2024.03.21NTTリーグワン2023-24 第9節 九州KV vs 浦安DR-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第9節
2024年3月23日(土)14:30 駅前不動産スタジアム (佐賀県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs 浦安D-Rocks

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

今季初めての佐賀開催。
“ご当地試合”に臨む最高の同級生コンビ

九州電力キューデンヴォルテクスの徳永一斗選手(左)と中村元気選手(右)。二人は佐賀工業高校の同級生で現在もチームメートとしてスクラムを組む仲だ

九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)は今季レギュラーシーズンでは最後となるホストゲームに首位の浦安D-Rocksを迎える。キックオフは3月23日(土)、14時半だ。

今節の舞台は駅前不動産スタジアム。今季のレギュラーシーズンでは唯一の佐賀開催だ。九州KVにとっては昨季、ディビジョン2昇格を決めた思い出の地でもある。そんな中、“ご当地試合”となるのが佐賀県出身の中村元気と徳永一斗だ。二人は佐賀工業高校の同級生で現在もチームメートとしてプレーしている。

ただ、高校卒業後の進路は違った。帝京大学へ進学した徳永と異なり、中村は九州電力へと入社した。徳永によれば中村は「尊敬できる存在」だという。「ラグビーをやりながら勉強でも学年でトップ3に入って校内推薦を勝ち取って」(徳永)、一足早く社会へと飛び込んでいるのがその理由だ。

中村は九州電力に入社後、数多くの困難を経験している。入社後もラグビーを続けることを選んだが社業では技術職だったため、技術を学ぶことに時間を割かれた。さらにラグビーでも周りのほとんどが大卒で体格もがっしりしている中、高卒の中村の体重は大きく見劣りする80kgほどしかなかったという。それでも、「とにかく体を大きくする」と社業の技術習得と並行して肉体改造に着手。体重は1年で18kgほど増加した。

高卒と大卒、同期でありながら4つの年齢差が生じる環境に中村は入社以来、悩むこともあったという。そんな中、同級生の徳永が九州電力に入社。「何でも話せる、頼もしい友だちの存在は心強かった」(中村)という。

ボールキャリアの中村選手(中央)とサポートに走る徳永選手(右)

高校ではフランカーだった中村は5年ほど前からフッカーに転向。プロップの徳永とは第一列でスクラムを組む関係になった。「対等な関係で何でも言い合えるのがすごくいい」(徳永)と高校時代からの関係性は好影響をもたらしている。

苦楽をともにした濃密な3年間を過ごした思い出の地での一戦。佐賀県出身の“最高の同級生コンビ”に注目してほしい。

(杉山文宣)

浦安D-Rocks(D2)

どんなときも先頭を駆ける。
“さきがけ”の名を持つトライゲッター

浦安D-Rocksの石井魁選手は現在ディビジョン2のトライランキングでトップに立っている

前節で豊田自動織機シャトルズ愛知との首位攻防戦を制した首位・浦安D-Rocks(以下、浦安DR)は、今節、九州電力キューデンヴォルテクスとビジターゲームで対戦する。次節のレギュラーシーズン最終節では2位に浮上したNECグリーンロケッツ東葛との直接対決を控えるだけに、確実に勝利を収めておきたい一戦となる。

すでに入替戦進出を決めている状況の中で戦う、リーグ戦残り2試合と順位決定戦2試合。その重要性を語ってくれたのは、ここまでリーグ戦全試合でフル出場し、7トライとディビジョン2のトライランキングでトップに立つ石井魁だ。浦安DRが誇るウイングは、昨季も入替戦を経験している。言葉にできない悔しさを味わった戦いに向け、「自分たちにベクトルを向けて戦うことが重要」と説いた。

「入替戦はプレッシャーの掛かる試合になるので、残り試合は自分たちが入替戦をイメージして戦えるかどうかが大事。入替戦のような緊張感を自分たちで作り出していけるか、意識して自分たちが求めているラグビーをできるか。入替戦のために良い準備となる試合にしないといけない」

それは、自身についても当てはまる。リーグ戦ではどの試合でも十分にチームを引っ張るパフォーマンスを発揮している石井だが、焦点は入替戦に合わせている。

「チームを代表して試合に出るからにはそれに見合ったパフォーマンスを発揮しないといけない。トライを取ることもそうだし、チームにとっていい影響を与えることが自分の仕事。もっともっとできると思うし、今季は入替戦という一番大事な試合で自分が一番いいパフォーマンスを出せるようにしないといけない。焦るわけではないけど、ここからいい状態を作っていきたい」

そんな石井の好きな言葉は、名前にも含まれる『魁(さきがけ)』。まさに名がプレーを表している。

「“さきがけ”という言葉の意味が好きですね。先頭に立つ、一番になる、取り掛かりになる。ラグビーでもポジション的には“先駆け”的な感じだし、人のため、仲間のためにやるというのは好き。イチ人間としてそういうことができる人間でいたい」

今季の最後に最高の景色を見るため、石井は止まらない。どんなときも先頭を駆ける。

(須賀大輔)

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