた練習に対して、選手同士が厳しく自分たちのスタンダードを言い合う。お互いが競争して体をぶつけ合う。1週間の準備がすべてだと思っています」

これだけの実績を積み重ねてきた流大でも「準備がすべて」と語る。その準備の先に待つ会心のプレーを、ラグビーファンも招待されたファンも、心待ちにしているはずだ。

(オグマナオト)

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