2024.03.15NTTリーグワン2023-24 第8節 S愛知 vs 浦安DR-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第8節
2024年3月17日(日)14:30 パロマ瑞穂ラグビー場 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 vs 浦安D-Rocks

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

全敗中の相手に悲願の一勝を。
キーマンが語る“つながり”の重要性

豊田自動織機シャトルズ愛知の中野豪選手。直近の3試合で4トライと好調のウイングに注目だ

豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)にとってはおよそ1カ月半ぶりのホストゲームとなる。迎えるのは首位の浦安D-Rocks(以下、浦安DR)。ディビジョン2昇格初年度だった昨季から、全対戦で敗れている相手との一戦に「ここを超えることで、チームとして自信がつく」と徳野洋一ヘッドコーチは意気込んでいる。前回対戦(第4節)では荒天で試合が後半8分に中断。再開の目処が立たずにその時点での試合成立となった。不本意な形で敗戦を喫したこともあり、リベンジを期す思いは強い。

先週の試合をもって、ディビジョン2は1~3位と4~6位の各順位決定戦に進むチームが確定した。S愛知は浦安DR、NECグリーンロケッツ東葛との対戦が決定。4月以降に行われる3度目の対戦に備えなければならないが、それでも、徳野ヘッドコーチは「ただのリーグ戦の1試合として捉えている。どの試合でもベストを尽くすことは変わらない」と泰然自若の構えだ。

そんな今節のキーマンは、ここ3試合で4トライを挙げている中野豪。170cmと小柄だが、スピードとそれを生かした力強さで「ボールがないところでも貢献できる」(中野)ウイングだ。グラウンド内では野性味あふれるプレーで観客を沸かせるが、「インタビューは得意じゃない(笑)」と苦笑い。グラウンドから一歩外に出ると、物腰が柔らかく口調も落ち着いている。

中学校3年生のころに、ラグビー部の顧問から勧誘されたのがラグビーを始めたきっかけ。いきなり才能の片りんを見せ、始めてからわずか1年余りで大阪府の古豪・常翔啓光学園高校にスポーツ推薦で入学。大学は天理大学に進んだ。4年次には大学選手権で準優勝も経験。「それまではなんとなくラグビーを続けていたけど、大学時代に試合に出るようになって、社会人でもラグビーをプレーしたいと思うようになりました」。

彼が語る今節のカギは、味方同士でつながること。S愛知のラグビーは各ポジションの役割が明確化されているだけに、いかにそれらをつなげてプレーできるかがテーマとなっている。本人が「昨季よりキックプレーが増えたので疲れます(笑)」とこぼすキックチャージも、その大事な役割の一つ。グラウンドの端から端まで連動することができれば、強敵相手に悲願の1勝も見えてくるはずだ。

(齋藤弦)

浦安D-Rocks(D2)

運命に導かれ、異色の道を歩む男。
確乎不動の竹内が見据える“3年後”

「3年後のラグビーワールドカップに必ず出る」ときっぱり。浦安D-Rocksの竹内柊平選手

首位に立つ浦安D-Rocks(以下、浦安DR)が、2ポイント差で2位につける豊田自動織機シャトルズ愛知と対戦する。上位争いの行方を大きく占う天王山だ。

昨秋、日本代表のジャージーを身にまとった屈強な男たちが、遠くフランスで激闘を繰り広げているとき、竹内柊平は浦安DRの合宿地である宮崎県にいた。ラグビーワールドカップ2023フランス大会の初戦・チリ戦の夜、地元のパブリックビューイングに宮崎県出身の選手としてゲストで登場。一度は選考のテーブルに乗りながらも本大会の舞台に立てなかった悔しさを押し殺し、盛り上がる会場で勝利を見届けた。

「地元の後輩がきていましたし、子どもたちがプロ選手とあまり触れ合う機会がないのは分かっていたので、そういう機会は大事にしないといけないと思っていました。ただ、内心はめちゃくちゃ悔しかったですよ。複雑でした。でも、『次はあの思いをしない』と心をあらためるいい機会になりましたね」

当時をこう振り返る竹内のラグビーとの出会いと歩みは面白い。小学5年生のときに赴任してきた先生が怖くて断れずに参加したラグビー体験会がきっかけで、中学時代には何度も辞めようと思ったが、それを伝えようと決心した日に限って監督が不在と、“たまたま”に導かれるようなラグビー人生を歩んできた。そして、高校も大学も「まったく強くない」無名校で続けたが、「高校の先生になる」という夢を抱き、社会人でプレーするつもりはなかった。

それでも、高校時代の恩師から「高校の先生はラグビー選手にチャレンジしたあとでもできる」と、大学の監督からも「ラグビー選手を経験してから先生になったほうがお前のしたい恩返しにつながる」と説得され、プロ選手の道に進むことを決断。それならば、日本代表を目指すと誓い、ナンバーエイトからプロップへの転向を図った。

気が付けばプロの世界に飛び込んで5年目となり、“失意の落選”から約5カ月半後の今年2月には、『男子15人制トレーニングスコッド福岡合宿』のメンバーに選出され、「とてもモチベーションになりましたね」と刺激を受けて帰ってきた。

「『3年後のラグビーワールドカップに必ず出る』と、いまのゴールは明確です。どんなに遠回りしてもいいけど、絶対にそこにたどり着けるようにベクトルを自分に向けてやっていきたいです」

ここから3年間の道のりでいろいろな困難は絶対にある。うまくいかない時期も、自分ではどうしようもできない出来事にもぶつかるだろう。ただ、そのたびに竹内はそれらを原動力に変えていく。座右の銘である『確乎不動』の精神で、竹内は一歩ずつ前へ進んでいく。

(須賀大輔)

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